〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉での一歩目は、確かな足跡を残しました。シモーネ・ベロッティのデビューコレクションを象徴したのがこのレースアップシューズです。
艶やかなバッファローレザー。鼻先が長く、重心を低く抑えた甲のライン。角に丸みをもたせたスクエアトウ。そんなプロポーションの美しさを浮かび上がらせるハンドソーンのモカシン。そして、ブルーで染めたフラットなラバーソール。クラシックをベースにしつつ、仕上がってみればこよなくモダンです。
なかでも出色だったのがラバーソールです。ブラックやクレープカラーではなく、ブルーをチョイスしたさじ加減には唸りました。ちらりと見えるブルーは、足元を巧妙に引き締めています。
新作がまとったカラーは、カカオと名づけられたダークブラウン。シューレースからステッチまでワントーンでまとめたそのシューズはメゾンのアイデンティティを体現しています。
映画『THE AMERICAN FRIEND』(1977年公開)の空気感を落とし込んだという2026 PRE FALL COLLECTION。インテリジェンスで、エレガンス――。そのコレクションは往時のヨーロッパを見事に活写していました。
いわれてみればなるほど、あの時代の石畳に似合いそうな佇まいです。
Photo_Kazuma Yamano
Text_Kei Takegawa

