PROFILE
1974年生まれ。東京都出身。ドローイングや彫刻などの作品をリリースし、国内外問わ ず多数の美術展に出展。アパレルブランドとのコラボレートも積極的に行ない、自身が運営する代官山の「ストレンジストア」では、自作のTシャツなどグッズ類を展開している。
Instagram:@kenkagami
PROFILE
1975年生まれ。スタイリスト、ファッションディレクター。大学在学中に喜多尾祥之氏に師事した後、スタイリスト/ライターとして独立。2012年には、『POPEYE』をリニューアルさせ、2018年までファッションディレクターを務めた。現在は『フイナム』と制作している『AH.H』のディレクションをする一方、今月末からは『CAHLUMN』という新しいメディアをスタートさせるほか、「andreM hoffwann」という自身のお店をオープン。
Instagram:@stylistakiohasegawa
対談するなら絶対に長谷川くんがいいと思ってた。
ー渋川さんは今日はお休みですか？
加賀美： 渋川は俺なの。カツラ被ったり、サングラスをいっぱいつけたりして、ずっとやってきたけど面倒臭くなってきちゃって。ていうか、加賀美健がやってるって知ってるでしょ？だからそろそろいいかなって（笑）。
長谷川： （笑）。
加賀美： これからも渋川のキャラはちょいちょい出していこうと思ってるけどね。
ーいきなり暴露からはじまりましたが、気を取り直して。今回は長谷川さんとの対談ということで、ファッションについて真面目に話そうという企画です。
加賀美： ずっと長谷川くんと話したくて。インスタではちょいちょいメッセージのやりとりをしてたけど、こうやってゆっくり話すのは初めてだよね。
長谷川： そうだね。「ストレンジストア（strange store）」にもたまに行くくらいだしね。
加賀美： 『ポパイ』をやってた頃とかにたまに来てくれたよね。今回対談するなら絶対長谷川くんがいいと思ってたの。あんまり俺みたいなタイプと話すことないでしょ？
長谷川： そもそも対談を受けないかな。めんどくさいし。
ーいつ頃からのお知り合いなんですか？
長谷川： カガミくんとは、アシスタント時代からだね。大きなバッグを持って歩いてるところをよく見かけてたし、返却でよく鉢合わせてたよね。
加賀美： そうそう。街でよく見かけてた。
長谷川： それでアシスタントを卒業して、カガミくんはいきなりアーティストになっちゃって。なんか最初の頃にさ、熊手つくってなかった？
加賀美： よく覚えてるね！ 自分でも忘れてたよ、それ。
長谷川： アーティストをやるって言ってて、生まれて初めてそういう人に出会ったから、「アーティストってどうやって生きてるんだろう？」って単純に疑問だったんだよね（笑）。
加賀美： 師匠の馬場（圭介）さんに「お前、やめてなにやるんだよ？」って聞かれて、「アーティストになります！」って言ったら笑ってたよ（笑）。
一同： （笑）。
加賀美： 「お前なに言ってんだよ、人間みんなアーティストだよ」って。
長谷川： なんか深いね。
加賀美： そう、深いの。それを言われたときに、いいこと言うなぁって思って。「がんばれよ」って言われたけど、自分でもどうすればいいかわからなかった。
長谷川： 俺も独立したときに、「これからどうやって仕事していけばいいんだろう？」って、スタイリストの自分ですら思ってたのに、アーティストならなおさらわからないよね。
加賀美： スーパーマンになるみたいな感じだもんね（笑）。
長谷川： 本当にそうだよ。
加賀美： しかもあの時代に。いまはもう誰でもなれるからね。発信しやすいし。
長谷川： 絵を描きたいっていう人はいくらでもいるからね。当時はもっと堅い社会だったから、そんな人いなかった。
ースタイリストを目指す人も、いまとは違う熱がありましたよね。
加賀美： 俺の場合は6年間アシスタントをして、またゼロに戻っちゃった感じ。
ーそもそもどうしてスタイリストになろうと思ったんですか？
加賀美： 中学3年か高校1年のときに、『宝島』かなにかの雑誌を立ち読みしてたの。いろんな著名人のデニムスタイルっていう企画があって、芸能人とかモデルに混ざって馬場さんが出てて、〈リーバイス®（Levis®）〉のデニムにMA-1かライダースを着て、頭ツルツルで黒縁のメガネをかけてたんだよね。それがすごくかっこよくて。いろいろ調べたらもっくん（本木雅弘）のスタイリングもしてて。紅白の衣装とかすごくてさ、ケツが見えてたり、コンドームの首飾りみたいなのをしてたんだよ。それで「この人面白いな」と思って、学生のときに手紙を送ったの。だからスタイリストになりたいっていうより、馬場さんに憧れてっていう感じ。
ーなるほど。当時から固定概念を壊した表現に心惹かれていたわけですね。
加賀美： そうそう。『i-D』とか『FACE』とか毎月買って眺めてた。馬場さんもそんな感じだったんだよね。レイ・ペトリとか、バッファローとか。日本人でそういうスタイリングをしている人は他にいなかったしね。
ー長谷川さんはどうしてスタイリストになろうと思ったんですか？
長谷川： 高校1年か2年のときに『ポパイ（POPEYE）』を見て、スタイリストっていう職業を知ったんだけど。
加賀美： 喜多尾（祥之）さんだよね。
長谷川： そう。それで手紙を書いて、みたいな。
加賀美： じゃあ、まんま一緒だね。
長谷川： 大学付属の高校だったから、その頃は大学に行くつもりだったんだよね。だけど成績が悪くて、スタイリストになるしかないって思ったんだけど、たまたま評価方法が変わって大学に行けるようになって。それで大学生活を送ってたんだけど、結局つまらないから、やっぱりスタイリストになりたいと思って手紙を送って、大学2年のときにアシスタントを始めたんだよね。
加賀美： 何年くらいアシスタントをしてたの？
長谷川： 4年半くらい。
加賀美： その頃って2年半くらいで独立する人が多かったから、長谷川くんも長いほうだね。
ー加賀美さんは６年ですもんね。
加賀美： そう。小学校卒業しちゃうよ！
一同： （笑）。
加賀美： 6年生までがんばったのに、結局スタイリストにならなくて、みんなに新しいって言われたよ（笑）。
長谷川： 6年もやったら、逆になにもやりたくなくなるのかもね。いろんなことが見えすぎちゃって。
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