店内に配置されたモーブレーワークスによる家具。
「モーブレーワークス」といえば、鰤岡さんが手掛ける家具も見どころのひとつ。もちろんこの店でも、そうした家具の数々が空間をより一層魅力的なものにしています。
太陽の光が気持ちよく入る空間に配置された木製の家具。試着室の前に置かれ、リラックスしながらスタッフとのコミュニケーションを楽しんだり、服を吟味したりすることができるのです。
「ランプシェードは〈ラファブライト〉というフランスのメーカーのものにしました。ぼくの自宅でも使っていて、お気に入りなんです。他にはない和洋折衷なムードが好きです」
「椅子はイギリスのどこかのガーデンで見た3人がけのベンチを参考にしました。それがずっと頭の中にあったんです。デザインを思い出しながら、ひとりがけ用にアレンジしています。クッションのファブリックもイギリスのメーカーのものを選びました」
試着室に置かれているオットマンも鰤岡さんのお手製。バッファローチェックの生地は、〈ウールリッチ〉の工場がアメリカにあった時代につくられたものが奇跡的に残っていて、それを使っているのだとか。
「ちなみに試着室の絨毯は〈山形緞通〉という、日本で最も高級と言われているメーカーのものですね。入ってみると分かりますが、日本一のふかふかな感触を楽しめます(笑)。有名な建築家もよく使っているんですよ」
こちらの照明も鰤岡さんによるもの。「あまり時間がなかったので、これは外注でオーダーしようと思ったんですが、ブランドサイドから『鰤岡さんにつくってほしい』と言われて、ぼくがつくりました(笑)」とのこと。こちらもモールディングによって、シンプルながら存在感のある仕上がりになっています。
2階の奥にあるデスクチェアセット。こちらもデザイン、素材、製法にこだわってつくられています。
「東京でスタイリストとして活動していた岡部文彦さんが、いまは岩手で木材屋さんをやっているんです。このデスクは岡部さんのところで手に入れた栗材と、楡(にれ)材でつくったものです。わざわざ岩手まで行って岡部さんと一緒に選びました」
「足の部分はでっかい木材から削り出しているのもポイントです。普通ならパーツを組み合わせますが、こっちのほうがずっしりとした重みが視覚的にも伝わってきますよね」
「この椅子もいちからつくったものなんですが、某フランスのデザイナーの手掛けたものを完全オマージュしています。分かるひとには分かるやつです(笑)。オリジナルのほうは塗装されているのですが、これはあえて無塗装で仕上げました。知っているひとが見たら『なにこれ!?』って驚くはずです」