あらゆる人たちに興味を持って欲しいというのが狙い。

ー 金子さんと小木さんのなかである程度つくりたいものの擦り合わせはあったんですか?
金子:先ほども言いましたが、ブリティッシュという話はなんとなくしていて、、あとはなんかありましたっけ?
小木:90年代にクラシコ・イタリアブームがあったときのスーツって、かなりブリティッシュなんです。イギリスから派生したものをイタリアの工場でつくるみたいな感じですね。そういうものができたらいいよね、というお話はしました。
ー 印象としては、イギリスのスーツはカチッとしていて、イタリアはふわっと柔らかなイメージがあります。それをミックスするような感覚ですか?
金子:そうですね。サヴィル・ロウの仕立てじゃなきゃダメとかではなく、イタリアの包まれるような軽さもお互い好みだったりして、ちょうどその中間を目指しました。
宮原:そう、今回のジャケットはガチガチのブリティッシュではないんです。例えば、毛芯もそんなにハードなものを使わずにソフトなものを採用しています。パターンとしてはブリティッシュなんですけど、イタリアの柔らかさも風合いとして取り入れたりして。だからラペルの返りもガチガチではないんです。ハードなものをつくってしまうと、これからジャケットに挑戦しようという若い子たちにはちょっとハードルが高くなってしまいますし。
ー 若い人にも着てほしいという願いは、プライスからも感じます。このクオリティで5万円代のアイテムもあり、驚きました。
宮原:そうですね。ただ、本来ならこの値段ではできないですよ。

¥125,000+TAX

¥54,000+TAX

¥54,000+TAX

¥54,000+TAX
金子:プライスはうちのほうでがんばりました…。とにかく入り口を柔らかく、優しくということをしたくて。欲しいけど値段が高いから買えないということにはしたくなかったんです。
宮原:やっぱり値段を決めずに好きなものを全部放り込もうとすると、高いものになっちゃうんですよ。今回、10万円代のジャケットもありますけど、最初にそれをつくっちゃったんで、これは高いだろうというところから、もう少しこなれたゾーンのものもつくろうとなったんです。
ー こなれたといっても、クオリティはかなり高いですよね。違いはどこにあるんですか?
宮原:生地と付属品の違いですね。毛芯は変えてないですし、同じ工場の同じ生産ラインでつくってますから、風合いやクオリティは遜色ありません。
金子:もともと5~6万円くらいのターゲットプライスで進行していたんです。このプロジェクトはあらゆる人たちに興味を持って欲しいというのが狙いなので、高いものをつくる気はなかったんですが、見ての通りこのメンバーなので歯止めが効かなかったという…(苦笑)。今回はジャケットだけですが、ゆくゆくはスーツをつくりたいという気持ちもあります。
小木:今回のジャケットって、めちゃくちゃベーシックですよね。トラッドのいいところって、例えば〈ブルックス・ブラザーズ〉のシャツをジャン二・アニエッリが着るのと、アンディ・ウォーホルが着るのとでは全然違う見え方がするところだと思うんですよ。それって人それぞれ個性があるということですし、そうした個性を活かすようなベーシックなアイテムを今回つくりたかったんです。