中年から始められる趣味。

―SHINKNOWNSUKEさんは「ソーヤー ミニ」で山登りにハマったということですね。
FACE:その泥水が活動のきっかけだったから、名前は英語でMuddy Waterzに。なんか聞き覚えがある言葉だと思っていたら、ハナレグミの歌詞に“Muddy Waters”って言葉があったんですよ。調べてみたら、“シカゴ・ブルースの父”なんて言われるくらい有名なブルース・シンガーでした。妙に渋くて、それもまたよかった。
SHINKNOWNSUKE:すごくしっくりきました。何事もうまくいかなくて、泥水をすすりながら歩んだ時代もある、自分の人生観に似ていると思いまして。
FACE:番組名の『TOO YOUNG TO KNOW』は、Muddy Watersの曲名から。ぼくらは中年をテーマにいろんなコンテンツの話をしていて、若い子が聞いても分からないことが多いから、ぴったりかと思いまして。
―番組はきちんとした内容ですよね。リスナーからのメールを募集していたり。
FACE:『渋谷のRaZine』でも同じようにメールを募集する企画をやりたかったんですけど、あまりうまくいかなくて。それもあったから失敗を踏まえてやってみたら、うまくハマりました。
SHINKNOWNSUKE:ちゃんとボウフラさんからメールがきて、嬉しかったな〜。届く件数がまだ少ないから読まれる確率が高いのもあって、たくさん送ってくれる人がいるんです。メールから生まれた言葉とか、よくメールを送ってくれるボウフラさんを他のボウフラさんも認知するとか、ラジオとしていい感じに成長しています。

―ボウフラさんとは?
井岡:リスナーをまとめた名称です。ぼくらが泥水なので。
SHINKNOWNSUKE:リスナーをボウフラって呼ぶのはさすがにまずいと思って、最初はTwitterで募集したんですよ。でも、ボウフラのインパクトが強すぎて、結局これに決まりました。でも、うちらとしては悪い解釈じゃないよね。
FACE:そうだね。蚊になって飛び立っていってもらいたい。ちなみに女性リスナーはパラメヒ娘(ムスメ)と呼んでいます。
―2パターンあるんですね(笑)。実際に続けてみて、いかがですか?
井岡:正直、ライフワークになるくらい続くと思っていませんでしたよ。週1で配信していたら、話題がなくなって続かないと思っていました。でも、続いちゃいましたね。たいしたことは話してないけど。
FACE:最近2人とも、トークとかメール読みとか積極的になったよね。
SHINKNOWNSUKE:ラジオを始めて、何事もネタになるからとりあえずやってみようって挑戦するようになったのはよかったよ。
FACE:それ、もう芸人だよ(笑)。
SHINKNOWNSUKE:あえてトラブルに首を突っ込んでみたりして(笑)。

―ネタのために体を張っちゃうんですね(笑)。『TOO YOUNG TO KNOW』は開設して約1年。ラジオは毎週配信していますが、山登りはどれくらいのペースで行っているんですか?
FACE:一応、我々のテーマは“Art for everyday,Radio for everyday,Hiking for sometimes”。要は、アートとラジオは毎日だけど、ハイキングはたまに。年に5、6回くらいでいいのかなと。
SHINKNOWNSUKE:ぼくはハードな山はNGなので。
井岡:日帰りで行けて、ハイキング要素が強い山に行っている、低登山ハイカーです。
FACE:体力的に低山がちょうどいい。
井岡:ぼくら、最初は志が高かったんですよ。
SHINKNOWNSUKE:ハードな山に2人で行って、懲りたんでしょ?
FACE:移動が面倒で、おすすめコースじゃないところから登ってみたら、地獄でした。真夏で気温は36度。景色がいい場所なんてひとつもない。
井岡:あと15分くらいで登れると思って、すれ違ったハイカーのおじいちゃんに「山頂まで、あと何分ですか?」って聞いたら、「1時間」って言われて心が折れちゃった(笑)。勇気ある決断で、下山しました。
FACE:途中で降りちゃう俺たちカッコいいって言い聞かせながら(笑)。それがあって、登山じゃなくてハイキングがいい、なんならピクニックでもいいってくらいの感覚になりました(笑)。ストイックにならないくらいで長く続けたいです。
SHINKNOWNSUKE:それを聞いてガッツポーズしましたよ。

―自分に合ったスタイルで楽しむのが一番だと思います。
FACE:どれだけ低登山でも、ハイスペックのアイテムで挑みますけどね(笑)。
SHINKNOWNSUKE:本当だよね(笑)。おばあちゃんたちはTシャツとジャージで登っているのに、うちらはガチガチの装備で(笑)。
井岡:カーボン製のトレッキングポールも持ってるから(笑)。
FACE:登山歴30年くらいのおじいちゃんと話していて、「体力ねえな」なんて笑われたと思ったら、「いいの着てるな。それ、〈アークテリクス〉だろ?」ってウエアだけ褒められたこともあった(笑)。
―(笑)。でも、見た目もモチベーションに繋がりますよね。
SHINKNOWNSUKE:それが一番大きいかも。着てみたい、履いてみたい、使ってみたい。実際に使用して、初めて分かることもあるじゃないですか。
井岡:ぼくも山登りをきっかけに、〈サロモン〉を普段から履くようになりました。普段着に落とし込めるレイヤリングとか、ヒントを発見するのがおもしろいです。