ー 芸のインスピレーションはどんなところで得ているんですか?
じろう:「シソンヌ」のコントは日常を膨らましたものが多いんですけど、新聞を読むことがぼくは好きで、ニュースの他にも読者のお悩み相談とか掲載されているじゃないですか。それを読むのが好きなんですよ。一般人の声。そこから派生してネタをつくることが多いですね。
ー コントを見ていると、普段からすごく人間観察されているんだろうなと思います。
じろう:意識的にというよりは、もう自然にやってるんですよ。人間が好きですし、おもしろいひとがいっぱいいるので。
ー 演技も上手ですよね。そうしたユニークなひとたちが憑依するんですか?
じろう:憑依型とは言われるんですけど、なんとなくそういうひとになりきってますね。
ー ユニークな悩みを抱えているひと、言動がおもしろいひとの他に、例えば街でファッションが気になったひととかもネタの対象になるんですか?
じろう:そうかもしれませんね。ぼくはおしゃれをしているおばさんを見るのがすごく好きなんですよ。その日、その服を選んだ理由とかが気になったりして。それを想像するとかわいいなって思う。あとはご夫婦で、お父さんがすごいダサい格好しているんだけど、帽子だけ妙におしゃれだったりすると、奥さんに「あんた帽子だけはなんとかしなさいよ」って言われたのかな、とか(笑)。ファッションにもいろんな情報があって、その裏側にある物語を妄想しちゃうんです。芸人ってツッコミ気質なので、ヘンなところを見つけたがるんでしょうね。
ー シソンヌのお笑いはすごくシュールだと思うんです。もちろん爆笑を取りにいっていると思うんですが、どういう笑いが欲しいっていうのは考えるんですか?
じろう:ぼくら、ベタベタなものも好きなんですよ。例えば、「ドリフターズ」みたいなやつとか。単独ライブでもそうしたネタを披露することがありますし、あとは「これどうやって笑えばいいの?」っていうようなネタもやりますね。
ー 実験的というか。
じろう:そうですね。ぼくがおもしろいと思って書いたネタでも、お客さんに全然ウケないことがあって、だけど周りの芸人さんとか関係者にはめちゃくちゃウケがよかったりするんです。まぁでも、お客さんにウケないとヘコみますよね。そこからどう改善すればウケるのか考えたりします。ぼくらは単独ライブをよくやるので、実験するチャンスが多い。だからそうした機会でネタを成長させていきますね。
ー やはり爆笑が起こったときは快感なのでしょうか?
じろう:もうそれにやみつきになってしまって。芸人はみんなそうだと思うんです。爆笑をとったときの快感は他のものに代えられない。それが欲しくてみんなネタを書くんです。
ー 最後に、これからやりたいことや目標について教えてください。
じろう:各地の小学校を周ってライブをしたいなと思ってて。コロナの影響でそれができなくなってしまったんですよ。昔、公民館とかでよく分からない劇とか見たりしませんでした? あの一環でぼくらも道徳的要素を含めたライブを小学生たちの前で披露したいなって思ってて。世の中が落ち着いたら実現したいですね。
ー そうした教育的なことにいま関心があるんですか?
じろう:そうですね。子供の頃にいろんなことを見て触れるって大事なことだと思うんです。いまの子どもたちってスマホが当たり前にあって、すぐYouTubeとか見ちゃう子が多いと思うんで。ぼくらが子どものときよりも選択肢が多いのはいいことかもしれませんが、なんだか画面ばかり見ているのも味気ないじゃないですか。だからとにかく生でいろんなものを見てほしい。「シソンヌ」もようやく子どもたちに認知されてきた感覚があるし、やってみたいですね。