あの街のこの人

05

「仕事にあえて活かさない映画」

佐々木 淳

JOURNAL STANDARD ディストリビューター

〈ジャーナル スタンダード〉一筋20年。学生時代にアルバイトとして商品管理の業務を担当し、その後すぐに社員として迎え入れられ、そのまま今にいたる。現在ではベテランとして若手社員の相談役になることも少なくないという佐々木さん。〈ジャーナル スタンダード〉と初めて出会ったきっかけとは。

「学生時代に周りにアパレル関連の仕事をしている友人が何人かいて、そこで僕も洋服が好きだったので、なにかしらやってみようかなと思ったことがきっかけでした。ただ、その頃の〈ジャーナル スタンダード〉は、まだ関東に店舗がなく、東京での勤務を希望する場合は自動的に本社勤務となりました。そんな経緯から学生アルバイトとしては珍しい商品管理という業務に携わるようになったんですよね。実際にはバイヤーの仕入れた商品のデリバリー時期や卸す店舗先などを決めたりする仕事だったんですけど、当時は学生だったのでやることなすこと新鮮でした」

それから店舗での販売業務を経験することなく、商品管理から店舗のディストリビューション、WEB部門のオペレーションまで幅広い業務を担当することなる。アパレルの縁の下の力持ち的な部署で、常にモチベーションを維持しながら20年間勤務してこれた、その秘訣とは?

「僕の場合、秘訣という秘訣はあまりないと思うんですけど唯一挙げるとすれば、ひとつは仕事とプライベートをきちんと区別して割り切っている点は大きいかもしれないです。ファッションの仕事は特にプライベートまで洋服や仕事のことで頭が一杯になってしまいがちで、気が付かないうちにストレスが溜まっていた、なんてケースも少なくないと思います。そこで感じたのが、プライベートの時間では、仕事とは別の好きなことや趣味を見つけて、それに対して時間を費やすのが一番だということでした。それが僕にとっては映画だったんですよね」

学生時代からはじめ、今でも年間に100本近く映画を観るという佐々木さん。ファッション業界でよく耳にするようなインスピレーションソースではなく、仕事との対局という感覚で映画を楽しむ。この視点こそストレスなく継続して勤務していくコツなのかもしれない。そして佐々木さん自身が好む映画についても少し話を聞いてみた。

「基本的にはヒューマンドラマのジャンルが好きなんですよね。老人と子供の話だったり、アメリカの片田舎を舞台にした話だったり。見終わった後にほっこりとする余韻が感じられる作品が好きですね。最近だと『はじまりのうた』は久々のアタリでしたね。DVDを買うことって実はあまりないんですけど、これは映画館へ観に行った時に、その帰り道でたまらず買ってしまったほど好きな作品ですね。基本的には邦画よりも洋画が多いんですけど、新旧問わずいいなと思った作品は何度も観返してしまいます。20年以上も映画を観続けてきて、それでも未だに初めて見るジャケットの作品もあって、まだまだ映画は奥が深いんだなって痛感しますね(笑)」

最近は無趣味であったり、仕事と趣味の割り切り方が苦手な社員も多いと話す佐々木さん。人それぞれのスタンスはあれど、昨今力強く叫ばれることの多いライフワークバランスは大事だという。最後に自身で体感してきたことだからこそ、次の世代へときちんと伝えていきたいのだと佐々木さんは話してくれた。

「映画は映画館で楽しむこともありますが、基本的にはDVDを借りて自宅で観ることが多いですね。所有することに対してこだわりがあるわけではなくて、あくまでも観ることが大切かなと思っているので。あとは、自宅の静かな部屋でビールとおつまみと映画という組み合わせが最高なんです。仕事の延長線上ではなくて、仕事とはっきりと区別した先に趣味を持つことで、意外なほどリフレッシュできると思うんです。だからたまに若い社員たちと飲みに行く時には、つい映画の話をして勧めちゃったりするんですよね(笑)」

Profile

佐々木 淳(ささき じゅん)
1996年〈ジャーナル スタンダード〉入社。アルバイト時代からの商品管理職を経て、現在は、ブランドのディストリビューターを担当。口数こそ少ないが、その朗らかな性格で社内からの人望も厚い。

Coordinate