鎌倉にはサンダルがよく似合う。

鎌倉は海と山が近接している場所だ。実は、〈マリブサンダルズ〉の生まれたマリブにも似た雰囲気があるらしい。そんな環境からか、独自のMグリップというすべりにくいアウトソールを多くのモデルに使用し、EVA素材のフットベッドとミッドソールは硬度を変えることで、適正なクッション性を生み出している。
海でサーフィンを楽しむ坪井さんだが、一方でやはり山も身近な場所にあるという。案内してくれた大仏ハイキングコースは、車道から一歩外れるとすぐに緑あふれる登山道が現れた。坪井さんは、トレランなどはしないけれど、たまに楽しむ程度に山歩きをする。


「山を歩くのは、トレーニングってほどのものじゃなくて、お散歩です。体をちょっとならす感じ。だから、サンダルくらいでも全然歩けます。実際、この「ZUMA」であれば甲をカバーする部分が大きいからか、山道でも全然歩きやすいですね」
この日、山道で先生と一緒に歩く地元の保育園児たちとすれ違った。鎌倉といえば海のイメージが強いけれど、その微笑ましい姿を見て、地元の人と山の距離感の近さをまざまざと感じた。

鎌倉の山から大船の街へと場所を移す。坪井さんが代表を務める柔術道場は、鎌倉のほかに、大船にもある。
大船駅の街の商店街を抜ける一歩手前にある道場は、マットも壁もすべててホワイト。どこかラボのような雰囲気を漂わせる。鎌倉と大船の道場に、週3回ずつ通い、生徒に柔術を教える。どちらも地元の人に愛され、コミュニケーションの生まれる場となっている。

「仕事と柔術とサーフィン。これさえあれば、楽しい。あとは家族が食っていければ。ものすごい大金を稼ぐために耐えて耐えて我慢して生きるより、自由が何より一番いい」と坪井さんは笑う。
鎌倉のよさはなんだろうと思案しているこちらの意を察してか、こんなことを話してくれた。
「鎌倉には、東京に頼らない文化と経済があります。何かに一方的に頼ると自由ではないし、言いたいことも言えなくなる。以前、鎌倉を所在とする会社がいくつも集まって重要な契約書を交わすときがあったんです。普通ならジャケットに革靴でしょうけど、集まった人みんながサンダルで、さすが鎌倉だなと(笑)。鎌倉はいつでもどこでも誰でもサンダルで行ける自由な雰囲気があるんですよね」