多くは語らないほうがいいときもあるし、ハッキリ言ったほうがいいこともある。
ー 先ほど、品の話もありましたが、河原さんの音楽は、一見、主張しすぎないようで、実は強くある、という不思議な印象を受けます。
河原: 伝え方を考えているからかな。多くは語らない方がいいこともあれば、ハッキリ言った方がいいこともある。
ー 駆け引き、みたいなことでしょうか。
河原: 例えば、「愛してる」という言葉を、曲で言ったら終わるんです。ただ、終わるからこそいい瞬間もあれば、その前にムードを作った方がいいこともある。めちゃくちゃいい匂いがするとか…あと、花があるとかですかね。何もない更地に突然言葉を置くのか、空気を創ってから置くのか、そのときの感情に任せるのか、選択肢はいろいろあるわけで。
ー 受け手も千差万別ですしね。
河原: せっかく伝えるなら、万人に何が響くのか考えながら作っていきたいですよね。今年は「響かせる曲」を作ることが一つのテーマでした。
ー 来年は、どんなTENDREを見据えていますか?
河原: いまの音楽シーンは、いい意味で、ジャンルが崩壊しているとも言えると思うんです。だから来年は、より柔軟に、もっと自由に、音楽を作っていけたらと思ってます。
ー 具体的なイメージってあったりしますか?
河原: 今のファンにはもちろん、僕のことを知らない人にも届くものを作りたいですね。一例ですが、年代物のリファレンスを提示した音作りをして懐かしんでもらえたり、あるいは昔のいい音楽を知ってもらえるような曲だったり。やりたいことはたくさんあります。まだまだ、道のりは長いですから。