一夜漬けで得た知識よりも、日々積み重ねて得たスキルで勝負したい。

ー今回はナルバリッチのJQさんがゲストです。吉川さんが大ファンということで。
吉川:そうなんです。「SWEET LOVE SHOWER」ではじめてライブを見て、衣装を高橋ラムダさんが担当しているということで、すごいかっこいいなと思っていたんですよ。それでステージ横のスピーカーの前でずっと演奏を聴いていて。そこからすごいハマって、Spotifyの個人の年間ランキングで1位になるぐらい聴いてました(笑)
JQ:本当にうれしいです。ありがとうございます。
ーどんなところに惹きつけられたんですか?
吉川:トラックがすごくいいんですよね。いろんな要素がミックスされていて。それに歌詞も日本語と英語がシームスレスに混ざっていて、トラックにすごくハマっているから耳馴染みがすごくいいんです。ぼくはもともとデトロイトとかの黒い四つ打ちが好きなんですけど、それに通づるものも感じたり。
JQ:トラックに対してメロディを乗せるときは、最初全部英語でやっているんですよ。そこから日本語のバランスを考えて歌詞をつくっていて。メロディはトラックの邪魔をしないように乗せるようにしてますね。というのも、ぼくはトラックメイカーで、そこから曲づくりがはじまるので、トラックが命なんです。
吉川:やっぱり。ぼくの言いたかったのはそれなんです(笑)。トラックありきのメロディや歌詞なのかなと。それにすごくハマっちゃいました。

ー今年もEPとシングルをリリースされていましたよね。
JQ:そうですね。『HANGOUT』というEPと、山下達郎さんのカバーで『MAGIC WAYS』をリリースしました。
ーやはりアメリカの音楽に強い影響を受けているんですか?
JQ:それだけではないですけど、やっぱりアメリカの影響がすごく大きいです。ブラックミュージックが好きなので。
ーファッションもアメリカの影響は大きいですか?
JQ:そうかもしれないですね。最近になってロンドンっぽいとか、住み分けたりもするんですけど。基本はやっぱりヒップホップカルチャーが好きだったりもするので、そこから掘り下げたファッションに影響を受けてますね。
吉川:「ビームス」も音楽カルチャーに精通しているひとがめちゃくちゃ多くて、それを頼りに服をつくることもあるんです。ただ単に服をつくるだけではなくて、やっぱりカルチャーが背景にあるということをすごく大事にしてますね。

ー先ほど話がありましたが、スタイリストの高橋ラムダさんも、もともと「ビームス」のスタッフだったんですよね。
吉川:もう大先輩ですね。
JQ:ラムダさんもスタイリングを組むときは必ず音楽を流していて、世代や時代感はもちろん、スケートやヒップホップといったカルチャーからイメージを膨らませているんですよ。とにかく、すごく音楽的な服の選び方をしてますね。ストリートから成り上がっているので、すごく異色だなと。
吉川:そうですよね。それでいて、きちんとモードのことも理解されていて。スタイリングについて聞くと、めちゃくちゃカルチャーが詰まっているんですよ。
JQ:どこかアーティストっぽい感覚がありますよね。一度、ライブでジャケットを用意してくれたんです。そのときは普通に着たんですけど、ライブ後の写真撮影のときに、「ちょっと待って」と言ってラムダさんがジャケットを天地逆にして着せてくれたんですよ。そういうアイデアがすごくカッコいいなと思うし、突発的なんだけど説得力がものすごくあるというか。
吉川:ただ単に奇をてらっているわけではないんですよね。
JQ:ぼく自身もそうありたいと思うんですけど、一夜漬けで得た知識よりも、日々積み重ねて得たスキルで勝負したいんですよ。いい意味での身から出た錆というか。人間ってやっぱり、インプットしたものが身になっていくと思うんで。そうやって日々主体的に吸収したものが現場で活きてくる。トレンドとかは関係なく、好きなものをどんどん取り込んでいって、いざというときに落とし込めるのがカッコいいなと思いますね。
吉川:咀嚼したものを自分の色でアウトプットする。それは知識や経験がないとできないですもんね。