PROFILE
1974年生まれ。東京都出身。ドローイングや彫刻などの作品をリリースし、国内外問わ ず多数の美術展に出展。アパレルブランドとのコラボレートも積極的に行ない、自身が運 営する代官山の「ストレンジストア」では、自作のTシャツなどグッズ類を展開している。
Instagram:@kenkagami
PROFILE
1975年生まれ。スタイリスト、ファッションディレクター。大学在学中に喜多尾祥之氏に師事した後、スタイリスト/ライターとして独立。2012年には、『POPEYE』をリニューアルさせ、2018年までファッションディレクターを務めた。現在は『フイナム』と制作している『AH.H』のディレクションをする一方、4月末から『CAULUMN』という新しいメディアをスタートさせたほか、「andreM hoffwann」という自身のお店をオープン。
Instagram:@stylistakiohasegawa
服を見せたいというよりも、パッケージを見せたい。
ー前回は微妙な感覚をスタッフ間でシェアするには、時間がかかるというお話でした。
長谷川: カガミくんは80’sのムードが好きでしょ? そういうのをずっとをやっていきたいっていう気持ちがあるの?
加賀美: そうだね。やるからにはやっぱり芯のあるブランドにしたいんだけど、どちらかというと普通のものをつくりたくて。Tシャツとか、スエットとか、スーツとか、コートとか、普通に着やすいものをつくりながら、ヴィジュアルとか、シーズン毎の世界観は違うものにしたいんだよね。
ーオフィシャルサイトを見ると、アイテム数は結構たくさんありますね。
長谷川: 本当だ。でも、やっぱり80’sっぽいなと思うよ。
加賀美: まぁ好きだからね。それが出ちゃってるのかも。
長谷川: なんか当時のDCブランドっぽさもあるよね。
加賀美: そうなんだよ。去年の秋冬のときは、まさにそういうイメージで服をつくったの。カラス族にインスパイアされて。
長谷川: あとめちゃくちゃ安いのがいいね。コートで3万円だよ。
加賀美: だから売れてもあんまり利益が出ない(笑)。
長谷川: クッションもあるの?
加賀美: あるよ。超デカイやつ。
長谷川: 抱き枕みたいなこと?
加賀美: 毎シーズン、デカクッションをつくってて。
長谷川: それも80’sっぽいね。
加賀美: こんなの自分でつくろうと思ってもつくれないじゃん。それでつくってもらったの。もっとデカくしたかったんだけど、「売れないですよ」って言われた(笑)。結局、服もこういうクッションも、誰かに着てもらったり紹介してもらわないと売れないよね。
ー〈セパバス〉のクリエイションは、シーズンビジュアルでは服をしっかり見せてますが、ほかの部分ではあまり服を見せようとしていない気がするんです。
加賀美: 服を前面に見せたいというよりも、パッケージを見せたいんだよね。ブランドの世界観というかさ。長谷川くんがつくっているビジュアルもそうでしょ? スタイリングのイメージを作品としてつくってて。服そのものというよりも、その服を着たときのムードとかさ。
長谷川: ブランドはイメージみたいなものがないと成立しないもんね。ひとつの会社でいろんなブランドを運営していたとして、結局はみんな大元は一緒なわけでしょ。どうやって差別化しているかとすれば、やっぱり世界観やイメージなんだよね。そういう意味でロゴから受け取る印象っていうのは大事な気がする。
加賀美: 展示会とかファッションショーって、どこまで意味あるんだろうね?
長谷川: ファッションショーは本当に興味ある人だけが見ている気もするよね。
加賀美: 〈セパバス〉のファッションショー見たことある? 渋川進がハンガーを持ってランウェイを歩くんだけど。それは既存のファッションショーに対する投げかけなんだけよね。モデルに着せて歩かせるんじゃなくて、ディレクター自らがハンガーを持って歩くっていう。しかも〈セパバス〉の会社でこれやってるの(笑)。