シンプルで合理的なデザインこそ道具の真髄。
ー 2階のバッグは、すべて早崎さんによるデザインですか?
早崎:そうです。〈テンベア〉と〈アウトドアプロダクツ〉で、ディテールを共有しても大丈夫ということだったので、〈テンベア〉のディテールを採用しているものもあります。例えば、巾着タイプの「ドローストリングバッグ」。
早崎:巾着って、2本の紐を左右に引っ張って口を閉じるのが一般的ですが、〈テンベア〉では紐を輪にしているんです。そうすることで、左右に引っ張るより楽に口を閉められる。それを〈アウトドアプロダクツ〉でも使わせてもらいました。
金子:意外と気づかないことですよね。実は、紹介しきれていない機能がたくさんあって、どれもめちゃくちゃ実用的。ぼくが早崎さんに求めていたことが、アイテムすべてに詰まっています。
早崎:レジ袋が有料になって、スーパーにはエコバッグを持っていくようになりましたけど、コンビニで買い物をする時には持っていなかったりしますよね。ということでつくったのがこれ、「ミニショルダー」。少しだけ容量を拡張できるので、荷物がいっぱいでも缶ビールくらいなら入ります。そして、長さを調節できるストラップ2本を組み合わせているから、肩掛けと手持ちの2WAYで使えます。
ー 通販番組を観ているような、驚きのギミックが満載です(笑)。シンプルなデザインなのに、便利な機能が備わっている。
金子:これは一見すると飾りのストラップですが、補助ハンドルの役割。例えば、車のトランクに積んでいて、取り出す時にここを持って引っ張り出すことができます。
ー 使われているパーツはすべて意味があるということですか?
早崎:余計な飾りはありません。なにかしら理由があります。
金子:1973年からの歴史を踏まえつつ、横道に逸れずにデザインしていただけました。
ー 〈アウトドアプロダクツ〉ではナイロン素材を使っていますが、〈テンベア〉にその印象があまりありません。使ってみた感想は?
早崎:コーデュラナイロンは使いたいけど、ブランドらしさを考えて、少し避けていた部分があります。でも、今回この素材を使ってみて、帆布と変わらないと思いました。両方とも素材自体は素朴なので、使い方や位置付けとしては似ているように感じます。ナイロン素材だからこそ作れるバッグもあるかもしれませんが、それを追求すると〈アウトドアプロダクツ〉らしさがブレちゃう気がして。ぼくはブレやすいから、ブレないように立ち返ることも大事なんです。
ー 〈アウトドアプロダクツ〉のバッグをデザインしてみて、いかがでしたか?
早崎:次に生かせる反省点がたくさんあります。もっと道具っぽくしたいですね。
ー 次にリリースが決まっているバッグはありますか?
早崎:ワンショルダーを年末に向けて製作しています。
金子:あとはコラボレーションも続々と控えているので、ぜひ楽しみにしていてもらいたいですね。