自分がきちんと向き合えることだけをやる。
ー 20周年はすごく大きな節目だと思うのですが、今野さんはこれからのことをどう考えていらっしゃいますか?

今野:ぼくはいま44歳なんですが、一般的な定年退職まであと20年ものこっているので、まだまだがんばらないとなというところです。そう考えると、20周年はまだ通過点ですね。
〈ネクサスセブン〉に関しては今後もブレずにやっていきたいのと、デニムブランドの〈ビヨンデックス〉もちょっとづつ日の目を見るようになってきたので、これから新しい動きができればいいなと思っています。
あとはぼくは出身が千葉なんですが、今年からプロバスケットボールのB3リーグに参入した「アルティーリ千葉」のクリエイティブディレクターに就任したので、そちらもがんばりたいと思ってます。下部リーグからのスタートにはなるんですが、すごくいいヘッドコーチを海外から招致して、トップリーグからもいい選手たちが移籍してきたんです。プレイヤーの方々はまだ仕上がりは40~50%くらいと言っているんですが、結果はいまのところすごくいいので、この調子で盛り上げていきたいですね。
ー 「アルティーリ千葉」のユニフォームやオフィシャルグッズのデザインなどを手掛けているんですか?
今野:そうですね。選手やパフォーミングサポーターのユニフォームのデザインやパンフレットやグッズのデザイン、あとは音楽や映像もチームを編成をして、そのメンバーたちと一緒にほぼ全てのチームディレクションと監修をしています。
ー いままでのクリエーションとはまたちがう頭の使い方をしそうですね。
今野:難しさも感じながらやっています。これまで大衆に向けたものづくりをあまり意識してこなかったので、それをいま勉強しながらやっているところですね。

ー 先ほどの話と重なる部分がありますが、〈ネクサスセブン〉はもちろん、〈ビヨンデックス〉や「アルティーリ千葉」にしても、今野さん自身が楽しみながら好きなことをやられているというのが伝わってきます。
今野:ありがたいことにたまに他のお仕事のお話をいただくんですが、自分が無理するとお客さんに伝わってしまうので、自分がきちんと向き合えることだけをやっている感覚ですね。〈ネクサスセブン〉や〈ビヨンデックス〉は自分発信ですが、地域貢献につながればいいなという気持ちもあって。スポーツチームと関われることって人生の中でそうそうあることじゃないですし、地元の仲間や家族孝行にも繋がることなのかなと思っています。やっぱり地元の人たちの活力源になればいいなという想いが強いですね。
ー すごく地元愛を感じると同時に、それは未来を見据えた行動だと思うんです。
今野:この年齢になってそういう役が回ってきたように感じています。いまのうちにできることをやっておきたいと思っていて。地元の千葉もそうですし、東京も見ていて思うのは、自分が子供の頃に感じていた街の活気とは違うんですよ。どこかすこし寂しさを感じるというか。なるべくその寂しさを排除して、むかし感じていたような活気が戻ればいいなと思うんです。自分が率先して動くことで、周りの方々もまた別の動きをしてくれたらうれしいですね。
全部ひとりでやるのは難しいということがわかっているので、自分を叩き台にしていろんなことが活発になればいいなと。今野がこういう動きをしているから、自分たちはこういうことができるんじゃないかという気づきを与えられたらと思っています。
ー 無理のない範囲でできることをするということですね。
今野:そうですね。手に負える範囲がわかっているので、それを理解しながら行動することが大事かなと。そうじゃないと長続きしないので。無理せず、だけど一生懸命やりたいと思ってます。

今野:ぼくも先輩たちの背中を見ながら育ったし、一方ではその先輩たちを超えたいと思いながらがむしゃらにやってきました。立場的には後輩に当たりますが、先輩を超えるのがぼくらの役目かなとも思うんです。そうした想いを抱きながら20年間がんばってきたつもりです。
ー それは今野さんも後輩に追い越されることも考えているとも捉えることができますね。
今野:ぼくを先輩として慕ってくれる後輩の子たちには、自分のノウハウを伝えたいと思っていますね。〈ビヨンデックス〉をスタートしたときも、それを自分たちのものだけにしないようにしたいと思ったことがあって。やっぱりデニムの機屋さんもむかしに比べるとすごく衰退してきているので、自分たちの活動でそこも少しでもフォローできたらと考えているんです。ものづくりはもちろんこれからも継続するんですが、手を上げてくださる機屋さんがいたら、自分たちでつくったレシピを切り分けすることも念頭にいれています。そうすることで産業全体が活性化したらいいなと。そうすればぼくたちもやりたいことを続けられるし、結果的に助かるので。
アパレルを目指す若い子たちがいたら、その子たちのフォローもしたいです。〈ネクサスセブン〉をスタートした頃は、生地屋さんもたくさんあって、そのぶん生地の数もたくさんあったんですよ。いまはその10分の1くらいの規模に縮小してしまっています。そうした状況でブランドをスタートするのも大変だと思うので、生地や素材、下地の部分でお手伝いできることがあれば積極的に協力をしていきたいですね。