PROFILE
ラッパー、音楽レーベル「DREAM BOY」主宰。早稲田大学卒業後、会社員と音楽活動の二足のわらじを履きながら、2006年にアルバム『プロローグ』でデビュー。その後もコンスタントにリリースを続け、これまでに11枚のアルバムを発表。近年は、「フリースタイルダンジョン」のレギュラー審査員や、「PRODUCE101 JAPAN」のトレーナーなど、地上波のテレビ番組でも活躍している。
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夢を聞かせてもらってもいいですか?
KEN THE 390(以下、KEN):では、最初に自己紹介をしていただいてもいいですか。
イシイ:イシイケンタです。19歳で文化服装学院に通いながら、〈ILL〉というアパレルブランドとDJもやっています。ブランドを始めたきっかけは、周りがみんなかましてるのに、オレだけかませてないのが悔しいなって。ヤベェ奴になりたい欲が溢れ出て、“ILL”になりたいというところから〈ILL〉になりました。
KEN:〈ILL〉っていいね、ヒップホップっぽい。ヒップホップだと、「すげえILLだな」とか「SICKだな」とか、ちょっとマイナスな言葉をプラスに捉えたりする。普通は“病気だなって”思うけど、褒められたって思うからいいよね。
白川:白川 学です。いまは21歳で早稲田大学に通いながら、「ENJI」というサークルでフリーペーパーをつくっています。100人ぐらいいるんですけど、実働は30人ぐらい。自分たちで撮影や文章、レイアウトを考えています。
KEN:すごいね、フリーペーパーをつくって。その辺の編集部より絶対人いるよ。30人も編集部いるところ、あんまりないと思う。ズキ子ちゃんには、何度か会ってるね。だいぶ若い時から知ってるけど(笑)、まだ18歳だよね?
ズキ子:19歳です(笑)。イベントのオーガーナイザーと、ラジオのパーソナリティと、DJと、プロデュースとかもろもろ、ヒップホップに携わる仕事をやらせてもらっています。
KEN:本当にいろいろやってるよね。この自己紹介を踏まえつつ、みんながこれからどうしていきたいかみたいな話しを聞かせてもらってもいいですか?

イシイくんが着ているのは、2月に「オフショア」でのポップアップで発売したアノラック。折り畳んでバッグにできたり、ポケットの数を好きにオーダーできたりと凝った仕様に。イエローとブラックの2色展開。
イシイ:近々の目標は、サッカーが好きでユニフォームをつくりたいんです。フットサルをやっているんですけど、お揃いで着て、みんなで大会に出たらカッコいいなと。最終的な一番の夢は、時代をつくること。自分の時代というかカルチャーをつくるのが、一番かっこいいと思う理想像です。自分のエゴなんですけど。
KEN:やるならそれぐらいの方がいいよね。時代をつくったらどうなるの?
イシイ:イシイケンタが刻まれるみたいな。いまだったら、「90年代とか、00年代はいいな」ってみんな言っているんですけど、「2030年やばかったよね」「あ、イシイちゃんでしょ」ぐらいになりたいんです。
KEN:イシイくんがいいと思うものが世の中の基準になるみたいな? ぴったり同じみたいじゃなくても、似たイメージの人はいる?
イシイ:NIGO®︎さんとか、いとうせいこうさんは知る人ぞ知るというか、時代をつくってきた人なのかなって。
KEN:それこそ、せいこうさんはオリジナルラッパーだしね。「セイホー!」の「騒げー!」を最初に言ったのもせいこうさん。英語だと「Everybody Say Ho」のあとに「Scream」って言うんだけど、直訳の“叫べ”では、みんなどう叫んでいいか分からなかった。それで「騒げ」の方が自然に声をあげるんじゃないかってやってみたら盛り上がって、いまもぼくらが同じように真似してるっていう(笑)。伝統になって、みんな何も知らずに真似してるっていうくらいになったらいいよね。「みんなが普通にやってるあれ、イシイちゃんが始めたらしいよ」って。
白川:ぼくはいま、サークルでフリーペーパーをつくっているのと、とある雑誌の編集部で雑用のバイトをさせてもらっていて、雑誌に携わりたいなって思っています。ネットとかもありますけど、紙媒体っていうフィジカルなものでやっているのが、カッコいいなっていうのがあるんです。最終的には雑誌じゃなくても、自分が面白いとか、カッコいいなって思うものを、世の中に広めるような仕事をしたいです。

白川くんが在籍する「ENJI」は、2009年10月に「ファッションデワセダヲカエル」をコンセプトに発足した早稲田大学の学生団体。コーディネートからデザインまですべてを学生で行い、年に3冊のフリーペーパーを発行している。
KEN:それは考え方が雑誌っぽいね。いまは逆に紙がいいんだ? ぼくらは紙で育ったけど、みんなはどちらかと言うとデジタル世代なのかなって思ってた。アナログレコードがカッコいいみたいな空気?
白川:ぼくの周りではそういう感覚があります。収集みたいな感じになっているんじゃないですかね。レコードもみんな買ってます。
ズキ子:そうですね、分かります。趣味としてみたいな。わたしはいろいろやってきて、プロデュースがいま一番やりたいなって思っています。簡単にいま一番分かりやすく言うと、カニエになりたいです。カニエ・ウエスト!
男子:おぉ〜!
ズキ子:新しいサウンドをつくり出したいんです。ヒップホップの根底を残したまま、どれだけ新しいサウンドを入れていってカルチャーにできるかっていうところですね。キャレド(DJ Khaled)みたいな、そういうプロデュースをやりたいです。

ズキ子ちゃんがオーガナイズしているイベント「ADVANCE」の過去のフライヤー。毎週火曜20:00から「WREP」で「ADVANCE TIME」というラジオ番組も放送中。昨年からは「TOKYOMOVE」というイベントもオーガナイズしている。
KEN:プロデュースもいろいろあって、人を繋げたりもプロデュースだよね。ヒップホップシーンにいるし、同じ世代でそういう風になっていくんじゃない?
ズキ子:先月ぐらいから徐々に動き始めていて、制作中です。まだ難しいなってところもあるんですけど、自分が求めているものが現実化してないだけで、これから調節していって、より完成に近いものにしていけたらなって。