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耳と目で感じる、浅井健一のピュアネス。そしてスカイブルー。
Feel The Benzie

耳と目で感じる、浅井健一のピュアネス。そしてスカイブルー。

パッケージメディアからサブスクへと音楽の視聴形態が変わり、更には興行に際して制約の多いニューノーマルな現代。音楽業界にとって逆風とも言える状況で多くのミュージシャンが新しい表現のかたちを模索するなか、浅井健一氏は泰然としつつも着々と活躍の幅を拡げています。今年、そのキャリアのなかでも最長の活動歴を誇るSHERBETSが待望の新譜『SAME』を引っさげて再始動。同時に画集『Beauty of Decayed Trans Am』の上梓と個展の開催も発表となりました。レーベル設立から20年を超えたいまも精力的に活動する浅井氏に、新譜と画集のリリースを記念して、ふたたび会いに行くことに。ファン丸出しのミーハーな質問にも自然体で答えてくれた吟遊詩人であり絵描きの言葉を、前回同様に出来る限りそのままお届けいたします。

目で見る音楽としての、ナラティブなアートワーク。

—『SAME』とほぼ同時期に発売になる画集『Beauty of Decayed Trans Am』は200頁を超える大著です。随所に挟まれるエッセイも読みどころで、いわば浅井さんの音楽活動以外のクリエイティブ面の総集編だという趣きでした。

ありがとう。一生懸命つくった。

—あまりデジタルなものを信用していないイメージがあったので、水彩とデジタルペイントを使い分けているのも印象的でした。

水彩は絵として描いとるでしょう。こういうの(デジタル彩色のアートワーク)は物販用のグッズをつくる時にデザインしたもので、コンピューターの中で完成させてる。中には採用されなかったやつもあったんで、そういうのを発表したかったんだわ。

—最近はSTRIPE CAT DESIGN ART SERVICEという名義で、企業案件のデザインも引き受けてますね。

はじまりは京都のピザ屋さんから「Tシャツのデザインをして欲しい」って言われて、ファンだって言うから「いいよ」ってやったんだよね。その時にはじめて「こういう方面の仕事もあるんだな」って思ったんだけど、そうこうしているうちにコロナが始まってさ、ライブが出来んくなったでしょう。これはレーベルとしても大変な状況だって話から「デザインの部門を立ち上げよう」ってことになって、それで本格的にやり始めた。

—自由にデザインをするのと、クライアントワークとしておこなうのでは勝手が違いませんか?

全然違うね。いまんとこ、めっちゃんこ頑張っちゃうね。クライアントさんがいると姿勢が違ってくる、とは思うよ。だけど凄く期待していただいているものですから、絶対に裏切りたくないじゃん。ひとつの案件に対しても物凄い種類を描いて頑張っとるけど、値段設定がまた難しいね。最近はちゃんと時間を掛けてやれる値段がだんだん分かって来たんだけど、価格を伝えると「そんなに高いんだったら辞めときます」って人もいれば「その値段でもお願いします」っていう人もいらして。そのぐらいの対価を払ってくれるのであれば、こっちも相当な期待に応えなくちゃいけないってなりまして。だから値段が……ポイントかな。様々な契約の種類が存在しております。

—画集ではアメ車やバイク、猫にクリームソーダといった浅井さんのイラストで定番モチーフが登場していますが、それらの画題としての魅力はどんなところでしょう?

ミッドセンチュリーって言うか、1950年代から70年代の頃のデザインってカッコいいと思うんだよね。特にアメリカの。洗練されてると思っとって、単純にあの感じが好きだね。家具にしろ家にしろ、60年代後半から70年代のあたりが好きかな。

—ミュシャをオマージュしているものもありましたね。

バレたか。そう。トムとジェリーやスヌーピーが出て来たりするしね。素晴らしいものを取り入れて、そこに自分のオリジナリティを入れていく、ってことなんじゃないの? 世の中の人たちって、みんな何かにスッゲーと思って、そっから始まるんでしょう。俺も同じで「こういう構図もあるんだ」とか色々な物に刺激されながら「俺流にこの構図で書いてみよう」とか。後はそのなかに自分の記憶に残ってる光景が混ざったりしてるかな。

—画集に掲載された水彩画はどれもロードムービーの一場面を切り取ったような物語性を感じました。たとえば『Dry Skin』では絵の中の人物が何を飲んでいるかまで文章で説明してあって、設定が煮詰まってるからこそのストーリー性なんじゃないかと。

「なんか文章書いて」って言われたから、その時に絵を見て浮かんだことを書いとるだけだわ。面白いでしょ。まさかカルピスだとは思っとらんよね。

—水じゃないんだ、みたいな(笑)。『Dry Skin』は『Johnny Hell』のMV撮影時に観た光景が絵として表現されたものですし、絵も楽曲もあくまで浅井さんの経験の中から生み出されたファンタジーの世界であって、表現方法は違えどひと続きなんですね。

もちろん。同じ人がつくっとるからね。絶対どこかで繋がっとるよね。

—新譜と画集を合わせて鑑賞すると、楽曲の情景が脳裏でイメージしやすいように思います。

あぁ、ぜひとも。両方手に入れて、観ながら聴いて下さい。聴いたり観たりした人が嬉しくなってくれれば、それが一番いいことなんだと思う。

INFORMATION

SHERBETS

SEXYSTONES ONLINE STORE

SHERBETS 『Same』
独特な世界感がさらに深く、鮮やかに描きだされた約6年振り通算11枚目のオリジナルアルバム。

CD収録曲(初回・通常共通)
1.MIA
2.欲望の種類
3.Vanessa
4.Grantham
5.おフランス
6.Toy Address
7.Happy Everyday
8.STUDENT
9.CHELSEA
10.Lonely Night

初回限定盤
ルームレコーディング、リハーサルスタジオで録音された 超レアな音源を7曲収録。
「LIP CREAM〜A Moment Rehearsal and Recording Rare Disc〜」
1.COLD HOT
2.Cad Camel
3.LIP CREAM
4.やったるわ
5.Faraway
6.トゥル
7.セレナーデ

通常盤
品番:VKCS-10063
価格:3,000円+税

初回限定版
品番:VKCS-10061〜10062
価格:4,300円+税

SHERBETS 「欲望の種類 TOUR」
5月21日(土)から6月23日(木)にかけて、全国10か所のライブハウスを巡るツアーが決定!

価格:7,700円
イープラス
ローソンチケット
チケットぴあ

浅井健一 作品集 『Beauty of Decayed Trans Am』
夢溢れる場面、ぶっ飛んだキャラクター達、美しすぎる景色、理想の車など 唯一無二、独特の世界の絵が200ページオールカラー!

品番:SSR-055
価格:5,500円(TAX IN)
判型:H300mm X W220mm
発売日:2022年4月22日(金)
SEXY STONE ONLINE STORE

浅井健一 個展 『Beauty of Decayed Trans Am』
会期:4月22日(金)〜5/14(土)
時間:13:00〜19:00 (月曜・休)
場所:Roll
住所:東京都新宿区揚場町2-12 セントラルコーポラス105号室
電話:080-4339-4949(受付:13:00〜19:00)
https://yf-vg.com/roll.html