“ととのう”って何だろう?
ー サウナはブームを超えて、一つのカルチャーになってきているような気がします。
日本には公共のサウナ施設が約一万箇所あるんですよ。これは海外と比較してもかなりの数で、全部行こうとすると、一生かかっても回れないくらい。そして、昨今の勢いを今後も加速させるには、一つひとつの施設がマーケットに合わせた戦略を立てることが必要だと思っています。例えば、今年4月にオープンした「竜泉寺の湯 スパメッツァ おおたか」は、3種のサ室と3つの水風呂があるサウナ特化型のスーパー銭湯。週末には5〜6,000人の来場者数があるほど賑わっているんです。
ー かなりの人気ですね。そして今更ですが、“ととのう”をサウナ未体験のひとにも説明するとしたら、師匠ならどう伝えますか?

すっきりしたとか、さっぱりした状態、ですかね。被災地を長年サポートしてきたアーティストの栗林隆さんがつくった、「元気炉」っていうサウナを知ってますか? いまは休業しているんですけど、原子炉をもじっていて、コンセプトは“元気が出る原子炉”。薬草や雑草を煮出した薬草サウナで、その名の通り入るだけで元気になれるんです。
元気というとアッパーな状態をイメージすると思いますが、ぼくは読んで字の如く、元の気に戻ることだと思っています。アッパーでもダウナーでもなくて、本来自分が持っているポテンシャルを保てている状態。それが元気であり、“ととのう”ということ。結局は、本来の健康な状態が一番楽しいし、笑顔も増える。サウナを通じてすっきり、さっぱりすることで素の自分に戻れるんですよね。
もともと、みんなスペシャルでオリジナリティのある能力を持っているんです。本来の自分が特別であるということ。そんなことに気づかせてくれるサウナは、やっぱり素晴らしいものだなと、常々感じています。
