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家にとらわれない生き方に舵を切る。 NOT A HOTELという新しい暮らし。
Dual Residence

家にとらわれない生き方に舵を切る。
NOT A HOTELという新しい暮らし。

2021年春に発表されるやいなや、サービスの革新性から大きな注目を集めた「NOT A HOTEL」。その名の通り「NOT A HOTEL」が販売する物件は、自宅として使用することも、ホテルとして貸し出し収益を上げることもできるのです。すぐに10億円を超える投資が集まったということからも、その先進性と話題性がわかるでしょう。このサービスを始めたのは、EC支援サービスの「アラタナ」を創業し、「スタートトゥデイ(現ZOZO)」の傘下に入る形で、「ZOZO」のテクノロジー分野の中核を担ってきた濱渦伸次さん。そのキャリアはまさに成功者という言葉を当てはめたくなりますが、プロジェクトの始まりは、パーソナルな問題や気づきからでした。暮らしや働き方が大きく変わりつつあるこの時代に、「NOT A HOTEL」がもたらすものとは何か? そこには、これからの私たちの暮らし方を考えるヒントが散りばめられています。

  • Photo_Shintaro Yoshimatsu
  • Text_Shinri Kobayashi

作りたいラグジュアリーは豪華ではなく、上質。

ー この棚のドローンは、趣味としてお持ちなんですか?

仕事で場所や家を見に行くので、いい土地があったら行って、ドローンで撮影します。

ー 仕事道具なんですね。場所というのは、特別な場所ということでしょうか?

例えば(NOT A HOTELが売り出す)栃木県の物件があるエリアは、16万坪あって馬が20頭います。そんな土地は、なかなかないじゃないですか。宮崎も、物件は国定公園の中にあるんです。これは宮崎市から借りている土地です。

ー 物件があるエリアにお金が落ちたりとか雇用が増えたりとか、そのエリアにとってもプラスがあるわけですね。

例えば自分の地元に友達を連れてきても、いいホテルがないケースは多いと思うんです。これまでは、地方にラグジュアリーホテルは一生できないと思ってました。宮崎の物件も6棟/部屋ですし、栃木の物件も13棟/部屋しか作らないんですよね。「NOT A HOTEL」の仕組みであれば、オーナーがつくので、どんな田舎でも作れるんです。

ー なるほど。

僕らは、超メジャーな観光地は狙っていません。栃木県も魅力の県ランキングで最下位でしたし、宮崎よりは沖縄というイメージですよね。でも宮崎であれば競合もあまりいません。「NOT A HOTEL」がその地域に建つことで、そこにちょっと日が当たって注目されると、こういうサービスを作った甲斐があるなと。単純に富裕層向けのサービスだけを、ニセコや沖縄に作るというのは考えていません。ファッションと近いかもしれないんですけど、誰もやっていないことをやるからこそ価値があると思うんです。僕らが作りたいラグジュアリーとは、高級ではなく、上質なんです。あとは、ユニークでいろんな人の感情の琴線に触れるようなものであれば、それはラグジュアリーだなと。価格が高いことにこだわっているわけではありません。

ー 「NOT A HOTEL」を通しての地域貢献はすごく意義を感じます。地域貢献は、元々興味をお持ちだったんでしょうか?

「アラタナ」は宮崎に1,000人の雇用をつくるということで始めた会社ですし、地元や地域に貢献したいという思いはもともと強いです。でも、いろいろな人と話して思うのは、実は同じ思いを持っている人はたくさんいるなと。そういう人にオーナーになってもらうのがいいと思います。

ー お話をお伺いして、日本の地方はまだまだポテンシャルがあると信じていらっしゃるということですよね。

僕も地方出身で、地方創生の名目でお金がばらまかれているケースは実際にあるんですが、それはポテンシャルを本当に感じてる人がやっているとは思えないんです。お金を渡すのはあくまで対処療法的なものであり、僕らの場合は、実際にビジネスとしてポテンシャルを感じているんです。たとえば、行政側が宮崎は人件費が安いので企業誘致をしようとするんですけど、いやいや、そんな安売りをしなくていいよと。あくまで結果として地域貢献というのが理想であり、真っ先に地域貢献というものが来てしまうと面白くないし、息切れしちゃう。ビジネスとして、結果として…というテンションでないと続かないと思いますね。ボランティアじゃなくてビジネスとしてやっている人の方が強いんじゃないかなと。その地域でちゃんと利益を出して回すことを、今後やっていきたいですね。

ー ビジネスとしてちゃんと持続可能なものということですね。「NOT A HOTEL」では、“あたらしい暮らし”を意義の一つとして掲げていらっしゃいますが、どういうものをイメージされていますか?

ひとつの家にとらわれない世界を作りたいですね。今までであれば、家は一軒買ったら終わりだったと思うんです。例えば「NOT A HOTEL」に住んで、ある日「NOT A HOTEL」から通知が来ます。海外5箇所に新しい物件ができます、そこにあなたは泊まることができますと。そうなると世界が広がるわけです。自分が使ってないときは、これまでの生活とは変わらず、手間のないオペレーションで収益にしつつ、自分の生活を変えずにライフスタイルが豊かになっていく。これが自分の考える新しい暮らし、というか作りたい世界です。とはいえ、結局は自分のためにただ面白いことをやっているだけですけどね。

INFORMATION

NOT A HOTEL

notahotel.com

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