Chapter.2 アロハシャツの新しい風
メイドインハワイにこだわる
クラシカルなニューウェーブ。
パンデミックはハワイにも大きな打撃を与えました。アロハシャツにもその影響があり、規模を縮小したりするメーカーも出てきたのです。人手不足などの理由で工場を海外に移すメーカーが増えたといいます。そんな中でメイドインハワイを守り続けている貴重なメーカーがありました。
「ハワイで完全生産するメーカーは年々減ってきていますね。そこには縫い子さんの減少問題など、さまざまな要因があります。でもアロハシャツはハワイ産でありたいですよね。その服がどの国や地域で産み出されたかって、ものすごく大切なことだと思うんです」
そう話してくれたデニス金子さんが2017年にスタートしたのが〈ラニーズジェネラルストア(LANI’S General Store)〉。ファクトリーのなかに入ると、生地が積み上げられたなかで縫い子さんが作業をする、どこか懐かしい光景が広がっていました。


ラニーズのアロハシャツはメイドインハワイです。
「アロハシャツの歴史を辿ると、そこには日本人が深く関わっていることがわかり、日系人である自分にとっては大きな魅力の一つです。日本から移民してきた方々が着物や浴衣をバラしてシャツを作る様子を想像するとワクワクしますね」
20代の頃にやって来たハワイで老舗アパレル「ジャムズ・ワールド(Jams World)」にて洋服作りに5年ほど携わり、その後、東京でのスケートショップ経営を経て2017年にハワイに戻り〈ラニーズジェネラルストア〉をスタートしたデニスさん。ものづくりを学び覚えたハワイでブランドを立ち上げる際には、メイドインハワイでのものづくりしか考えていなかったそうです。

オーナーのデニス金子さん。


ラニーズの考えるハワイらしさとは。
「洋服を作る上ではいつもトラディショナルなストーリーを大事にしています。アロハシャツには日本人と着物のストーリーもあったりするので、日本製レーヨンのちりめん生地を使用するのも、そんな歴史へのリスペクトも込めています。1枚のシャツからストーリーも感じてもらえたら嬉しいですね。ハワイアン柄のファブリックは、ローカルのテキスタイルメーカーから選ぶことが多いです。ハワイのビジネスをサポートすることも含めて、ローカルの生地を使ってシャツを作ることは大切だと考えています」
〈ラニーズジェネラルストア〉のアロハシャツには、現在まで続く日本とハワイのヒストリーも組み込まれているのです。

レーヨンのちりめん生地を用いた、風合いあるアロハシャツ。

パラカシャツ製造時の残反を使ったバケットハット。

▼shop info
LANI’S Generat Store
https://lanisgeneralstore.com
アロハシャツを着ることって
ハワイを着ることなのかもしれない。
ハワイの街でアロハシャツ姿の人を見ない日はありません。ホテルやレストランのユニフォームの多くはアロハシャツ。あいさつや「ようこそ」の意味を持つアロハだから、訪れる人を迎え入れる意味を込めて着てくれるんでしょうね。特別な素材やビンテージの柄じゃなくて、日常に溶け込んだアロハシャツも素敵です。そして、アロハシャツにはシャカサインが良く似合うなあ。


The BUSの運転手さんが「ほら! バスの柄なんだよ」と見せてくれました。

「アウトリガー・リーフ・ワイキキ・ビーチ・リゾート」の「カニ・カ・ピラ・グリル」で演奏するミュージシャンもアロハシャツ姿。