アメリカではこういうアイテムがつくれない。
ー 元ネタとしてそれがあって、〈LE〉ではそれをどう料理したのでしょうか?
金子: 当時の「P」を2つくらい用意してみたら、形がちょっと今の気分ではなくて。とくにアームがドルマンスリーブみたいなシルエットで。
ー でも当時はそれで違和感なかったんですよね?
金子&小森: まったくなかったですね。
小森: 当時、フォルムに関しては今ほどこだわってなかった時代なんだと思います。ブランドを着ることや、そのアイテムを着ること自体によろこびがあって。僕もそんな時期がありました。


ー それでまずは袖をいじったということですね。
金子: そうです。今、着やすいというのはもちろんですけど、この先もちゃんと着られるように過度なシルエットにはしていないです。あとはダウンが雨で濡れてしまうと良くないので、防水の生地を使っています。フィルパワーは700で、街着で使うのにちょうどいいスペックなのもポイントです。そういう調整を小森さんが当たり前のようにしてくれて。でも、当たり前だからあんまり語らないというか。普通のことを普通にやってくれているんです。
ー 往年のヨーロッパブランドらしい佇まいが漂っていますね。
金子: そうですね。アメリカではこういうアイテムがつくれないと思います。
ー 着丈が少し長めなのも特徴かなと思いました。小森さんのように身長が高い人でも着やすいアイテムなのかなと。
金子: 「P」がもともと少し長めでしたね。
小森: ジャケット丈なんですよ。着丈75センチくらいのジャケットをなかに着ても隠れる程度ですね。着丈が短いと、なかに着るものが限られるじゃないですか。これくらいあると、羽織りものとしてすごく使いやすくなりますよね。コートのような意識で着られるから。

金子: あとはダウンの量も何回か変えて、最終的にこの量に着地しました。最初はモコモコしすぎてたんですけど、それを徐々に減らしていって。
小森: これくらいがちょうどいいですよね。
金子: 雰囲気を出すためにたくさん入れたくなっちゃうんですけど、結局使いにくいものになってしまうんです。

ー ボリューム感を含めて、サイズが本当に絶妙ですね。お二人が着ているのを見てそう思いました。
金子: そうですね。ジャストサイズで着るのがおすすめです。大きいと少し不恰好に見えてしまうので。僕がサイズ1です。小森さんに着てもらったのがサイズ3ですね。