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【TBSJ】ヒトレシピ。Recipe 2 清永浩文 大分名物・とり天とサッカーの話。

【TBSJ】ヒトレシピ。Recipe 2 清永浩文
大分名物・とり天とサッカーの話。

「sio」の鳥羽さんをホストに迎えた鳥羽周作ジャーナル、略してTBSJの第2回には、〈ソフ(SOPH.)〉代表を退任し、Jリーグのクリエイティブディレクターに就任した清永浩文さんが登場します。あまり取材を受けていない、Jリーグの話が聞けるぞというミーハー根性丸出しで取材に臨んでみたものの、サッカーと経営という共通点をもつ清永さんとの対談は、予想をはるかに超える、深く学びの多いものになりました。

  • Movie Direction_Hiroaki Takatori(BONITO/Rhino inc.)
  • Movie_Ryota Kuroki、Koya Matsuba(BONITO/Rhino inc.)
  • Photo_Kousuke Matsuki
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Produce_Ryo Komuta
  • Edit_Shuhei Wakiyama

時代を読む力はどうやって培われたのか?

ー清永さんは、コロナ禍になった直後というタイミングで、1マイルウェアをテーマに〈ジーユー〉とのコラボを出しましたね。

清永:はい、コロナ禍が起きることを知ってたんですか?と言われたくらい(笑)。

ーリモートワークや二拠点生活もそうで、時代を先取りしているように見えるんですが、清永さんはどうやって時代の流れを感知しているんですか?

清永:何だろう…、うーん…、やっぱりいまの世界の流れに興味があって、勉強には行くんだよね。好奇心は旺盛なのかもしれない。去年も暗号資産やNFTの勉強に行ったけど、次の時代はこうなるんだ、であればちょっと早いけど知っとこう、みたいな。小さいことだけど、たとえば〈ソフ〉在籍時もいまや当たり前のSNSもまずは自分で試してみたから。最初に自分が体験してから、会社でやる。自分が指導できないことはやらない。先にやるということが癖になっているのかもしれない。

鳥羽:「ハニカム」も早かったですもんね。

清永:必要に駆られてやるというのが、一番の強さになると思っていて、「ハニカム」もそう。朝、パソコンをつけても見るサイトがなかったから、必要に駆られてやったんだよね。

鳥羽:あとは、スペースを見つけちゃうからでしょうね。見つけたスペースに、体験の価値や先見の明と合わせた、その掛け算だと思います。

清永:偶然誰かに会ったら、そこに何かがあるんじゃないかなと思うタイプ。相談を持ちかけられたら、ああ、やるしかないなって、1ヶ月も考えたりしないで、スパッとやっちゃう性格ですから。あとは、さっきから俯瞰といってますけど、東京にいて視野が狭くなってきていたんだけど、福岡に行ったら視野が広がったんです。

鳥羽:サイドバックからみた景色ですよね(笑)。

清永:そこでマインドがリセットされたのかなと。

鳥羽:ぼくらの場合は旅でリセットします。

清永:旅もそう。年齢が上がってくるとキャリアを積んで、地位が上がって、ストリート、つまりはリアルから離れちゃう。福岡に行けてよかったのは、“転校生”ができたこと。50歳のときに、久しぶりに“転校生”として、「こういうものです、今度飯食い行きませんか?」と。それでリセットできた部分もある。葉山への移住もそのひとつだね。

鳥羽:キヨさんは物腰が柔らかいし、こういうキャラクターだから伝わりづらいけど、新しいことにチャレンジしている方なんだなと。Jリーグをやらなくても生活はできるだろうけど、そこに自分の必要性を感じたらチャレンジしていくわけですよね。

清永::プラスで、そこにスペースとユーモアが入っているんだよね。ユーモアというのは、面白いか・面白くないかということなんだけど、これは受けそうだなとか、ぼくってアホだなとか。

鳥羽:それも俯瞰の話ですからね。もう1人の自分がキヨさんをみている感じ。その俯瞰の感覚が鋭いし、だからこそ鼻が効くんだなと思います。キヨさんが話していることは一人称に見えがちだけど、実は一人称じゃない関係で話してることが多いから。

清永:多重人格(笑)。

鳥羽:でも、数多くの天才を取材したひとが書いてましたけど、天才は自分を俯瞰しているらしいですよ。アイルトン・セナは自分がサーキットを走っている姿が見えたらしいし、中田ヒデさんも俯瞰で見えていたそうです。

清永:どうやって時代を感知しているかという質問への答えじゃないかもしれないけど、このまま5年、10年はできたけど、面白くないなあというのが一番だったね。続けていても周りに刺激も与えないし。今回の退任は、上にも下の世代にも刺さるだろうし、こういうひとがいたら面白くない?というくらいの感覚。かなりリサーチしたんだけど、海外のブランドでは(マルタン・)マルジェラやヘルムート・ラングの例はあるけど、日本ではこういう退任の仕方というのは前例がないんですよ。

鳥羽:おれとかずっとシェフでやっていたら、飽きられて旬なんてすぐ終わっちゃうんです。飲食業界のなかでも、カテゴリーをちょっとずつずらしたり、シェフになって、オーナーになってと少しずつ登っていかないと難しい。これは割と計画的にやっていて、誰とも競合したり、バッティングしないようにしてる。同じジャンルのひとたちと競って傷つけ合う形の戦いになるのはいやなんです。

清永:そうそう。だから、持っている能力を別の所に持っていけばいいだけ。

鳥羽:自分は自分自身の賞味期限も売り方もわかってやっているんですよ。前に出て「鳥羽周作です、うまい料理つくるっす」というのは2年前に終わっている。じゃないとよくないと思ってます。自分が厨房に立つことをやめると言ったときには、いっぱいクレームが来て苦しんだ時期があるんだけど、自分のなかではそうしなきゃいけないという確固たるものがあった。でも、当時はまだ理解されなかった。自分がプレイヤーでいたら、この5年は安泰だというときに、身を引けるかどうかというのはかなり難しい。でも引かないと、後継者が育たない。清永さんは、退任の仕方もクリエイティブでしたよね。

ーそうですね。前例がないわけですからね。では、最後にサッカーつながりということで、鳥羽さんをサッカー選手にたとえるなら誰かということで、この対談を締めてもらいましょう。

清永:考えたんだけど、いないんだよね…。強いていうなら、現時点のなぎ倒していっている感じと、もともとボランチのポジションをやっていたということで、ダービッツ。いや、優勝請負人のセードルフかな。鳥羽くんはどっちが好き?

鳥羽:セードルフです。

清永:じゃあ、セードルフで(笑)。

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