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ディレクター吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。第4章「Nulbarich JQと、ファッションに対する飽くなき追求心を語る」
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ディレクター吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。第4章「Nulbarich JQと、ファッションに対する飽くなき追求心を語る」

「URBAN ACTIVITY LABO」というシーズンテーマを設ける2022年秋冬の「ビームス(BEAMS)」。“都会的な活動をするための架空の研究所” から生まれたウェアの数々をどのように攻略していけばいいのか? メンズカジュアル部門のディレクターを務める吉川基希さんと一緒に、その方法を探ります。
今回のゲストは吉川さんが大ファンと語るナリバリッチのJQさんをゲストに迎え、「ビームス」のウェアを実際に試着しながら、お互いのファッション感についてはもちろん、アイテムへのこだわりについてもとことん語り合ってもらいました。

  • Photo_Teppei Hoshida
  • Hair&make_Daiki Okinaga
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yuri Sudo

過去から温故知新的に新しいものを生み出し、現代にフィットさせる。

ー12月のアイテムはやはり重衣料が多くなってますね。なかでもミリタリーやワーク、アウトドアの要素が際立っています。

吉川:アメカジを表現する上でそうしたテイストは必要不可欠ですからね。そしてサイズバランスをいまっぽくアレンジしたり、素材をアップデートして軽量化させたりなどしています。今季はクラシックなアウトドアウェアがもついなたさを残しつつ、ダサカッコいいみたいなところを狙ってデザインしてますね。

JQ:今季はどのブランドも原点回帰しているように思いますね。ぼくもアメカジのレトロなカラーリング、とくに80年代のソウル・トレイン系のアースカラー系の配色が気になってますね。

BEAMS DECEMBER LOOK

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ーブラウンやイエローなど、当時のソウルやファンクのアーティストたちを彷彿とさせる色ですね。

JQ:コレクションとかを見ても、来年の冬までどのブランドもそんな配色が多かったです。個人的にも、レトロやヴィンテージといった要素が入っているものが手に取りやすくなってますね。

吉川:ぼくらもアースカラーは今季注目してますね。大地のブラウン、草木のグリーン、空のブルーなど、自然的な色を取り入れていて。ほかにも派手な色が入っていたりするんですけど、全体的な傾向としてアースカラーに注力してますね。

JQ:ファッションってトレンドが回転しているってよくいうじゃないですか。そのサイクルがまた振り出しに戻ったような感覚があって。

吉川:ぼくらも過去の名品を深掘りして、「なんで名品なのか?」という部分をきちんと検証するようにしてますね。それを理解した上で現代的にアップデートしたら、モダンなアメカジがつくれるなっていう。

JQ:新しいものってもう生まれにくいけど、そのぶん温故知新で過去をアップデートしていくやり方ですよね。

吉川:先日、NIGOさんの個人のアーカイブが文化学園服飾博物館で展示されていて、「未来は過去にある “THE FUTURE IS IN THE PAST” 」というタイトルだったんですよ。個人的にそれがすごく響いたんですよ。「やっぱそうだよな」って。いまJQさんがおっしゃったように新しいデザインが生まれにくいなかで、過去のなかから温故知新的に新しいものを生み出したほうが、現代にはフィットするんじゃないかなってぼくは思うんですよね。

ーでは、そんな温故知新な12月の服を見ていきましょうか。

JQ:このジャケット、気になりますね。

吉川:これは懐かしい感じのアウトドア系のフィールドコートがベースになってます。昔だったらコットンやダック地でつくられていたと思うんですけど、それをコットンウェザーで軽く仕上げてますね。

JQ:たしかに軽そうですね。

吉川:それで中綿を入れて保温性を高めてますね。昔だったら中綿素材がないので、このなかに厚手のセーターを着て防寒性を高めていたと思うんですけど。

JQ:こういうのをかっこよく着られるのが「ビームス」の店員さんなんだよなぁ(笑)。ちょっとぼくも着てみていいですか。

〈ビームス〉中綿 フィールドコート ¥31,900

吉川:サイズ感もすこし肩を落として、身幅を広くして、いまっぽい形にしてますね。袖もやや太めにして。

JQ:ラグランスリーブになっているのがいいですね。肩の線が気にならなくて。

吉川::JQさんのパンツの色と、ジャケットの襟の色がマッチしてますね。めちゃくちゃ似合ってます。

JQ:こっちのノルディックなニットも着てみたいです。

〈ビームス〉シャギー ノルディック ニット ¥14,300

吉川:こちらのセーターはクラシックなノルディック柄のアイテムなんですけど、オーバーサイズに仕立てて、柄もそれに合わせて大きくしてますね。ただ単にサイズを大きくするだけじゃなくて、柄もデカくすることで古着にはない表情のアイテムに仕上げてます。これはJQさんに合いそうだなと勝手に思っていたんですが、案の定めちゃくちゃ似合ってますね。

JQ:これはサイズ感というよりも、柄が大きくなっているのがいいですね。肩が落ちているように見えて、柄も落ちているように見えるから。

吉川:これは女性からの評判もいいです。

JQ:たしかに女の子ウケよさそう。髭面のコワモテでも、ちょっと可愛く見えますもんね。2枚買いして、1枚はゴルフで着たいです(笑)。

ーJQさんは普段、ビッグシルエットとタイトシルエット、どちらを着ることが多いですか?

JQ:パンツに関しては本当にバラバラですね。細いアイテムに無理矢理足をねじ込んで穿くことも多いんですよ。本当にそのときの気分というか、ノリで決めることが多いです。それで上下のバランスが整っていればいいかなと。だからこそサイジングってすごく重要だなと思います。

〈ビームス〉中綿 M-65タイプ モッズコート ¥31,900

ーこちらはM-65のモッズコートがベースになっていますね。

吉川:そうですね。アメリカ軍のアイテムではあるんですけど、モッズに代表されるようにロンドンのストリートカルチャーを意識してデザインしました。これも中綿を入れて冬でも着られるようにしています。

ーM-65はいますごく人気ですよね。

吉川:そうですね。古着でもすごく人気が上がってます。個人的にこれもJQさんに似合うと思うんですよ。

JQ:これは1着あれば安心というか、どんなスタイリングでもいけちゃいますよね。

吉川:モッズコートは便利アイテムですよね。スラックスなどのきれい目なアイテムでも合いますし。一方でスウェットパンツとかストリートっぽい着こなしも、これを1着羽織ればサマになりますね。いまだと、JQさんが穿いているようなトラックパンツもフィットすると思いますし。

JQ:スウェットのセットアップの上からこれを着てコンビニに行きたいですね。

ー一方でこちらのオレンジのジャケットはどうでしょうか?

吉川:これはなかなか飛ばした配色にしました。アウトドアブランドのものだと、ベージュやオリーブといったカラーになると思うんですけど。結局それと同じことをしてもしょうがないので、だったらこういう発色のいいもので攻めてみようかと。

JQ:オレンジってけっこう無敵ですよね。かっこいいと思います。

吉川:これもやっぱり似合う。ブラウンのパンツとの相性が抜群です。こういう中綿系のアウターって、ここ数年すごく調子いいですよね。女の子も軍モノのライナーを着ていたりとか。

JQ:色は飛ばしているけど、たしかにこれを女の子が着ていてもよさそうですね。細かなディテールにユニセックスなムードを感じます。

ーこちらのダウンジャケットもいいカラーリングですね。

吉川:これは70年代のアウトドアブランドのアイテムを参考にしてます。そこに90年代を彷彿とさせるカラーリングをのっけて、今季のテーマにあるような、アウトドアを連想させるようなカラーリングにしているんです。シルエットも当時はジャストサイズで着ることを前提につくられていますが、肩幅やアームホール、身幅のバランスを調整してストリートライクに仕立ててますね。ただデカくするだけではなくて、着たときにちゃんと形が整うように細かな調整を加えているんです。

JQ:いい色ですね。

吉川:ありがとうございます。この色なんで選んだの? って言われるようなカラーをあえてピックアップしていて。

JQ:他にはどんな色があるんですか?

吉川:このアイテムに関してはブラックとブラウンですね。アースカラー系でまとめました。

JQ:パープルも葡萄色ですから。アースですね(笑)

吉川:パープルもブラウン系の色と相性がいいので、全体的にアース系とマッチするようにしています。それにしてもJQさん、似合いますね。

JQ:いやいや、服がいいんですよ。パッと見たときに奇抜かなと思うんだけど、着てみるとすごくなじみますね。あとこのパーカも着てみたいんですけど、いいですか?

吉川:これはヘビーウェイトな生地で仕立ててますね。ぼくらの中では定番的に出しているアイテムですが、シルエットは他のアイテムと同様にいまっぽく、それでいてどんなアウターにも合わせやすい形に仕上げてます。

JQ:ヘビーウェイトなのにすごく柔らかいですね。生地が厚いスエットってハリがある印象だけど、これは落ち感があってシルエットがすごくしなやかになりますね。それでいてフードの部分の形もきれいにでますし。

吉川:そうなんです。そのあたりもこだわったポイントです。

JQ:こういうのはひと目見ただけではわからないから、ぜひみなさんお店で試着していただきたいですね。

ー単なるパーカと侮るなかれ、ということですね。

JQ:せっかく「ビームス」に来たんだから、もっとデザイン性の高いもの買おうとかって思うんですけど、こういう普遍的なものにこそ、お店のこだわりが詰まっているというか。

吉川:本当にいいところを見ていただいてありがとうございます。JQさんがおっしゃった通り、ぼくらはこうした普遍的なアイテムこそ大事にしたいんですよ。

JQ:こういうパーカに、この無地のベストとかを合わせたりするのも良さそうです。

吉川:今回まさに、パーカにベストを合わせて、その上からコートを羽織らせたルックを撮っているんですよ。パーカにコートって相性抜群ですけど、ちょっとありきたりな感じもするので、アクセントを加える意味でもこうしたベストが効いてくるんじゃないかなと。

JQ:このアイテム、じつは地味に気になってたんですよ。

吉川:〈オルテガ〉の柄入りのベストを無地でつくったらどうなるだろう? っていう発想でデザインしたものですね。このアイテムが入り口になって、若い子たちにオリジナルを知ってもらえたらうれしいですね。

JQ:パーカとベスト、合わせてみるとやっぱりいい。全然いやらしくならないし、そんなにハードル高いアイテムじゃないですね。

INFORMATION

BEAMS 22AW COLLECTION

公式サイト
Instagram:@ beams_official, @beams_mens_casual

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