いつの時代も、ファッションとカルチャーは切っても切り離せない間柄。洋服で自分のアイデンティティを表現するには、ブランドが持つバックボーンへの理解が欠かせません。
その流れでいうと、ミュージックとストリートをルーツとしたジャパンブランドといえば〈マジックスティック(MAGIC STICK)〉ではないでしょうか。自身のイデオロギーを投影した服づくりは、最新コレクションでも遺憾無く発揮されています。
テーマに掲げたのは“違和感”。アフリカの生活布であるパーニュがあしらわれたナイロンダウンをはじめ、Gジャンのシルエットにリップストップとパーニュを組み合わせたシャツジャケットや、撥水リップストップナイロンを採用したオーバーサイズのウエスタンシャツ、太畝コーデュロイ素材のBDUパンツなど、意外性のある素材使いが特徴的です。
”違和感”は、コラボアイテムにも漂っています。アウトドアブランド〈ワイルドシングス(Wild Things)〉と製作したのは、80’sテイストのテーラードセットアップ。一見ウール素材に見えますが、実は完全撥水処理を施したスペシャルマテリアルが採用されているんです。
ミリタリー、スポーツ要素を巧みに取り入れた、ストリートに溶け込むプロダクトづくりは今シーズンも健在です。廃れることのないミニマムなデザインなので、長年使えるワードローブになることでしょう。
ご覧の通り、コレクションのキーを担っているのがパーニュです。これは、主に西アフリカで使われている伝統的なファブリックで、カラフルな模様が特徴的。量産不可能なワックスプリント生地なので、一点一点表情が異なるワンオフものなんです。
実力ブランドがひしめくなかで、確実にファン層を広げている〈マジックスティック〉。ヒネリと柔軟さを兼ね備えたウェアの数々は、一度袖を通したら病みつきになりますよ。