お店の独自性はスタッフやお客さまと築き上げていくもの。




PROFILE

大阪府出身。1998年に「ビームス」に入社し、「ビームス ボーイ」のディレクションやオリジナルアイテムのデザインを担当。「ネペンテス」には2021年に加わり、「NEPENTHES WOMAN」に加え〈ロドリリオン〉のデザイナーも兼任。大の愛猫家としても知られる。
ー大阪、東京と続いて博多での「NEPENTHES WOMAN」のオープン、おめでとうございます。須藤さんは2021年から「ネペンテス」に参加されていますが、このお店に対してどんなイメージを持たれていましたか?

須藤:ユーモアがあって、ちょっと捻くれていて、だけど説明くさくない。そんな印象を抱いています。代表の清水はモノに対する愛着や思い出をだいじにしている上に、札幌、東京、大阪、博多、それぞれに合うもを買い付けたり、デザインされている。さらにお店も中心地とはちょっと外れた場所につくっている。そうやって大手のお店にはできない独自のスタイルを築き上げながら、「ネペンテス」ならではの味をつくっている。私もそうした考え方をインプットして、一生懸命表現していかなければいけないと感じています。
ー博多という街をどのように捉えていますか?
須藤:日本のファッションの中心は東京だと思うひとが多いと思うんですが、じつは同時に博多でも同じものが流行っているんです。私はずっとファッションの仕事に携わっていますが、むかしからそう言われていて。港町っていうのも関係しているのか、他文化に対してすごくオープンなんですよ。だからトレンド発信のもうひとつの場所だと思っていますね。
ーそうした中で、「NEPENTHES HAKATA」はどういった役割を担ってきたと思いますか?
須藤:天邪鬼なものですね。他にないもの、他でみたことのないものをエッセンスとして取り入れていて。たとえば〈ニードルズ〉のトラックパンツは、東京ではフルレングスで穿いているひとが多いと思うんです。だけど、博多ではわざと短めで提案されていて。それが天邪鬼でかっこいいなって思ったんです。それは自分たちでスタイルを発信しているということ。「NEPENTHES WOMAN HAKATA」もお客さまとコミュニケーションを取りながら、気に入っていただけるスタイルや、博多の独自性を探っていけたらなって思っていますね。


「NEPENTHES WOMAN HAKATA」のオープンを記念して〈ニードルズ〉に別注したPIPING COWBOYシリーズのジャケット。装飾的なウエスタンのディテールがさらに誇張されるようなミントカラーをオーダー。背中にあしらわれたパピヨンモチーフの刺繍もキュート。¥33,000


上記アイテムとセットアップで楽しめるパンツもご用意。もちろん、それぞれ別々に楽しむのもあり。「女性らしい柔らかな印象を大事にしたかったので、曖昧なトープカラーのニットを合わせました。パンツのブーツカットが活きるように、全体をAラインに整えたところもポイントです」と須藤さん。パンツ ¥26,400

こちらもオープンを記念して別注した〈ニードルズ〉のパイピングカウボーイパンツ。ダークネイビーにシルバーのアクセントが効いたカラーリングは、どこか博多の夜を想起させる。¥26,400
ー須藤さんは〈ロドリリオン〉のデザインも担当されていて、このブランドも「NEPENTHES WOMAN」を表現する上で欠かすことのできないものになっているんですよね。
須藤:私がこの会社に入って託されたのは“ネペンテスが思う女性像”をつくりあげることだったんです。

久しぶりにニューメキシコを訪れて買い付けてきたという〈トルヒーヨ〉のチマヨベスト。「『NEPENTHES WOMAN』のアイコンであり、幸運を運んでくれるというスワローをモチーフに別注してきました」と笑顔で話してくれた須藤さん。このほかにもたくさんのアイテムがラインナップしている。生産数が限られているとのことなので、気になった方は早めにお店へ。¥84,700


〈ロドリリオン〉で定番的に展開しているルーズストレートのパンツをメインに、オーバーサイズのジャケットをコーディネートしたスタイリング。須藤さん曰く「アメカジの要素が感じられるようにインナーには〈ニードルズ〉のパーカを合わせました」とのこと。缶バッジの小物使いも効いている。〈ロドリリオン〉ジャケット ¥52,800、パンツ ¥36,300、〈ニードルズ〉パーカ ¥28,600
ー〈ニードルズ〉や〈エンジニアド ガーメンツ〉を着た女性とは違う、「ネペンテス」の新しい女性像ということですよね。
須藤:そうですね。自分なりに「ネペンテス」の特徴を捉えているつもりであるのと、お店にも長いこといたので、そこで得た知識と経験とイマジネーション、さらには私のアイデンティティを〈ロドリリオン〉では集約して、「ネペンテス」のブランドとして発信しています。
ー最後に「NEPENTHES WOMAN HAKATA」で発信していきたいことを教えてください。
須藤:先ほどもお話した通り、このお店らしさというのは、お店のスタッフやお客さまと築き上げていくものだと思っています。このお店の女性スタッフは10年間、少ない人数でずっと活躍してきて、社内でも信頼されているんです。彼女たちの力を借りながら、一緒に見つけていけたらと思ってます。

ー「NEPENTHES WOMAN」はこれからどのようにしていきたいですか?
須藤:ようやく3店舗揃って、さらにお店を拡大するのではなく、いまある3店舗の濃度をどんどん高くしていきたいですね。あとは海外のお客さまにも満足していただけるようなお店づくりもしていきたいと思っています。