昔からあったような気にさせる新定番が誕生。

ー その近い感覚が、今回の協業に活かされていると感じます。アイテムの大きな特徴として、同じモデルのサイズ違いが展開されていますね。
金子:時代の変化に応じた選択肢があったほうがいいと思って、サイズを展開しました。言葉にするのは簡単だけど、大変だったんですよ。
早崎:ぼくはバッグのサイズ感をなんとなく分かっているつもりなので、新作モデルのサイズ展開は難しくありませんでした。でも、452(デイパック)とロールボストンの定番モデルは、改めてサイズを見直しました。

金子:サンプルで上がってきた452のサイズ感に納得できなくて、細かく調整し直しましたよね。
ー シンプルに見えてかなり細やかな気配りがされていると。「これだ!」っていう決定打はどこだったんですか?
早崎:最後は感覚でした。サイズごとに同じ長さで変えていくと、辻褄が合わなくなってくるんですよ。実際に測るとピッチに合った長さなのに、見た目はそんなに変わらないなんてこともあって。
金子:結局全部並べて、みんなで話し合って決めました。
ー カラー展開については?

早崎:色はぼくからの提案です。〈アウトドアプロダクツ〉を知ったのは高校生の頃、80年代後半。当時はアメカジブームで、〈アウトドアプロダクツ〉が大人気だったんですよ。その当時の〈アウトドアプロダクツ〉らしい色合いを意識しています。
ー サイズも色も選択肢がグッと増えて、多様化している現代の生活にぴったりだと思います。バッグのタイプについての話し合いはしましたか?
金子:話し合っていました。絶対につくりたかったのは、トートバッグ。

早崎:そうそう。452とロールボストンに次ぐ新定番として、トートバッグをつくることになりました。
ー 最初、トートバッグが新作だと聞いて驚きました。昔からあっても不思議じゃないくらい普遍的なデザインで、452やロールボストンと肩を並べていてもなんの違和感もありません。トートバッグの機能面の特徴はなんですか?
早崎:452とロールボストンのように、できるだけギミックを削ぎ落としました。おっしゃっていただいたように、あたかも昔から存在していたかのように。

平林奈緒美さんがデザインとして落とし込んだサイズ表記。「ひと目で欲しいサイズがわかるのが便利なんです」と金子さん。まさに用の美を体現している。
金子:マチが広くて使いやすいですよね。自立もしますし。ぼくは自転車のカゴにぴったり入るサイズを買いました。
ー 開口部分がファスナーじゃなくて、巾着タイプになっていますね。
早崎:ファスナーは開けるか閉めるかのどちらかですが、巾着なら全開じゃないけど、手が入るくらいだけ少し開けておくこともできたり、微妙な調整が効くんです。実際に使ってみれば、便利さが分かると思います。

半開き状態にしておけるのが、巾着タイプの魅力。自転車に乗っているときなんかは、走りながらでもバッグの中身を取り出せる。しかも、荷物も落ちない。TOTE(X-LARGE) ¥8,800
金子:確かに、使ってみて分かりました。ファスナーは引き手が小さいからつまむ必要があるけど、巾着なら簡単に開け閉めできるのも便利でした。