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着ぶくれ手帖 〜金子恵治のファッション備忘録〜  2022年夏のバイイング日記 第一回 イギリス編

着ぶくれ手帖 〜金子恵治のファッション備忘録〜
2022年夏のバイイング日記 第一回 イギリス編

ここ数年のファッションシーンを、名実ともに牽引してきたファッションディレクターの金子恵治さん。コンセプターを務める「レショップ」はもちろん、そのほかのプロジェクトにおいても、服好きを狂喜乱舞させる数々の仕掛けを連発している業界のキーパーソンです。

そんな金子さんですが、今年に入ってより自由に、そしてフリーキーな動きをしはじめています。ひとつひとつ取材していたら追いつかない!というわけで、今後の縦横無尽な金子さんの一挙手一投足を追いかけるべく連載をスタートさせます。タイトルは以前のフォーマットのフイナムブログ(アーカイブはこちらから)から拝借しました。服はもちろん、さまざまなヒト・モノ・コトを取り上げる自由な器でありたいなと思っています。

連載の初回は、この夏に久しぶりに海外で行ったバイイングの完全記録です。

  • Photo_Keiji Kaneko
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Komuta

とにかく買い物がしたくなって。

ーそしてようやくロンドンに戻られたわけですね。

金子::ロンドンに戻る前にとあるヴィンテージショップに寄ったんですが、おそらくそこはイギリス内でいちばんかっこいいお店ですね。そこで爆買いしたんですが、全然写真がなくて。というのも、あまり紹介したくないお店なので…(笑)。

ーなるほど(笑)。爆買いしたということですが、円安の状況はどうだったんですか?

金子:このお店では値段はそんなに上がってなかったですね。古着屋はいちいち値札を変えるところは少ないです。もちろん観光客が多いところは別だと思いますが。とはいえ、至るところで円安の影響は感じました。当時、ポンドが160円くらいだったんですが、いちばん感じたのはガソリン代の高さですね。リッターで300円くらいしていました。ガソリン代だけじゃないですけど、いろんなところで目をつむらないといけない場面がありましたね。

ーイギリスはコロナに対していち早く規制緩和をしていた印象なんですが、そのあたりはどうでしたか?

金子::マスクしてない人が多くて、だいぶゆるい印象でした。日常がほぼ戻っているなと。コロナの話をすると、どうやらみんな一度はかかっている様子で、かかってナンボみたいな雰囲気はありましたね。

ーなるほど。では、またロンドンの話に戻りましょう。

金子:こちらは〈ロック&コー〉で、めちゃくちゃ『007』を推していました(笑)。お店のムードがすごくクラシックで、同行したスタッフもその雰囲気にやられて帽子を買っていましたね。やっぱり現地でこういうお店に入ると、ブランドに対する理解みたいなのが変わるというか、思い入れが生まれますよね。

ぼくも〈ジョン・スメドレー〉のお店でマフラーを買ったりしたんですけど、ロンドンはめちゃくちゃテンション上がりました。とにかく買い物をしたくなるというか。久々に海外に行ったからなのかもしれないんですけど(苦笑)。

金子さんのお買い物 その3

THE UKの〈ジョンスメドレー〉と〈コーギー〉。現地で買うと思いもひとしお。

小綺麗なキャスケット、ハンチングをかぶって、イギリスの街を闊歩したい。

〈サンスペル〉のカットソーは時代を超えて受け継がれる名品。歴史を着る感覚。

ー街行く人もすごくおしゃれですね。

金子:自転車に乗っている人たちを見てもそう思ったんですが、やっぱりファッションじゃなくてスタイルだよなぁと。しっかりと生活に根ざしたスタイルができあがっているんですよね。それってファッションを生業とするぼくたちが抱く究極の課題なんですよ。みんな外国人のスタイルに憧れて、なにを着ているのか調べて、そこから“モノ”への深堀が始まるんですけど、気づけばモノばかりフォーカスしているんですよね。そういうことをふと考えたりしましたね。

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