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スティーブ・ジョブズ追悼企画。 「ジョブズの死」について、我々が想うこと。

2011.10.14

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スティーブ・ジョブズが56年の生涯に幕を閉じました。この訃報を受け、フイナムでは追悼の意を込めた特別企画「R.I.P. Steve Jobs」を立ち上げます。IT業界のカリスマの死について、フイナムと所縁の深いクリエーターたちは何を想うのか。

それぞれが語る、「ジョブズの死」について。

Edit_Hiroshi Yamamoto

vol.7 小林節正(. . . . . RESEARCH主宰)
vol.6 加賀美健(アーティスト、STRANGE STORE オーナー)
vol.5 高木正勝(映像作家 / 音楽家)
vol.4 安全ちゃん(アクティビスト)
vol.3 鈴木芳雄(編集者 / 美術ジャーナリスト)
vol.2 ςκ⑧十hΙℵƓ
vol.1 蔡 俊行(フイナム発行人)

vol.7 小林節正の場合
アップル製品を初めて見たのは友達の家で、SE(注:Macintosh SE)だったと思います。当時は職場にコンピュータはあっても、個人の家にあるようなコンピュータとなると、概念としてハマるものがなかったので、全然普及してなかったんです。

そのうち、僕が一人で仕事を始めるようになり、絵を描いたり、納品伝票作ったり、名刺刷ったりとかということが必要になってきて。書体を選んで大きさを変えて、といったそれまではチラシ屋さんに頼んでいたようなことが、すべて自分でできる。本来プロが幅を利かせていた領域を、彼らの仕事を奪うのではなく、カジュアルなポイントだけだったら、個人でもできるようにしたらいいんじゃないかという。たぶんそういうメッセージがわかりやすく訴求されてたんだと思います。とにかくそうした作業が、1台のマシンで完結できたのは、アップルだけでした。

ジョブズが、マッキントッシュのことを「自転車」っていう呼び方をしていたことがありました。世の中の色々なことを人にお願いしなくても、自分でできるようにしたという意味では、まさにそういうことだったんだと思います。とにかく個人で色んなことができるっていうのが、アップルの核の一つだと思います。

あとは、あとにも先にも「デザイン」というものを商売の柱にして、現段階で最後までやりきっているのは世界でアップル社、ただ一社ですよね。デザインでどんなことができるのか、ということをコンピュータというテクノロジーを使いながら、僕らに見せてくれた。だから、ちょっと平べったく言ってしまうと、デザイナーなのかもしれないですね。いまのファッションの世界には、デザインの中にバリエーションはあっても、クリエイションはないですよね。でも、80年代当時、アップルの製品は、本来の意味のクリエイションを垣間見れる数少ないものだったから、みんなあんなに夢中になったのなと。

スティーブ・ジョブズという人の話をするなら、「グラフィカルユーザーフェイス」という概念も、元々はゼロックスのパロアルトという研究所が考えていたものだし、片手で持ち運べるようなものじゃないとコンピュータじゃないんだっていうようなアラン・ケイが提唱した「ダイナブック構想」とか、それら全てに影響を受けて、アップルの核を造り上げていった人。

だから、彼はもちろん天才なんだろうけど、クリエイターという感じではなく、もちろんプログラマーでもなく、どちらかというとDJみたいな感覚に近い印象。色々な技術をくっつけて、未来みたいなことを僕らの前に引きずり出してくるというか。そう、彼のやることは何であっても、確実に未来の匂いがしてましたよね。そのイメージに向かって編集して、一曲の曲にするっていう作業。

だから、そんな彼が「iTunes Store」で、アルバムをばらして、1曲単位で売るってなったときに、自分でアーティストに掛け合ったっていう話を聞いて。もう、よくぞ実現させたな、凄まじいなって思います、本当に。

アップルというのは、コンピュータ会社がコンピュータだけを作っていたという話ではないですよね。その都度無理だろっていうこと、強引でもいいから成し遂げて。何が一番「TOUCH THE FUTURE」なのか? 考えられる限りの未来セッティングをいつも見せてくれる。それに僕らはいつもクラクラしてたんだよね(小林節正氏談)

jobs_kobayashi_prof.jpg 小林節正
. . . . . RESEARCH主宰。
最新発表は、MOUNTAIN RESEARCH "Sound Of Silence"。

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