CLOSE
NEWS

「FOOTBALL IS BEAUTIFUL」番外編! SOPH.清永浩文 × 那須大亮 プロサッカー選手の新たな “セカンドキャリア” について考察する。

現在発売中の『フイナム・アンプラグド Issue11』で、長くご愛読いただいた〈ソフ(SOPH.)〉代表の清永浩文氏のフットボール連載「F.I.B」が一旦休止となりました。そのラストイシューでは、2019年シーズンでプロサッカー選手としてのキャリアを終え、ユーチューバーに転身した那須大亮さんをゲストに迎えて “セカンドキャリア” を題材に語り合っていただいていますが、ここでは本誌連載ページを拡大してお届け。お2人の濃密なフットボール談義とともに、今やチャンネル登録者数19万人を超える那須さんのYouTubeチャンネルもご紹介します!


那須大亮さん Youtubeチャンネル / 人気のアップロード動画

ーまずはお2人の関係性からおうかがいします。古くから親交が深いとうかがっていますが、いつ頃からのお付き合いなのでしょうか。

那須:清永さんとの出会いは松田直樹さんがきっかけですね。横浜F・マリノス時代、練習後に松田さんに〈ソフ〉の展示会に連れて行っていただいた際にお会いしたのが最初だと思います。もう17年前ほど前ですね。

清永:懐かしいですね。よく練習後に選手みんなで東京に来ていたし、ぼくもF・マリノスの練習場にはよく行っていましたね。他のクラブも含めて、那須くんくらいの年齢の選手たちとは当時よく知り合っているから、近年は引退報告の連絡をよくいただくんですよね(笑)

那須:昨年ヴィッセル神戸のスタジアムで試合後にお話しさせていただいた際は、F・マリノス時代に知り合って以来ずいぶん長くぼくのプレーを見ていただいているなあと思い、感慨深いものがありましたね。

ー清永さんは、那須さんから現役引退の報告を受けた際、どのように労いの言葉をかけられましたか?

清永:まずは、いいサッカー人生だったねと。サッカー選手は30歳を超えて現役を続けられた時点で○、35歳までいったら◎。そう考えると那須くんは38までプレーして、キャリアも辞めるタイミングも抜群だったからもう “三重マル” のサッカー人生ですよ。同時に、ここからの人生のほうが長いよ〜、というような話もしましたけどね(笑)

那須:はい、すごくありがたかったです。ぼく自身は、約2年前、浦和レッズの最終年くらいから引退を意識しはじめ、自分から積極的に時間をつくってそれまで会うことがなかったような業種の方々にもお会いするようにしていました。自分の人生がサッカーだけで終わってしまわないよう、いろんな学びを得ようと。1年半前にYouTubeをスタートしたのもその一環ですね。

清永:那須くんはあまり自分から人前に出ていこうとするタイプではないと思っていたから意外だった。なぜYouTubeだったの?

那須:元々SNSなどで自分から何かを発信したりするのが苦手なほうではあったのですが、現役が晩年に差し掛かるに連れて、自分の経験を生かして “人に何かを伝えたい” という思いがじわじわと湧いてきたんです。そこで何がベストかと考えたときに、自分主導の発信ができて、動画に残せるYouTubeが最適なんじゃないかと思ったんです。

清永:引退を意識したことで、那須くんの中で何かしらの “チェンジング” があったわけだ。

那須:30代になってからレッズでプレーできたことが大きかったですね。振り返ると、以前は自分と家族のためだけにサッカーをやっていたと思うのですが、特にレッズ時代にサポーターや裏方の皆さんのクラブへの思いに強く触れられる機会があり、「この人たちも一緒に戦ってくれているんだ」とよりいっそう感じたことでピッチに立った時の風景が一変したんですよ。そのときに、「俺がサッカーをやっている意味や意義はこれだ」と実感したといいますか。そこから、レッズはもちろん、長くお世話になってきたJリーグ全体に何か返せるものはないだろうかという思いでYouTubeを始めました。

清永:最初は賛否両論もあったのかな。現役選手を相手にしたサッカー対決とか、クラブ側からすると結構きわどい企画もあるもんね。

那須:それは絶対にあるという前提で、とにかくアクションを起こさないと何も始まらないと思ったんです。まずは表現をする場所に自分が立ってみて、そこに対して否定的な意見をいただくこともまた学びなんじゃないかと。選手への負荷や出演してもらうタイミングなどは、当初から各クラブには詳細をきちんと提示した上で了承をいただくようにしています。その点で、ある意味いろんなクラブを渡り歩いた自分のキャリアも生きてくれているように感じます。

ーコンテンツの内容などは那須さんご自身がプランされているのですか?

那須:もちろん自分から色々とアイデアを出しますが、ぼく1人で全てつくり上げているわけではなく、製作に携わってくれているクリエイターと一緒にプランニングしている感じですね。

清永:まだ現役なのにオフを使って大分にも行ってくれていたね。しかし継続は力なりじゃないけど、いまや那須くんがこの1年半やってきたことがサッカー界でパイオニア的な感じになっているというか、他にもYouTubeをやるひとが現役でも増えてきている。

那須:ぼく自身は、結局のところ、YouTubeという媒体でサッカー界のために何を発信できるのかがとても大事だと思っています。それこそ以前にイニエスタやビジャが出演してくれたのですが、ただ有名な選手に出てもらって終わり、ではなく、いかにして普段メディアであまり語られない彼らの声をダイレクトに視聴者に届けるかがポイントなのかなと。彼らのような選手の考えにはきっと人生に生かせるヒントがあると思うので、そういった部分をファンやサッカーに携わる人々、そしてプロサッカー選手を目指す少年たちに向けて発信していきたいんです。

清永:現役を引退して、本格的にユーチューバーが活動のメインになっていく中で今後は何か新しい展開も考えているのかな?

那須:主なビジョンとしては、いまは選手にスポットを当てる企画が多いのですが、いずれは監督やコーチ、裏方、さらにはサポーターまで、彼らがどんな想いでサッカーに日々携わっているのかを元選手だからこその視点で掘り下げながらどんどんサッカーの枠を広げていきたいですね。また、サッカー軸だけではなく、様々なエンターテインメントとサッカーを融合させるような発信もやりたいなと考えています。サッカーが好きな方々だけでなく、Jリーグのことをよく知らない方にも興味を持っていただくフックになるようなところも突き詰めていきたいなと思っています。

ーかつては現役を引退したら指導者を目指すという流れが王道だったと思いますが、いまは那須さんのようにセカンドキャリアもすごく多様化していますね。

那須:もちろん今後は指導者へのチャレンジも1つの選択肢だと思っていますが、現状では指導者も解説者も少ない枠を取り合っているような感じがしています。だから、いずれ目指すにしても、そこへのアプローチとしてはいろんな選択肢があって良いのではないかと。その課程で自分の新しい価値を見出すこともできるのではないかと思いますので。

清永:たしかに引退後もサッカー界だけで仕事ができる枠というのは本当に少ない。ゴール前に11人並ばれているようなものだから。そんな中で、しっかり “スペース” を見つける嗅覚と決断力はさすがだなと。

那須:サッカーに限らず、プロスポーツ選手のセカンドキャリアに課題点が多いことは近年よく言われていますよね。当然Jリーグでも選手会などでそのあたりをサポートするための取り組みというのは昔からやっていることですけれど、やはり選手会レベルの規模では難しい部分はあります。もちろん引退後にどういうキャリアを歩いていくのかは自分次第なところが大きいですが、クラブやJリーグ全体として一定の功績を残した選手に対してもう少しサポートできる体制を整えていくべきだと個人的には考えています。そのように業界全体を良い方向に変えていくためにも僕らのような世代が積極的に新しいアクションを起こしていかないといけないなと思っています。

清永:そのアクションを起こしているのが嫌なやつだったら受け入れられないわけだから、これだけ那須くんのYouTubeチャンネルの登録者が増えているのはやっぱり現役時代に築いてきたキャリアや信頼関係、人となりが大きいんじゃないかな。これからも楽しみにしています。

那須:ありがとうございます。今後もどんどんおもしろい形でサッカーの魅力を発信していきたいと思っていますので、ぜひチャンネルを観てください!

Photo_Tomoaki Shimoyama
Edit&Text_Kai Tokuhara


清永浩文
1967年大分県生まれ。98年に〈SOPH.〉を設立し(02年にSOPHNET.に改名)、翌99年に〈F.C.Real Bristol〉を開始。また08年には〈uniform experiment〉を立ち上げるなどチャレンジングな戦略でシーンを牽引し続ける。また地元のJリーグクラブである大分トリニータを毎シーズン、スポンサーとしてサポートしている。


那須大亮
1981年鹿児島県生まれ。横浜F・マリノスでプロデビューし、その後東京ヴェルディ、ジュビロ磐田、柏レイソル、浦和レッズ、そしてヴィッセル神戸と多くのクラブでDFの要として活躍。04年にはU-23日本代表としてアテネ五輪に出場。昨シーズンをもって現役を引退し、ユーチューバーなどさまざまな活動を開始。


※本日3月24日(火)発売の『フイナム・アンプラグド』本誌ではインタビューを掲載中! そちらも要チェックです。
unplugged.houyhnhnm.jp

TOP > NEWS

関連記事#HOUYHNHNM Unplugged

もっと見る