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漁網をジャケットにしてしまうパタゴニアは、やっぱりかっこいい。
Next is NetPlus®︎.

漁網をジャケットにしてしまうパタゴニアは、やっぱりかっこいい。

SDGsが叫ばれる前から、ずっと変わらず〈パタゴニア(Patagonia)〉はエシカルだ。環境や社会の問題に粘り強く取り組み続け、実際に数々の問題を解決してきた。今回もそう。海洋プラスチックとして問題になっている、海中の漁網を服の生地へと見事に転用することに成功した。その生地の名前は「NetPlus®︎」。それを用いて作られた、色鮮やかなグリーンのダウンジャケットを携えて向かったのは湘南藤沢エリア。プライベートで海釣りを楽しみながら、服作りから鰹出汁まで幅広く生業を持つ海瀬亮さんに、海や環境問題、このアイテムやパタゴニアという企業について語ってもらった。

  • Photo_Hioryuki Takenouchi
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Keisuke Kimura

PROFILE

海瀬 亮

静岡県沼津市で生まれ育ち、幼少期から海と身近に暮らす。上京後は都市生活を送り、12年前に東京から湘南・藤沢エリアの海近くに移住。趣味の釣りを楽しむ毎日を送る。ビジネス面では、自分の手の届く範囲で服を作り届けるブランド〈urself〉、カツオを使ったフードプロダクトを生み出す〈NICATA〉を手がける。

about NetPlus®︎

〈パタゴニア〉が投資をし、カリフォルニアの企業「ブレオ社」が開発した、使用済み漁網を100%リサイクルしたナイロン素材。今後の〈パタゴニア〉製品には、同素材を採用したものが多数販売される予定。

いま、この瞬間に進行する、環境破壊。

ー 海の環境が問題視されていますが、海瀬さんが実際に見る海のゴミで、印象的なものは何かありますか?

海瀬:下世話な話ですけど、男性用アダルトグッズとかコンドームとかがよくあるんですよね。特に夏。使ったなら海や川じゃなくて、堂々とゴミ箱に捨てろよって思うんですけどね。あとは、プラスチック系のゴミが多い。例えばバケツが粉々になったかけらのようなものとか。僕は釣りが好きで、釣った魚をよく捌くんですが、胃の中からビニールのかけらのようなモノが出てきたこともあります。

ー ここからも護岸工事でショベルカーが土をせっせと盛っているのが見えます。この12年で海の変化は感じますか?

海瀬:それはもう、めちゃくちゃ感じます。この近くに相模川という大きな河川があって、この辺りの砂は相模川水系の山間部から流れてきた砂で形成されているんです。でも、ダムが出来たことで砂が流れてこなくなったので、砂浜が2、3メートルは侵食されました。特に七里ヶ浜海岸あたりはすごく進んでいる。海から船で見るとよくわかるんです。もちろん、川沿いの住民の水害被害などの安全面を考えると、そのダムをなくせばいいというような単純な話でもありません。

海瀬:この30年くらいで10〜20メートルの砂浜がなくなっている箇所もあります。台風がたくさんの砂を持っていくなんて話も聞きます。砂浜が消えていくと聞いても軽く考えがちだけど、国土がなくなっているということですからね。砂浜がなくなれば、生態系は変わるし、面した道路も建物も使えなくなるし、塩害ももっと内陸に来る。これは何十年後にはもっとひどくなっているでしょう。

ー 行政も手をこまねいているわけではないけど、うまくいっていないということですよね。

海瀬:ここ周辺も30年くらいで、おそらく何十億円という莫大な予算をかけて護岸工事しているはず。でも追いついていない。僕個人もどう改善すればいいのか、答えはわかりません。でも、考え続けなきゃいけないなと。

ー 確かに難しい問題です。

海瀬:何かを作るときに、SDGsを目指しはするけど、葛藤は常にある。例えばアパレルで、SDGsに特化したブランドを始めますという会社があるけど、そもそも作らない方がいいんじゃないの? とか。そうしたらゴミは出ないし、機械も動かさないから二酸化炭素も排出しない。だから、何かを作るときには、自問自答しながら進めるようにしています。

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