PROFILE
1981年生まれ、高知県出身。スタイリスト・梶雄太氏に師事。ファッション誌、ブランドカタログ、TVCM、ミュージシャン等のスタイリングを手がける。近年では〈ニューバランス〉「MET24」などのヴィジュアル制作も担当し、ブランドの魅力を深く掘り下げながらスタイリングを手がけている。
象徴となる色なのに、誰にでも合う。いい意味で矛盾した概念がいい。
ー 竹崎さんがはじめて〈ニューバランス〉のシューズを履いたのはいつ頃のことですか?
竹崎:中学生のときでした。雑誌の『COOL TRANS』や『BOON』を読んでいて、ちょうどそのとき「576」がフィーチャーされていたんですよ。それでレザーのバーガンディを買って、高校生になってもよく履いていました。

竹崎:その後は履かない時期が続くんですけど、大人になってから仕事の絡みで1足、〈ニューバランス〉のスニーカーをいただいたことがあったんです。それで履いてみたら、とにかく履き心地がよかった。ぼくたちの仕事は常に動き回っているので、〈ニューバランス〉を履いていると疲れないことに改めて気づいたんです
ー そこからよく履くようになったんですね。
竹崎:そうですね。まずはじめにネイビーの「990 v3」を買って履いていました。その頃から〈ニューバランス〉のお仕事をちょくちょくさせてもらうようになったんです。個人的には「991.5」も好きでよく履いています。
ー 〈ニューバランス〉というブランドにはどんな印象を抱いていますか?

竹崎:やっぱり“グレー”ですよね。ブランドにとっては象徴となる色で、いちばん大切な色であるにも関わらず、一般的にはニュートラルで、誰にでも合う色。他にグレーを象徴するブランドってないですよね。

竹崎:ぼくは明るめのグレーが好きで、とくに夏場なんかは白いボトムを穿くことも多いので、それに合わせるために明るいカラーリングのシューズを合わせることが多いんです。
でも、一方では青っぽいグレーもあるじゃないですか。
ー 「スティールブルー」ですね。鉄っぽい色というか。
竹崎:そうそう。ああいうクールな感じのグレーもかっこいいなぁって。グレーってニュートラルな色だからこそ、使われているパーツの色によっていろんなイメージに染まるんだなと。
ー 〈ニューバランス〉のシューズはどれも、色出しが秀逸ですよね。
竹崎:本当に絶妙だと思います。そして、グレーだからすごくよくなじむんです。

竹崎:あと、〈ニューバランス〉ってすごく都会的なイメージがあって。都市部の人たちが履いている印象。田舎はクルマで移動するけど、都会は電車に乗って他は歩くじゃないですか。だからそういう意味でも〈ニューバランス〉のグレーや歩きやすさというのは理にかなっているなと。もともと矯正靴をつくるところから歴史ははじまっていますし。
ー 〈ニューバランス〉のグレーが生まれた背景は諸説ありますが、そのうちのひとつに、ボストンの街を走るのに馴染むようアスファルトに合わせて取り入れた、という説があるそうです。
竹崎:そうだったんですね。じゃあぼくが抱いていたイメージは間違っていなかったんだ。
あと、ぼくにとっては温故知新なブランドでもあるんですよ。きちんと歴史を大切にしていて、それを踏まえた上で素材やシルエットを現代的にフィットさせていっている印象があって。たとえば「990」にはいろんなバージョンが存在しますけど、むかしのデザインを引き継ぎながら、新しくなるたびにどんどんアップデートしていますよね。そういうアプローチがぼくは好きですね。
ー きちんと基礎があった上で、それを大切にしながら現代的にモディファイしていますよね。
竹崎:新しいモデルも出しながら、元あるものを大事にする姿勢がかっこいい。履いている著名人たちも、キメキメっていうよりも、さりげなくおしゃれをしている人たちが多い印象ですね。
