枝優花が切り取る、映画監督 シャーロット・ウェルズ。
PROFILE
1994年生まれ、群馬県出身。映画監督。23歳にして制作した初の長編映画『少女邂逅』はインディーズ映画ながら異例のロングランヒット。その後もミュージシャンのMVやドラマ制作など、精力的に活動。また写真家として、アーティスト写真や広告写真の撮影も行なっている。
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枝: 映画を拝見して、自分の幼かった頃の記憶や景色、他人事じゃない感じでよみがえってきました。どうして、ここまで自分の記憶が掘り起こされたのか考えたときに、今回の映画は娘目線で父親のバックショットが多く、どんな気持ちでいるのか見えないシーンが多いなと感じました。それは、監督自身の中で意識していたことなのか、自分の記憶を映像化するときに意図したことはなんだったのでしょうか?
ウェルズ: 映し方を考えるのは、この映画づくりにおいて最も楽しい時間だったのですが、撮影監督とは脚本1ページにつき1時間くらいかけて話し合ったんですね。撮影中も、5ページ進んではまた1ページ戻って、みたいな撮り方を繰り返していました。なので、すごく考え抜いた末でのショットの連続になっています。
枝: すごいですね……!
ウェルズ: 作品はいくつかの視点を通して描いています。まず、第三者の視点、ふたりを俯瞰してみるようなシーンです。次に子どもの視点。これはロングショットで撮っていて、クローズアップで手元を映したり目元を映したり。あと、カラムひとりの視点は、あくまでもソフィの想像や思い出の中のカラムになっています。通常よりワイドに、かつものすごく距離をとって撮っています。場合によっては鏡越しだったり、壁で隔たれていたり、何か遮るものがあって撮ることで、ソフィにとって父親は手が届かない、完全に理解することが難しい存在である、ということを表現したいと思っていました。
枝: ソフィが、鏡越しに映る父親をビデオカメラにおさめるシーンが印象的でした。
ウェルズ: ありがとうございます。すべて脚本に書かれているのですが、撮影監督と話し合いながらカメラを向けることで生きたシーンばかりなので、こういう解釈をしてもらえて嬉しいです。
