トレイルランナーから始まった、Myバギーズショーツ。

ジェリー鵜飼/日本をはじめ世界各地で、登山や山暮らしを楽しむイラストレーター。文章も玄人はだしで、マルチな才能を発揮。最近は、八ヶ岳方面に家を購入し、週末は山暮らしを家族と楽しむ。IG:@jerry_ukai
ー 「バギーズショーツ」は、どんなときに履きますか?
ジェリー:普段着と山に行くときの服装は一緒にしたいと考えていて。だから、絵を描くとき、仕事のとき、ちょっとしたランニングや山を登るときも「バギーズショーツ」を履きます。
ー いつから「バギーズショーツ」を履くようになったんですか?


ジェリー:周りの山を登る人たちが「バギーズショーツ」を履き始めた2010年頃かな。ちょっと調べたんだけど、2000年代までは、登山は長ズボンで行くべし、じゃないと怪我するからというのが定説だったんです。でも、トレイルランナーがにわかに注目を集め始めたのが、おそらく2008年頃だったと思うんだけど、彼らが短パンで走っている姿を見て、ショーツで山を登っていいんだ!と気づいて。周りにいた人たちが「バギーズショーツ」の5インチだったので、5インチの方がイケてるんだなと、僕もそのスタイルを真似て、履いていました。
ー お話から、登山やトレランの服の歴史も垣間見えて面白いですね。
ジェリー:当初は、トレランで活躍するのは、ヨーロッパの人たちが多くて。彼らは、白い服という出で立ちだったけど、その後、アメリカのトレイルランナーたちが出始めて、彼らは派手でカッコよかった。そういう影響もあったはずですね。
ー 「バギーズショーツ」と登った山の思い出はありますか?
ジェリー:いろいろな山を登った思い出はあるけど、最近はずっと子供と一緒だから、なかなか行けてないんですよね。そういう高い山の景色を、また見たいなとは思います。
ー 山だけでなく、ご自宅で絵を描くときも履きますか?

ジェリー:そうですね。絵の具でだいぶ汚しちゃってる「バギーズショーツ」もあります。あとは、日常生活はもちろん、ちょっとしたランニングでもこれで走るし。
ー カラバリも豊富ですが、好きな色はありますか?

定番もありながら、鮮やかな柄も加わった今年の「バギーズショーツ」のラインナップ。
ジェリー:派手なものも好きだし、デザイナー視点でもいいとは思うんだけど、シーズンものは如何せん自分に似合わなくて(苦笑)。今日は赤だけど、選ぶのはブルーグレイが多いかな。
ー 他に魅力として感じているところはありますか?
ジェリー:生地がマットでいいなと。以前、別ブランドで日常に使えそうな安価なスイムショーツが出て、みんなそっちに流れたことがあったんですけど、光沢があってやっぱり嫌なんです。だから、みんな結局は「バギーズショーツ」に戻ってきました(笑)。
ー 生地との関連で言えば、今回の「バギーズショーツ」は、漁網をリサイクルした生地「ネットプラス」で作られています。
ジェリー:すごくいいことだし、〈パタゴニア〉の環境に対する姿勢は、めちゃくちゃ支持してます。環境問題に対して、政治とは別に大きな会社がアクションするというのはいい。もちろん個人個人は、自分のできる範囲でアクションを起こせたらいいなと思うし、実際僕もペットボトルを買うことをやめて、水筒を持つようになりました。登山は、ULハイカーなんだけど、水筒は重いフランスのヴィンテージのものを使ってます。せっかくグラムを競って重さを減らしてきたので悔しいっちゃ悔しいんだけど、それはそれで面白いかなと。
ー 〈パタゴニア〉に対して、どんなブランドイメージをお持ちですか?

ジェリー:“アメリカ”って感じ。貧乏な大学生時代に、目白通りに住んでたんだけど、目白にある〈パタゴニア〉の1号店に行ってました。「ダスパーカ」とか欲しくて。それに、イヴォン(シュイナード )の考え方や姿勢も好き。アイコンというか、個人の顔がちゃんと見えるのはすごくいいなと。あとは、アーティストとして見ると、ジェフ・マクフェトリッジともいろいろやっているのもいいですよね、彼は僕ら世代のヒーローなので。
ー ブランドにイラストを提供したりと、コラボも多いジェリーさんですが、コラボ相手がどんなブランドかというのは考えますか?
ジェリー:もちろん。20年くらい前に友達に言われた言葉で「デザイナーというのは、紙じゃなくて世の中をデザインする仕事だ。だから、世の中でいい動きをしている会社の仕事をすべき」というのが、すごい記憶に残っていて。できる限りだけど、どんなブランドかということはしっかり見るし、そんな意味でも、〈パタゴニア〉はやっぱりいいブランドだなと思いますよ。