自分がこれを着たいかをいかに強く思えるか。

ー 旅する人もそうですが、丸山さんのように取材での移動が多いと、装備やものは機能一辺倒になりがちだと思うんです。でも、丸山さんは、それを好きかどうかも重視されているのではと思うのですが。
丸山:背伸びして、ブランドものとかは着ないですけどね。マインドとしては労働者階級というか、汚れたら捨てられる状態でいたいんです。でも、好きなものを着て、気分が上がるならその方がいい。便利なものがいいとも思っていません。機能だけで選ぶとかぶるんですよ。某ブランドのダウンを着て空港に行くともろかぶりしますから(笑)。でも好きなデザインで、さらに自分に似合うものを選ぶと、僕が着ているこのブランドという認識になって自然と着こなせるので、個性が消えないんですよね。
ー 「ヨセミテモバイルストラップ」も機能的で便利なものですが、僕らとしては好きなものとして、ファッションとして使って欲しいんです。でも、女性に比べて男性が身につけているのは、まだまだ少ないのが実情です。
丸山:女子は強いですよね。可愛ければ身につけますから。男の人でも、スーツを着ないタイプの人は「ヨセミテモバイルストラップ」を使うのをためらわないと思うんです。実際に自分も使うと思いますし。会社に属してスーツを着てという人は、自分が好き嫌いで選びにくい。もっと言うと、誰かに指摘されたりするのが嫌なんですよね。集団の違和感を探す人が組織内には必ずいるので。昔から思っているんですが、人が身に着けているものを貶してくる人は、本当はその人が身に着けたいけど、身に着けられないだけだろうなって。

ー 嫉妬みたいな感じですよね。
丸山:いま思うと、出演した番組のことをあれこれ言ってきた人は、羨ましかったんだろうなと。何かする時に応援してくれる人はいるけど、行動して何かを変えるのって自分しかいないですから。そういう時に善意悪意にかかわらず何かを言ってくる人…、それは本当に心配して言ってくれる人も、どっちの立場であろうと行動しようとする人の足を引っ張っているわけです。「別にお前に言われなくてもやるから!」ってなりますよね。とにかく、自分が気持ちよく動ける状況やマインドを自分でつくることが大事で、それはファッションにも現れてくるんだと思います。
ー 心強い言葉ですね。
丸山:自分の中で芯が通った時に、誰も何も言わなくなるんですよ。自分がこれを着たいかいかに強く思っているのか、思えるかどうか。善意だろうと、悪意だろうと、誰かが言ったことをもろともしない覚悟があるかどうか。ファッションもそういうことだと思うんです。
