谷根千パトロールの洗礼。グルメからストリートアートまで。
実際に訪れたヤナカディガーのレコメンドスポットを紹介しよう。まずは「ヤナカソウ」から谷中ぎんざへ。昔ながらの商店街の入口手前にある、「チビ(CIBI)」は本店をオーストラリアに構えるコンセプトストア。朝8時からオープンしており、美味しいコーヒーやブレックファースト、ランチ、スイーツなどが楽しめる。また、ショップオリジナルのグッズや暮らしを彩るデザインプロダクトなども取り扱っている。この日は手ぬぐいブランド〈かまわぬ〉の展示販売が行われていた。
谷中ぎんざの商店街へ。屋根に木製の看板を配した商店が軒を連ねている。谷根千といえば猫の街としても有名で、そこかしこに置かれた猫のオブジェを眺めながら「越後屋本店」にたどり着くと、店先にはビール瓶のケースが積まれている。そう、ここは角打ちを楽しめる酒屋なのだ。しかもフードの持ち込みOK、飲みながら周辺の店まで買い出しに行き、チヂミやキムチ、天ぷらなどをアテに、商店街に溶け込みながら角打ちに興じる。常連客が多く、愛犬を連れて通っている地元の人も。街の愛すべき名店である。
谷中ぎんざの次は、谷根千エリアのパトロールを兼ねて根津方面を散策。途中で立ち寄った「リバティ」は愛すべき街のパン屋さんであり、ヘタウマなイラストと“リバテイ”のタイポグラフィが名店の雰囲気を醸し出している。一番人気のぶどうパンは売り切れていたので、名物のうさぎパンや惣菜パンを朝食用に。
住宅街を歩いていると、家の軒先から道路にはみ出た路上園芸、壁面緑化、油絵タッチで描かれた猫の壁画など、さまざまなストリートアートが突如現れる。道ばたに置かれた巨大な石は車の右左折を防ぐためのものだろうけど、もはやただの石さえもひとつのアートに見えてくるのが谷根千マジック。ここは東京なのか、自分の現在地が一瞬わからなくなる。
谷根千ストリートアートを鑑賞した後は、根津の老舗バー「天井桟敷の人々」へ。店名は同名のフランス映画を冠したもので、店内には初代オーナーが配給会社から許諾を得た、映画に関する品々がインテリアとして使われている。
独特な雰囲気だけでも満足できるバーだけど、酒もご飯もとにかく美味い。ハイボール片手につまんだめざしは高級料亭も信頼を置く魚屋「根津松本」から仕入れたもの、さらにコンビーフ丼のコンビーフも千駄木の人気精肉店「腰塚」製、谷根千のグルメメゾンの逸品をカジュアルに味わうことができるのもここの魅力だ。〆で食べたラーメンは九州人のソウルフード「うまかっちゃん」。紅生姜、高菜、卵、のりをあしらった特製トッピングは、日本屈指のうまかっちゃんだろう。