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着ぶくれ手帖 〜金子恵治のファッション備忘録〜  2022年夏のバイイング日記 第一回 イギリス編

着ぶくれ手帖 〜金子恵治のファッション備忘録〜
2022年夏のバイイング日記 第一回 イギリス編

ここ数年のファッションシーンを、名実ともに牽引してきたファッションディレクターの金子恵治さん。コンセプターを務める「レショップ」はもちろん、そのほかのプロジェクトにおいても、服好きを狂喜乱舞させる数々の仕掛けを連発している業界のキーパーソンです。

そんな金子さんですが、今年に入ってより自由に、そしてフリーキーな動きをしはじめています。ひとつひとつ取材していたら追いつかない!というわけで、今後の縦横無尽な金子さんの一挙手一投足を追いかけるべく連載をスタートさせます。タイトルは以前のフォーマットのフイナムブログ(アーカイブはこちらから)から拝借しました。服はもちろん、さまざまなヒト・モノ・コトを取り上げる自由な器でありたいなと思っています。

連載の初回は、この夏に久しぶりに海外で行ったバイイングの完全記録です。

  • Photo_Keiji Kaneko
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Komuta

PROFILE

金子恵治

ファッションディレクター。セレクトショップ「エディフィス」にてバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、2015年に「レショップ」を立ち上げる。現在は同ショップのコンセプターを務めると共に、さまざまなブランドやレーベルの監修も行う。

2年半ぶりのバイイング。

ー2020年にパンデミックが起こってから約2年半ぶりの海外出張ということで、今回はそこで金子さんが見てきたもの、バイイングしたもの、感じたことを記事にしたいと思います。

金子:よろしくお願いします。

ー海外出張はようやく会社から許可が出たという感じなんですか?

金子:そうですね。「行って来い」という感じでした。でも、正直ぼく自身はあまり乗り気ではなかったんです。円安だし、治安が良くないという話も聞くし、コロナの差別の話もあったりして、ちょっと不安だったんですよ。

ー今年に入って円安が急速に進んでますよね。そのタイミングでのバイイングは、いろいろと制約がありそうですね。

金子:物価も上がってますし、どれだけ買えるか正直未知数でした。だから期待されても難しいということは、行く前に会社にも伝えていたんです。ダメなりに一応見てきますけど、という感じで。とはいえ行くからにはベストを尽くしたいし、なにかしらアイデアを拾ってきたりとか、最終的に仕事に繋がるようにしたいとは思っていました。

ー行かれたのはイギリス、フランス、そしてアメリカですよね。しかも7月で、バイイングとしてはやや遅めの時期ですよね。

金子:そうですね、普通のバイイングよりはちょっと遅めの時期でした。それでもイギリスなんかは、工場に行けばものづくりの交渉ができたりするんです。あと、今回はぼくと一緒に「レショップ」のスタッフも二人連れて行きました。

ーヨーロッパとアメリカで、それぞれ一人づつ同行されたんですよね。

金子:はい。バイヤーを増やして、ゆくゆくは(レショップを)暖簾分けしていきたいので、みんなの経験値を上げて行くために同行をお願いしました。それぞれ個性のあるスタッフで、ひとりはヨーロッパ好きで、もうひとりはアメリカ好きなスタッフだったのでちょうどいいなと。

ー二人のスタッフに、バイヤーとしての心得を伝えるというのも裏テーマとしてあったわけですね。

金子:それで二人にも行きたい工場や、見たいブランドのネタ出しをしてもらって、そのなかで精査しながらスケジュールを組みました。

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