〈メゾン マルジェラ(Maison Margiela)〉にとって、思い入れが強い場所といえば東京・恵比寿です。そこに店を構えたのは2000年9月。このメゾンの1号店はパリでもなく、アントワープでもなく、恵比寿の駒沢通りから少しなかに入った一軒家でした。
白く塗られた室内、ビニールを被ったマネキン、白衣を着たスタッフたち…。まるでブティックとは思えない、あの光景が脳裏に刻まれた服好きもいるのでは。
2000年に撮影された、一軒家時代の店内。
そんな恵比寿の店「メゾン マルジェラ トウキョウ」が移転したのは2006年。かつての場所から歩いて5分程の建物で、そこはもともと電機制御機器の製造工場でした。
室内を白で塗り、あの一軒家にあった浴槽や蚤の市で手に入れた什器を運び入れるなど、独自の手法でリノベート。完成時にはマルタン・マルジェラ自身が訪れ、リスタートを祝ったといいます。
そして、移転から今年でちょうど20年になるというから時の流れは早い。
この節目のタイミングに「メゾン マルジェラ トウキョウ」にフォーカスした複合的なプロジェクトが行われます。
それは「Maison Margiela/folders」の第二章。
「Maison Margiela/folders」は、今年4月に上海で行われたランウェーショーを起点に、その後、中国の4都市で開かれたエキシビション。メゾンのアイデンティティである「アーティザナル」「アノニミティ(匿名性)」「タビ」「ビアンケット」にフォーカスした内容です。現在、それらはクラウドストレージサービス「Dropbox」にデジタルファイルとして格納され、誰でも自由に閲覧できるようになっています。
今回の企画はまず10月20日(火)に「メゾン マルジェラ トウキョウ」の歩みをまとめたファイルを「Dropbox」で公開。
続いて、「Dropbox」にもデータがアップロードされる、コンテンツをまとめたZINEを11月5日(木)に恵比寿周辺、及び、「メゾン マルジェラ トウキョウ」で無料配布するとか。恵比寿周辺で印刷されたリミテッドエディションが配られるのはこの日限りなので手に入れられた方はラッキーかもしれません。店舗では11月5日以降も配布されますが、無くなり次第終了です。
さらに、アーティストの鈴木美緒を迎えたインスタレーションが11月5日(木)から11日間、「メゾン マルジェラ トウキョウ」で行われます。この制作で彼女がタッグを組むのは400年の歴史を誇る、フランスの老舗タペストリー工房「Les Manufactures Nationales – Sèvres & Mobilier National」。ここから鈴木が選んだ59点のタペストリーが東京へ運ばれ、巨大な作品として空間を彩ります。
このインスタレーションは〈メゾン マルジェラ〉の0から23までのナンバリングシステムで昨年、はじめて用いられた「Line 2」での取り組み。視点の異なるもの同士を繋ぎ、新たな創造性を生み出すクリエイティブな試みです。
「Maison Margiela/folders」の新章は、恵比寿で歩んだ20年の足跡をたどり、次の時代へと進むためのプロジェクトといえます。いま、改めてこの場所でメゾンの強烈な個性を感じて。

