“ちょうどいい”スタイリングってむずかしい。
-普段スタイリングのお仕事をされるとき、どんなことに気をつけていますか?
内山:俳優とかモデルのスタイリングだとそのひとのキャラクターに合うようなスタイリングを心掛けています。最近はルックとか、セレクトショップの仕事が多いんですけど、バランスには気をつけていますね。
-バランスというと?
内山:やりすぎてもトゥーマッチだなと思われるし、足りなくても目に留まらない。行き過ぎはダメだけど、シンプルすぎない感じのバランスを重視しています。最近悩んでいるのが、定番なのにおしゃれな組み合わせがあるとして、それは自分がスタイリングしなくても誰でもできる。でも奇をてらいすぎると真似できないし、おしゃれではなくなってしまう。誰でもできるレベルと、提案したいレベルの間の着こなしが、まだつかめていない感じですね。
-そういう場合は自分のなかでどう解決していますか?
内山:もちろん、話し合って求めているものを探っていくこともあります。あとは、同業の友達も多いので雑談ベースで“こういうスタイリングってどう?”みたいに話をして反応を見ることもありますね。
Style01.
定番のアメカジスタイルを、ポップに彩る。
Timberland「3-EYE Classic」

〈ティンバーランド〉の名作といわれるモカシン「3アイ クラシック」。80年代から90年代の渋カジブームで主役級の役割を果たしました。近年は90年代ファッションのリバイバルから、当時の渋カジとは違った文脈で、若者から支持を得ています。¥23,100
内山:春ぐらいにこの「3アイ クラシック」を買って、個人的に履きやすかったので、スタイリングに入れたくて、トライしました。「3アイ クラシック」は表革のモデルが定番ですが、それだと“THE 渋カジ”になってしまうので、あえてヌバックのモデルを合わせています。

〈スタイルス〉スタジャン¥74,800、〈スクリプト〉パーカ¥8,800、〈ベドウィン × ディッキーズ〉パンツ¥19,250
内山:最近気になっているショート丈のアウター。そのなかでもスポーツスタイルといえば、スタジャンはハズせません。袖のレザーが白のタイプもありましたが、あえてボディと色を合わせて黒を選びました。これなら大人っぽく着られそうですよね。そしてこの〈ティンバーランド〉なら、表革のモデルよりも少しクールな印象に。アウターとシューズで落ち着いた色なので、他のアイテムは色を入れたいなと。スタジャンにはパーカが好相性だから、お気に入りのバーガンディに近い色を合わせました。それだけだと普通に見えてしまうので、パンツはあえて鮮やかなピンクを持ってきています。グレーとピンクは色の相性がいいし、バーガンディとも合う。しかも〈ディッキーズ〉と〈ティンバーランド〉はアメリカブランドなので、それもいいなと思いました。
Style02.
アースカラーでつなぐ、スポーツスタイル。
Salomon「XT-6」

2013年にウルトラディスタンス用のシューズとしてオリジナルモデルが発売された〈サロモン〉のXT-6。スニーカーラインで復刻されてから感度の高いファッションアイテムとして、街履き用にも取り入れられています。クッションの利いたEVAは、沢山歩いても疲れにくく、TPUフィルムとメッシュを組み合わせた軽量でスリムな構造は耐久性も抜群です。¥28,600
内山:テック系のスニーカーを取り入れるには〈サロモン〉がちょうどよかった。履きやすいし、どんなスタイリングにもハマります。スラックスに合わせてもいいけど、今回みたいなカジュアルなパンツとも相性がいいですよね。

〈ウェールズ ボナー × アディダス〉ニットベスト¥25,300、〈インセイン × サイラス〉のロンT¥7,150、〈グラミチ〉ユーティリティーパンツ¥15,400
内山:まず、秋のコーディネートを考えたとき、この〈ウェールズ ボナー × アディダス〉のベストはマストで取り入れたかったんです。映えるアイテムだし、自分が気になっていたのもあって。このベストがメインになるなら、足元も本格的なスポーツブランドがよかったし、配色も考えて〈サロモン〉のXT-6を合わせています。シャツだとカッチリしすぎちゃうし、逆にキレイめになってしまうので、ベストのインナーはロンTぐらいがちょうどいいと思います。ここに白のロンTを入れると全体の色がボケてしまうので、アースカラーのオリーブで締めました。パンツはベストとシューズを繋ぐものとして、ベージュ系が相性がいいと思ったので〈グラミチ〉のカーゴパンツを。素材もシャリシャリしていてドレープ感が出るし、やや光沢もあるのでトラックパンツっぽいイメージで合わせています。