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「バンドが教えてくれた反骨精神」
和田 彬人
JOURNAL STANDARD 京都店
「バンドが教えてくれた反骨精神」
和田 彬人
JOURNAL STANDARD 京都店
「とにかく唄うことが好きな子供でした。両親とドライブしているときも、オーディオから流れてくるポップソングのメロディーに合わせて自分も一緒に唄っていたのを覚えています。音楽の授業では、みんな恥ずかしがって小さな声量で唄うなか、唯一ぼくの声だけが教室内に響き渡るっていう(笑)」
「人生ではじめて組んだのはコピーバンドでした。初ライブは文化祭のステージ。実はその前の年に先輩のバンドが同じように文化祭で演奏をしていて、それに憧れてバンドを始めたんです。先輩たちと同じステージに立った感想は、 とにかく気持ちよかった、という言葉しか出てきませんね。観てくれる人みんなが盛り上がってくれて、本当に最高でした」
「そこは有名なバンドを輩出したことで知られるサークルで、コピーバンドは禁止、曲はすべてオリジナルでつくらないとダメなところだったんです。当時のぼくはギターを弾き始めて間もなく、曲づくりの難しさにちょっと苦戦していて…。『いまのままだとバンドを続けるのは辛い、でもギターは弾いていたい』、そんな想いが頭のなかを駆け巡っていたときに『うちのバンドでギターやらない?』って声を掛けてくれたやつがいて。それが中学の文化祭で一緒にバンドをやった友人の西原なんです」
「加入したての頃は他のメンバーについていくのがやっとだったんですけど、練習を重ねるごとに一体感が生まれてきて、バンドの時間がどんどん楽しくなっていきましたね。実はぼく、あんまりギターがうまくないので、難しいことはあまりできないんです(笑)。だからレコーディングのときはすごく苦労しました。立ったり座ったり弾きやすいポジションを見つけて、納得いくフレーズが弾けるまで何テイクも録り直しました」
「ライブのときはメンバーの誰よりも目立とうという意識でやってますね。ギターがうまいわけではないから、素直にパフォーマンスで勝負するしかない。洋服もそうですけど、デザインが凝っていればいいというわけじゃないと思うんです。安くていい服もたくさんあるじゃないですか。ぼくはどちらかというと後者のタイプ。『どのフレーズを弾いているかわからないけど、あのギターの人なんかいいよね』ってお客さんに思ってもらえたら、それ以上の喜びはないですね」
「音楽とおなじくらい洋服が好きなので、やっぱり店頭でも目立ちたいという気持ちがあります。普通の着こなしじゃおもしろくないので、ベタすぎず個性的すぎない着こなしを心掛けていて。あとは、想像力も大事にしていることのひとつです。ぼくは平成生まれで、80年代とか90年代のリアルを知らない。だからこそ頭のなかでイメージを何度も練り直して、カッコいいコーディネートをつくりたいんです。その時代のリアルを知っている人は『90年代はこうだ!』っていう固定概念があると思うんですけど、ぼくらの世代はそれを知らない分、想像力で対抗するしかない。むしろ、そうすることでリアルを知っている人たちにはできないアプローチができると思うんです」
「やっぱり誰よりもカッコいい人間でありたいんです。ゆとり世代ってよく周りから言われますが、『ゆとりならではの発想や捉え方もあると思うんです。』上の世代の人たちからしたら知識や経験はまだまだ浅いですけど、ファッションが好きでカッコいいものを生み出すという気持ちは誰にも負けたくないんです。昔からそうだったんですけど、バンドをやっていてさらに負けず嫌いな性格が加速しましたね(笑)。バンドカルチャーが教えてくれた反骨精神。これこそ、ぼくを突き動かす原動力なんです」
和田 彬人(わだ あきひと)
2014年に入社し、JOURNAL STANDARD 京都店に所属する。プライベートでは学生時代から続けているバンド「ドナドナ」のギターとしても活躍。これまでに5枚のアルバムをリリースし、全国ツアーも行なうほどの実力の持ち主。