プロセスがサステナビリティ。

堀家:僕、ちょっと喋っていいですか?(笑) 聡も自分もそうなんですけど、台風みたいなやつら(編註:お二人は情熱的で周りを巻き込む力に長けているという意)だと思うんですよ、ファッションおばけというか。そこに〈クオン〉を巻き込むことでどういう化学反応が起きるかなというのが、一番おもしろかったんですよね。石橋さん、展示会で一瞬で飲まれてましたけど(笑)。
あとはちゃんと世界で戦っているブランド同士が組んで出すものが、どんな形になるのかもすごく楽しみでしたね。聡から連絡をもらって二人を繋げてから、コロナもあってなかなか進まない時期もあったし、展示会で会ってお酒を飲んで終わるんじゃないかなんて心配もしていたけど、最終的にはこういった形になってよかったです。こうしたらこうなりそう、ではなくて、こいつとこいつが組んだらどんなものができるんだろうという楽しみがすごく強かったですね。
聡:サステナビリティって難しいけど、めちゃくちゃ重要なことです。でも、みんなサステナビリティやSDGsという言葉に聞き飽きているところもあると思うんです。あと、グリーンウォッシングといって、ただそれを謳うだけで、ちゃんとやってないところが大半です。その結果、サステイナビリティと言われても、ちょっと興味ないわというのが最近の傾向としてあって。
SDGsとかそういう言葉は後からついているだけでいいんです。よく「サステナビリティってなんですか?」って聞かれるんですけど、一番重要なポイントは感謝の気持ちだと思います。物に感謝する、作っている人たちに感謝する。そういう感謝の気持ちがあれば、背景がどうか、誰が作ったのか、素材はどこから来たのかということに自然と興味を持つわけで。うちもサステナブルだし、あんたたちもそうだから、一緒にサステナブルなことやろうぜ、という感じだとかっこいいものはできないと思うんです。

聡:じゃあ逆にサステナブルじゃないものは何か? と言えば、やはりファストファッションです。今回なかなか形にならなかったという理由も、うちらが今回やったことはスローファッションなんですよ。コスパや発売時期、価格とか物を作る前からいろいろなリミットをつけて、窮屈な箱のなかでクリエイティブなことを考えても、なかなかいいものができない。その窮屈な壁を全部ぶち破って、まずは3、4回ぐらいただ一緒に飲もうぜ、仲良くなろうぜと。そうしたら、自然と…
堀家:そうなんだけど、そこが長かったんだよね(笑)。
聡:長かったけど、そのあとものになるまでのスピードは速かったでしょ?
堀家:それはそうだね。
聡:え? もうできたの? っていうくらい。サステナビリティの面で見えば、これはすごくナチュラルだったと思います。植物と同じ。地面に種を植えて、なかなか芽が出てこないなって見ているんだけど、急に出たらあっという間に成長する感じというか。だから今回は、すごくオーガニックなプロセスだったと思いますし、もう2、3倍の時間待っていても納得いくぐらい、抜群にかっこいいものができたと思います。やっぱりかっこよさっていうのが、今のサステナビリティの世界に一番足りないので。サステナビリティかどうかは関係なく、ただただ欲しいと思えるものになってます。