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FEATURE
24歳のサングラス。
MONTHLY JOURNAL July 2022 vol.1

24歳のサングラス。

フイナム編集部は11人のスタッフで運営しているんですが、最年少と最年長では年齢の開きがけっこうあるんです。下は24歳で、上は45歳。趣向も遊ぶ場所も、ファッションのスタイルだってもちろん異なります。サングラスひとつとっても「目を紫外線から守るため」なんていう実用的な捉え方をするセンパイもいれば、「どう考えてもファッションのためでしょ」という見た目重視のヤングもいる。ということで、それぞれの年代のサングラス論を覗いてみようというのが今月のマンスリージャーナルです。Vol.1は、24歳をキーワードにしながら、これからの時代を担う業界人に話を聞きました。

  • Photo_Shinsaku Yasujima
  • Text_Keisuke Kimura
  • Edit_Yuri Sudo
  • 第1章 ビームスのバイヤーに聞く最近のサングラス事情。

  • 第2章 あの人はどんなサングラスが好き?

  • 第3章 サングラスを買うならDOWNTOWNで。

第1章 ビームスのバイヤーに聞く最近のサングラス事情。

PROFILE

野﨑 亮祐

1992年の吉祥寺生まれ、世田谷育ち。2014年に「ビームス(BEAMS)」に入社し、都内3店舗で販売員やVMDを務めたのち、2021年からバイヤーに就任。サングラスがトレードマーク。
Instagram:@r.nzk

マルでもウェリントンでもない、若者のトレンドとは。

ー 野﨑さんといえばサングラスのイメージが強いのですが、現在は何本ほどお持ちですか?

野﨑:12、3本くらいでしょうか。

ー サングラス遍歴を教えてください。

野﨑:いちばん最初に買ったのは〈レイバン(Ray-Ban)〉の「クラブマスター」で、〈モスコット(MOSCOT)〉もレギュラーです。なかでも、最近のお気に入りは…おじいちゃんの形見です。

ー なかなかヴィンテージ感が漂っていますね!

野﨑:〈レイバン〉のヴィンテージで、たぶん1960年代くらいのものだと思います。細縁で、グリーンのレンズが入っていて、少し下品な感じ。個人的には、いまはこうした細くて長方形のものが気分なんです。実は「ビームス」でも〈レイバン〉のインラインから似たモデルをピックアップしているので、ぜひチェックしてもらいたいですね。(該当アイテム)

ー 若者たちのトレンドは、どうですか?

野﨑:細いメタルのフレームよりも、セルフレーム(プラスチック製のフレーム)が好調なのは間違いないです。トレンドという言い方が正しいかわからないけど、確実に浸透した感がありますね。

ー レンズの色はどうでしょうか?

野﨑:マスクをつけなくてはいけなくなったことで、圧倒的にカラーの薄いレンズが売れています。というのも、マスク&真っ暗なレンズだと不審者感が出てしまうので。

〈サイドエフェクトアイプロダクツ〉上:SE02-DEMI-SG SE02 Sunglasses Demi ¥28,60/下:SE01 Sunglasses ¥28,600(ビームス 原宿)

ー注目のブランドも教えてください。

野﨑:“若者に向けて” ということであれば、〈サイドエフェクトアイプロダクツ(Side Effects Eye Products)〉という日本のブランドのものですかね。ヴィンテージのアイウェアをコレクションしているひとがはじめたブランドで、当時のものをいまっぽく再構築しているんです。レンズもフラットで、形もクセがないし、価格もほどよくバランスがいいブランドだと思います。店舗の問い合わせも非常に多いんです。最初の一本としてはオススメです。

ー 野﨑さんにとって、サングラスは日除けのためのものですか?それともアクセサリー?

野﨑:両方です。なので、ぼくは常にふたつ持ち歩いています(笑)。がっつり日差しを遮るためのサングラスと、室内でもかけられるくらいの薄いものを。

ー 今後、注目しておいたほうがいいブランドや形などがあれば教えてください。

野﨑:〈オークリー(Oakley)〉は、「ビームス」でもしっかり見せていきたいと思っています。まだ一般的ではないですけど、いま、局地的にスポーツサングラスの支持が高まっているんです。なので、〈オークリー〉のなかでも「フロッグスキン」なんかのベーシックなものではなく、もっとゴリっとしたスポーティなサングラスにも、今後、人気が集まるんじゃないかと思います。

ー たしかに、街で〈オークリー〉をかけている人はいませんよね。

野﨑:いま、タイトなシェルジャケットに、ワイドなパンツを合わせるスタイルが、特に若い層を中心に流行っています。スポーティなサングラスは、そうしたところとの相性もかなりいい。加えて、いま2000年代初頭の〈オークリー〉のアパレルもジワジワきていることもあって、注目しておいて損はないかなと思います。

ー 最後に、今回の記事のキーワード “24歳” にちなんで…。野﨑さんはどういう24歳でしたか?

野﨑:渋谷店に勤務していて、とにかく酒はめちゃくちゃ飲んでました(笑)。二日酔いで出勤なんてのもザラでしたね。パーティにも時間があれば足を運んでいたし、そこで横の繋がりもたくさんできて、ひととの繋がりはいまに生きていると思います。もちろん仕事も必死で、当時の夢が「最年少で路面店のVMD担当になること」だったんです。その夢がちょうど叶った歳でもあったので、仕事もプライベートも、超自信過剰でした(笑)

ー なるほど。そんな24歳を経て、いまのポジションがあるのですね。これからも野﨑さんのセレクト楽しみにしています。

第2章 あの人はどんなサングラスが好き?

平沢幹太さん/25歳(デザイナー)
Instagram:@kanta0509

〈ブラン..〉BM010 ¥34,100

セレクトショップ「UNFOLLOW」のプライベートブランド〈フォル(FOLL)〉のデザイナーを務める、25歳のデザイナー平沢さん。18歳からファッションの世界に身を置き研鑽を続ける、若きホープ。今日のサングラスは、「UNFOLLOW」でも取り扱いのある〈ブラン..(BLANC..)〉の一本。

「昔からずっと好きなブランドです。レンズが見た目より暗くなくて、ギリギリアイコンタクトができる透明度も気に入っているポイントです。同じ形を二本持っています。鯖江製で3万円ちょっとという値段もいい。『買ってよかった』しかないサングラスだと思っています」

平沢さんの日々のコーディネートは、カジュアルをキレイに着るか、キレイをカジュアルに着るかのどちらか。この日は前者でまとめ、シャツとパンツは自身がデザインを手がける「FOLL」のもの。ちなみに平沢さんは、どんなに暑くても、長袖を着るといいます。理由は、半袖だと印象が怖くなっちゃうため。

24歳はどんな1年だった?という問いには、ストイックな平沢さんらしい解答が。

「ファッションの世界に入ってからは、毎年、辛さを更新しているんです。うまくいった年も、できなかったことはなかったかと毎年考えています。結果だけじゃ満足できないし、プロセスを結果以上に大事にしています。達成基準は毎年あがっているから24歳も辛かったけど、きっと25歳のほうが辛いです。でもどんなことも、楽しんで乗り越えていきたいです。」

山下真絢さん/23歳(ショップスタッフ)
Instagram:@ranunculus527

〈オリバーピープルズ〉×〈ザ・ロウ〉BROWNSTONE 2 ¥42,900

「シティショップ新宿」でショップスタッフをしている山下さん。サングラスは2021年の夏から着用するようになり、現在かけているのは最近購入した〈オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)〉×〈ザ・ロウ(THE ROW)〉のサングラス。販売本数が少ないのも購入の決め手になったそう。

「耳が人より小さいので、セルフレームのものだと耳からこぼれちゃうんです。その点、このサングラスはテンプルが細くて収まりがいいから気に入ってます。それと、出勤前は髪型がくずれるのが嫌なので帽子はかぶりたくない。けど日焼けもしたくない。そうしたときは、必ずサングラスをかけて日焼け防止をしています」

スタイリングは、夏に陥る「シンプルになりすぎ問題」を解消するため、ギラギラした〈チカ キシダ(Chika Kisada)〉のベストに、「シティショップ」のオリジナルアイテムであるアフリカンバティックのスカートを合わせて華やかに。サンダルは、みんな大好き〈ウーフォス〉で。

「24歳になったら、もっと、いろんなファッションに挑戦したいです。ある程度自分の好みは固まってきたけど、そんな凝り固まった自分の好みを、もっとフラットにしていくのが目標です。もっと先の未来は、『シティショップ』でディレクターを勤めていた長尾悦美さんのような女性になるのが目標です」

渡辺心さん/30歳(ショップスタッフ)
Instagram:@blinc_watanabe

〈エルダー_アラオカガンキョウ〉レッドハバナ ¥42,900

外苑前にあるアイウェアの名店「ブリンク(blinc)」でショップスタッフを務める渡辺さん。この1年で10本以上のアイウェアを購入したという渡辺さんが最近着用しているのは、「blinc」のオリジナル「エルダー_アラオカガンキョウ(Elder_ARAOKAGANKYO)」のサングラス。

「上の部分と、下の部分の形が違うのが特徴のサングラスです。よく見てもらうとわかるんですが、上は角張っているけど、下は丸みを帯びたデザインなんです。いわゆる、ブロータイプというアイウェアに近い形。それと、このモデルのデザインはプロダクトデザイナーである二俣公一さんが手がけています。そのためメガネ屋とは異なる視点で作られていて、特にピンクがかった色味は、このモデルならではだと思います」

この日のコーディネートのポイントはモノトーン。アイウェアを主張したいときは、決まって衣装も抑えめにしているとのこと。高円寺の古着屋「Whistler」で購入した〈エルメス〉のシャツと、〈無印良品〉のパンツというコントラストがまたいまっぽい。

「24歳のときは、別業種にいたんです。パティシエとして朝から晩までケーキを作っておりました(笑)。当時はメガネ屋で働くなんて微塵も思ってなかったです。ただ、ちょうどそのくらいのときって、仕事にも慣れ始めて将来を再度考えるタイミングなので、24歳のみなさんも、思い切って決断するのもありなんじゃないかと思います」

第3章 サングラスを買うならDOWNTOWNで。

東京の下町・月島。この街の名物グルメの名を冠した「もんじゃストリート」は約50店のもんじゃ焼き屋が軒を連ね、休日ともなると、どの店も外まで行列ができるほど。

そんな賑やかなストリートの小道を入ったところで、ひっそりと営業しているのがアイウェアのセレクトショップ「ダウンタウン(DOWNTOWN)」です。オーナーの原さんと、店長を務める中山さんの2人で切り盛りしています。

原さんと中山さんは同級生であり同郷。出身は、メガネの産地である福井県。お互いが20歳のときに「将来はメガネ屋を一緒に開こう」と誓いあい、それぞれの道へ。原さんは〈ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)〉の社員となって業界のコネクションを築き、中山さんは「グローブスペックス」でメガネのイロハを学びました。

そして機は熟し、2020年「DOWNTOWN」をオープンしました。

「〈ルイ・ヴィトン〉の接客はシビアだったので、いいところで買い物をしているお客さんをアテンドするのは得意です(笑)。中山も、『グローブスペックス』で見え方だったりかけ心地を気にされる方をサポートしてきた経験があります。なので、ファッション面も、技術的な面も、どちらの側面からもお客様に満足いただけるお店にできたらと思っているんです」と原さん。

このお店に来る客の9割以上は、アメリカから逆輸入されたブランド〈マツダ(MATSUDA)〉と、LA発で少量限定生産の〈ジャック・マリー・マージュ(Jacques Marie Mage)〉をお目当てに訪れます。どちらも日本では取り扱いの少ないブランドで、ここ「DOWNTOWN」は日本屈指の品揃え。ほかにも、坂本龍一氏が愛用する〈ジャックデュラン(Jacques Durand)〉や〈 ユウイチトヤマ.(YUICHI TOYAMA. )〉、〈アイヴァン7285(EYEVAN7285)〉など、日本のいまを代表するブランドもしっかりと網羅されています。

「トレンドは、完全に太縁のセルフレームです。再燃してきていますね。マスクをつけはじめた頃は、曇るからという理由でアイウェア離れが進んで、そこから細いメタルフレームがきて、いま、太いものがきているという流れです」(原さん)

かつては2万円でも安いと言われ、いまはアンダー5000円でアイウェアが手に入る時代。それに比べれば「DOWNTOWN」で販売しているものは高いんだけ新規追加ど、やっぱり高価なものは雰囲気が違う。かけるだけで、全身をピリッと締める力がある。加えて、最高の接客と技術でサポートしてくれるんだから、ここで一生もののアイウェアを見つけるのも悪くない。あなたがいま24歳だとすれば、少なくともあと40年は、目を守ってくれて、ファッションを彩ってくれる1本が手に入るはずです。

INFOMATION

DOWNTOWN

住所:〒104-0052東京都中央区月島1-20-5
電話:03-4361-4988
営業時間:11:00〜18:00
定休日:水・木曜日
Instagram:@downtown_megane

INFORMATION

ビームス 原宿

03-3470-3947

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