人と人が繋がる空間になってくれれば。

ー 8月21日から週末の特別企画として〈タンジェリン(Tangerine)〉のみかんジュースが特別仕様で展開されるんですよね。なぜ、今回のポップアップでみかんジュースを取り扱うんですか?
大北:なんか面白いじゃないですか(笑)。〈タンジェリン〉は、もともとうちのスタッフが仲良くしていて、ぼくらにも興味を持ってくれていたんですよ。実際に紹介してくれたのは、展示に参加してくれている大竹笙子さん(SHOKO OTAKE)で、ラベルを描いてくれました。今回用に特別なパッケージでつくられたものなので、空間の中にあっても違和感がないんじゃないかと思ったんです。
佐藤:面白いですよね。みかんジュースが展開されるのは、自分もまったく想像していなかったことなので。最初に大北さんに言われたときはビックリしました(笑)。
大北:シノさんのプロダクトも展開しているんですが、今回のポップアップの空間に合うんじゃないかな、と感じたんです。空間として賑やかさが出るし、買うだけではなく、見ているだけでも楽しめるものだと思いますね。シノさんの作品を買いに「ソルトアンドペッパー」へ足を運んでくだださる方も、「『ソルトアンドペッパー』って〈ヴァイナルアーカイブ〉の人のお店だったんだ」って驚いてくださるんです。それも新鮮でいいですよね。


ー ちなみに、参加される8組のアーティストのラインナップは以前、ロンドンで開催する予定だったときとまったく同じなんですか?
佐藤:ちょっと変わってますね。
大北:「ビームスT 原宿」で開催すること、そしていかにつくる空間にマッチするかなどをいろいろと考えまして。自分がストレートに伝えたい人って誰なんだろうって考えた結果が、今回のラインナップになっているんです。〈ディアスポラスケートボード(Diaspora Skateboards)〉は〈ビームスT〉でも置いてますよね。




ー 逆に、今回候補として悩んだアーティストとかはいらっしゃいましたか?
大北:ヘティ(アーティストのHetty Douglas)ともコンタクトを取っていたんですが、今回は条件的に話がまとまらなそうだったのでまた別の機会に。
佐藤:今回は見送りになったんですが、ヘティ・ダグラスのような作風をTシャツに落とし込むことを考えたときに、〈ビームスT〉単体でお願いすると少し浮いてしまうのかもという危惧もあって。ぼくらとしても「ソルトアンドペッパー」と組んでやることに意味があると思っていました。
大北:難しそうだったから、それなら個展をしてもらってそのまま何か一緒にやりたい、という相談に切り替えました。条件を確認していく中で、そのまま話が流れたのかと思っていたんだけど、ヘティのプロフィールには2022年に「ソルトアンドペッパー」で個展をやると書いてあって。あ、やるんだって(笑)。そのときに〈ビームスT〉へまた相談したいですね。
ー アーティストもいろんな方がいらっしゃいますからね。
佐藤:〈ビームスT〉では、「ART FOR EVERYDAY」をテーマにいろいろなアートやグラフィックをTシャツに落としこんでいるのですが、アーティストの方へ依頼するハードルが最近少し上がってきた気がするんです。
大北:個人的にアートをTシャツにプリントするのは名刺代わりだと思っているんですけどね。ぼくらもアートブックを出版したり作品を取り扱ったりしていますが、金額的にもなかなか手を出しにくかったりしますから。




作品だけでなくZINEの配置までも大北さんが自ら手掛け、設営は「ビームスT 原宿」の閉店後から夜中の2時まで続いた。
ー 空間の中でアート作品や本を体験できるのがポップアップにおけるポイントですが、〈ビームスT〉ということで、やはりTシャツなどのアパレルプロダクトも楽しみですよね。
大北:「ビームスT 原宿」で行われるポップアップストアということもあって、参加するアーティストの理解もあったうえでアパレルプロダクトも多く展開しています。ですが、単純にアートグッズを展開するイベントではなく、しっかりとアートが体験できる空間になっているので、そこにも注目していただきたいですね。〈ビームスT〉のファンも「ソルトアンドペッパー」に普段から来てくれている人も、両方が楽しめる内容になっていると思います。普段、ギャラリーに行かない人にもアートの魅力を体感してほしいですね。
佐藤:そうですね。Tシャツなどの他に作品の展示販売もありますし、来てくれる人はアートもアイテムも両方をチェックしていただきたいです。
大北:今回のポップアップは、什器づくりも含めて本当に多くの人が協力してくれたお陰で空間をつくり上げることができたんです。今回の件で、アイデアが広がって実現できたこともあります。そんな風にイベントを介して、アーティストの作品を見る、アイテムを買うというだけではなく、人と人が繋がるようなものになれば嬉しいですね。
