Case02_Yuta Kaji

アー・ペー・セーの魅力は一言じゃ言い表せない。
ー 梶さんにとって〈アー・ペー・セー〉はどんなブランドですか?
ずっと好きなブランドですし、安心感があるのかな。でも、その魅力は一言じゃ言い表せないぐらい。知ったのはブランドが設立されたばかりの頃で、当時たまたまパリに行ったときに〈アー・ペー・セー〉のお店を探したのをいまでも覚えています。あと、彼らがつくるビジュアルはずっと好きで、結構昔のカタログも取って置いたりしていますよ。
ー ブランド発足当初の印象といまとではブランドに対する印象は変わりましたか?
厳密に言うと少しづつは変わっていると思いますが、いい部分というのはずっと残っていると思います。ブランドのことを最初に知ったのは17,8歳ぐらいのときだったんですけど、当時の自分はデザイナーのジャン・トゥイトゥの世界観まで見れていたかと考えると、そうではなくて。仕事をしたり、色々経験したりして、後になればなる程こういうことだったんだとか、理解できるようになった気がします。そういう奥行きがある点も素晴らしいなと思います。

ー その当時から愛用されていたアイテムはありますか?
Pコートはいまでも着ています。物が良かったというと簡単かもしれませんが、あの時代の上質な素材が使われている気がしますし、ずっと好きなフォルムなんで未だに愛用しているんだと思います。
ー それぐらい長年着られるデザインと品質であるというのは、やはり流石ですよね。デニムについてはどんな印象ですか?
デニムを穿き始めたのは、実は結構最近なんです。でも実際に穿いてみると、これだけ支持される理由も遅まきながら理解できました。
ー お気に入りのモデルはありますか?
「プチスタンダード」です。ちょっとテーパードしているモダンな雰囲気が、その頃の自分にとっては新鮮で。それで一度試してみようと思ったのが、〈アー・ぺー・セー〉のデニムを穿き始めたきっかけですね。

ー 色落ちを楽しんだり、所謂デニムを“育てる”ことはされますか?
これまであんまり興味なかったんですけど、いま子供が生まれて抱っこするときに膝が伸びたりとか、日常の中でデニムに風合いが出てきて。デニムを育てるつもりはなかったんだけど、結果的に生活の延長上でそうなったことで、意外とデニムの良さってこういうことなのかと理解できた気がしました。

バトラーデニム ¥33,000〜
ー 穿き古した〈アー・ペー・セー〉のデニムは、色落ちの状態などが一定の基準をクリアしていると、新しいデニムと半額で交換でき、その回収されたデニムはリペアなどを施し、新たに店頭にて売られるという「バトラープログラム」というサービスもやっているんです。
そのリペアされた自分のデニムをまた買い直したいというひともいそうですよね。自分だったら、状態が良くなって店頭に並んでいるの見たら、欲しいなと思ってしまうかも。
ー リアルな色落ちのデニムを欲しいというひともたくさんいるので、結構売れているみたいです。
長く続けているブランドらしい、新しい服の提示の仕方ですね。そうやってチャンネルを増やしていくのは面白いですよね。そういう意味で〈アー・ペー・セー〉は引き出しが多いから、ファッションの遊び方も増やせるんだと思います。
Style with JEAN STANDARD
ー 今日穿かれた「ジーンスタンダード」は、愛用されている「プチスタンダード」よりも太めのシルエットですが、実際に穿いてみていかがでしたか?
「ジーンスタンダード」は比較的新しいモデルだと思っていたんですけど、さっきプレスの方にブランド初期に展開されていたモデルを復刻したものだと聞いて、驚きました。なんとなくどこか昔っぽさ、安心感があるのは、そういうことなんだろうなと。
ー 上下デニムのスタイリングというのは、いま提案したいデニムの着こなしですか?
そうですね。〈アー・ペー・セー〉のデニムってどこか都会的だったり、洗練された印象があると思うんです。だから、他のブランドだといなたく見えてしまうようなデニムとデニムを合わせる思い切った着こなしも、〈アー・ペー・ セー〉であれば意外とシャープに見せてくれる良さがあると思います。
Style with New Standard
ブルゾン ¥36,300
ー もう一方の「ニュースタンダード」はブランドを代表する定番モデルですが、いかがでしたか?
ぼくの中では、一番オーソドックスな気がしました。「ジーンスタンダード」もそうですが、無理してない感じがあるので、すごく自然に穿けましたね。
ー 〈アー・ペー・セー〉のデニムを選ぶときに、サイズの面で気にされていることはありますか?
サイズ感に関しては、何インチとか細かな数字は気にしていなくて、ある程度のゆるさがあればいいんですよね。服をきちんと着るとあまり自分には似合わないので、少し隙がある感じが好きで。ただサイズが大きすぎて、むしろいまっぽくなりすぎるようだったら、サイズを下げたりしてトレンドとの距離感を楽しんでいます。それがサイズ選びの醍醐味なんじゃないですかね。
PROFILE
1998年よりスタイリストとしてのキャリアをスタート。ファッション誌、テレビの他に広告、映画などで幅広く活躍。オリジナリティ溢れるスタイリングは各界から絶大なる支持を受けている。