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グールドがAIで蘇るサプライズも。日本科学未来館でこれからを思惟する空間インスタレーションがスタート。

昨今の“コロナ禍”。もう見飽きた言葉かもしれませんが、それほど日常、そして社会に大きな変化をもたらしています。さまざまな試みや表現が新たに生み出されてきましたが、それでも以前の生活と比べてどこか落ち着かない、と考えているひともいるのでは。

このざわめきを感じる慌ただしい毎日をリセットして、一度ゆっくりと自分の心の声に耳を傾けたい。少しでもそう感じたのなら、「日本科学未来館」で8月8日(土)から30日(日)の間に開催される空間インスタレーション「ひらめきの庭」がおすすめです。

このインスタレーションは、“ひらめきと出会う散歩”をテーマに、これからの生活を考える際のヒントを得るために設けられました。

散歩といえば、ベートーヴェンやゲーテといった、新たな芸術を生み出してきた偉人たちが頻繁に行ってきたことで知られています。古代ギリシアの医師・ヒポクラテスが「人にとって歩くことは最良の薬である」と残したように、多くの科学者も散歩をすることで新たなアイデアをひらめき、イノベーションを起こしてきました。

頭の休息、思考の整理、偶然の出合い。それらが複雑に絡み合った空間に触れることで、未来を変えるひらめきの発見につながってほしいと願う「日本科学未来館」が仕掛けた今回のインスタレーションは、4つの空間に分けられています。

頭の中に“余白”をつくるをテーマにした「いきつぎの森」では、映し出された大自然に身を置き、樹木のざわめきや鳥のさえずりなどの音を感じながら、ゆっくりと深呼吸することを提案。慌ただしく変化する日々と対比する空間に対峙することで、情報に溢れた頭の中に“余白”を生み出せるはずです。

「ささやきのベンチ」と名付けられたゾーンは、新しい“知”と出合うことがテーマになっています。会場にはたくさんのベンチが並べられ、そこには物理学者アルベルト・アインシュタインや、女性初のノーベル賞受賞者・キュリー夫人ことマリー・キュリーといった科学者が残した言葉が“ひらめき”の道へと誘います。天才たちの残した言葉から、これからについてのヒントが見つけられのでは。

「はばたきの泉」では、水面に映る自分と向き合う姿を現すように映像が投影されます。頭上から撮影された自分の映像が、少し遅れて映し出されます。からだを思い切り動かして、水面に映る「一瞬前の自分」と遊んでみましょう。いつもとは違う自分と向き合ったとき、なにを感じるでしょうか?

「ときめきのピアノ」ゾーンにはピアノが置かれ、自由に弾くことが可能になっています。人工知能(AI)が奏でる音楽を聴いたり、自分でも音楽で表現してみたりと、音楽を通した共鳴空間を提供しています。

人工知能が演奏を披露するのは、毎時45分に各回約8分間ほどです。設置されている「ヤマハ」の自動演奏機能付きピアノ「ディスクラビア(Disklavier™)」による演奏が披露されます。この名前にピンと来ない方も多いかと思いますが、エイフェックス・ツインのアルバム『Drukqs』の楽曲「Avril 14th」で使用されていたあのピアノといえば、イメージが湧くひともいるのでは。

今回はカナダ出身の伝説的ピアニスト、グレン・グールドが残した膨大な音源から学習し、どのような楽曲もグールドらしい音楽表現を適用して演奏できる人工知能により制御され、「ディスクラビア」から心地よい演奏が響きます。

この「ヤマハ」によるグールドを復活させたプロジェクトは「Dear Glenn」と名付けられ、昨年9月に行われたメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ」にて初披露された際、大盛り上がりを見せました。今回はグールドの最初の録音作品としても有名な、J.S.バッハの『ゴルトベルク変奏曲 BWV988』の演奏をはじめ、グールドの未演奏曲を人工知能が解釈した演奏も披露する予定です。

すでに亡くなっているだけに、グールドが演奏するニュアンスを生で体験できるまたとないチャンス。世の中のノイズを振り切り、一度心の内側からの声に、少しだけ耳を傾ける時間をつくってみてください。

INFORMATION

空間インスタレーション「ひらめきの庭」

会期:8月8日(土)~8月30日(日)
場所:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
入館料:大人630円、18歳以下210円 ※入館は日時指定の事前予約制。
住所:東京都江東区青海2-3-6 日本科学未来館
電話:03-3570-9151(代表)
時間:10:00~17:00
主催:日本科学未来館
協力:ヤマハ株式会社

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