本当に自信のある服だし、着てもらえれば癖になる。
ー 三好さんは〈アプレッセ〉に対して期待することはありますか?
三好: 期待することというよりも、もし今後海外で取り扱いが決まったら、そのお店の人やお客さんがどうやって〈アプレッセ〉の服を着たり、インスタグラムで発信するのかを見てみたいですね。めちゃくちゃ日本らしいプロダクトだと思うから。
重松: ドメスティックのこういう服って、海外戦略がすごく苦手なんですよ。普通なのに高いから、評価されにくくて。
三好: でもインスタを見ていると、ちょっとづつ受け入れられている気もします。そのお店の人がどんなブランドと組み合わせるのか気になりますね。日本の場合は、空気感が近いブランド同士を組み合わせて提案することが多いと思うんですけど、海外ってそういうの関係ないじゃないですか。「1LDK」でもそういうことをしていきたいなと思ってるんですよ。たとえばこのデニムに〈パタゴニア〉のフリースを合わせるのが従来の着方だったとしたら、今度は〈アンドワンダー〉のフリースを合わせてみたりとか。

重松: たしかに海外の人たちのそういう組み合わせって、自然だしおしゃれだよね。日本だとどうしても奇をてらったように見られてしまうから。こっちの御法度が向こうではちがうもんね。
三好: 安心した組み合わせを選んでしまうのかな。こういう普通な服に、デザイナーズとかをサラッと合わせるとかっこいいと思うんですよ。そうした提案ができるとおもしろいのかなって思いますけどね。
ー ブランドとして「こう着て欲しい」というのはないですもんね。
重松: 一切ないですね。それはお客さんの自由ですから。ぼく自身もきっと〈アプレッセ〉で揃えることはしないと思うので。だけど、そうしたい人がいればもちろんウェルカムです。この前「イマジン」の谷さんと話したんですけど、谷さんから見たら〈アプレッセ〉は「逆に変な服」のようなんです(笑)。普段から変わった服ばかり見ているから、こういう普通の服が“変”ってなるようで、それもまたおもしろいなと思いますね。だから「イマジン」でどういう提案がされるのかっていうのも、ちょっと気になるところではあります。

BD Shirt ¥37,800
90年代のツイルB.D.シャツをイメージ。生地には100/2スーピマコットンの二重織ツイルを使用し、硫化染めと微起毛加工を施し、製品でバイオ加工することによりヴィンテージの様な表情に。柔らかく膨らみのある気持ちよい肌あたりは、上質素材ならではのもの。ドレスシャツ工場で縫製しており、運針もとても細かく丁寧に仕立てられている。
ー なるほど。
三好: だけど、ブランドっぽくなりすぎないで欲しいなとは思いますね。これくらいの少ない型数でスタートしたブランドって、シーズンが変わるたびにどんどん増えてくるんですよ。つくりたいものが増える気持ちはわかるんですけど、それがズラーっと増えていると、こちらとしては結構構えちゃったりするので、地味であり続けてほしいというか(笑)。
重松: そんなに地味かな?(笑)
ー 重松さんは今後の目標などありますか?
重松: とにかくやり続けることが目標ですね。10年でもブランドを続けている人ってすごいと思うし、それで認知され続けることもすごいと思うんですよ。〈アプレッセ〉の場合、いわゆるブランドとして認知されなくても、プロダクトアウトしているアイテムが長く愛着をもってお客さんの手元に置いてあれば、自分にとってはそれが一番ですね。自分でいうのも変ですけど、本当に自信のある服だし、着てもらえれば癖になると思うので、ぜひ手にとって欲しいです。