街に際立つ、フィッシングウエアのディテール。
ー まさか〈コロンビア PFG〉(以下、PFG)とコラボレーションするなんて思ってもいませんでした。
石井:いや〜本当に嬉しいですね。〈PFG〉はその名の通りパフォ−マンスラインなので、ファッション的なアプローチはほとんどしてこなかったし、コラボレーションの前例もあまりなかったので、まさかフイナム フィッシング クラブがコラボさせてもらえるとは! 実は去年、フイナム フィッシング クラブをはじめたばかりのタイミングから、この企画が動き出したんですよ。
杉原:思い返せばそうでしたね。〈コロンビア〉のブランドの起源はフィッシングベストですし、セレクトショップや古着屋で〈PFG〉のバハマシャツに火をつけていただいたこともあって、ファッションの要素を取り入れつつ、カッコよく釣りができるラインナップを盛り上げたいと考えていました。そんな時、フイナム フィッシング クラブが立ち上がるという噂を聞いて、一緒におもしろいことができるんじゃないかと声を掛けさせてもらいました。
平本:確かに〈コロンビア〉に釣りのイメージがあるけど、フィッシングベストからはじまったんですね。
杉原:もともとは帽子の卸問屋で、最初に作ったオリジナルのアイテムがフィッシングベストでした。〈コロンビア〉=フィッシングベストというイメージを持っている人は多いです。
市川:釣りとファッションの切り口で、最初に出てくるブランドですよね。古着でも人気なのは、ちゃんとルーツがある証拠だと思います。
ー このコラボレーションでは、ジャケットとパンツ、キャップにハット、そしてバッグまで製作しました。
石井:最初に決まったのはジャケットです。
杉原:そうですね。ジャケットを軸に、それに合わせるボトムス、帽子、バッグ、と1点ずつ順番にアイテムを決めていきました。
ー デザインはどのように決めていったんですか?
杉原:〈コロンビア〉と〈PFG〉のキーワードのひとつに、“ヴィンテージ”があると思います。ですので、アーカイブのフィッシングベストやフィッシングウエアをベースに、街でも着られるように石井さんからアドバイスをもらいました。
石井:80年代から90年代にかけてつくられた〈コロンビア〉のフィッシングウエアが好きで集めているんですけど、変わったデザインのものが多いんですよ。これは〈マウンテンリサーチ(MOUNTAIN RESEARCH)〉の小林さんの言葉の受け売りなんですが、フィッシングベストのようなインダストリアルなデザインのアイテムをファッションのなかに取り込んだときに発生する異物感がおもしろくて。
本コラボは〈PFG〉からのリリースですけど、タウンユースでの使用も前提にしているので、街でフィッシングウエアのディテールがいい意味で際立つように考えてデザインを提案しました。
市川:ボブさん(石井)は古着業界とも精通していて知識豊富ですけど、困ったリクエストはありませんでした?
宇佐美:ジャケットのポケットは合計9つあるんですけど、それが一番の要望でした。それに応えつつ、少しでも多くの方に届く価格に仕上げるのが、少し難易度が高かったですね。
石井:胸のフラップポケットには、横からアクセスできる別室のファスナーポケットが備わっています。これは、〈コロンビア〉のアーカイブにあるジャケットが元ネタ。ワークやミリタリーを含めても珍しいディテールだから絶対に採用したくて、このポケットありきでデザインを決めていきました。