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ドクターマーチンに刻まれた60年の記憶。8ホールブーツが困難な時代の中で支持されてきた理由とは。

今年誕生から60周年を迎えた、〈ドクターマーチン(Dr.Martens)〉の「1460 8ホールブーツ」。フイナムでご紹介している通り、現在、アニバーサリーイヤーを彩る「THE 1460 REMASTERED」プロジェクトが進行中です。

1年通じて12ブランドとコラボを行うこの企画は、これまで〈ラフ シモンズ〉〈ヨウジヤマモト〉〈アンダーカバー〉〈ニードルズ〉など錚々たる面々が参加。7月にリリースされた〈ア コールド ウォール〉とのモデルは即完という人気っぷりです。

そんな8ホールブーツが困難な時代のなかでなぜ支持されてきたのか。ここではその理由を探ってみたいと思います。

そもそもこの靴が生まれたのは些細なことが切っ掛け。それはドイツ人のクラウス・マルテンス博士の怪我に端を発しています。どういうことかというと、休暇中のスキーで骨折した博士が足に掛かる負担を少なくするため、ラバーに空気を閉じ込めたエアクッションソールを開発。この技術を当時の〈ドクターマーチン〉の会社が買い取り、8ホールブーツは生まれました。

リリースされたのは1960年4月1日。日本ではカラーテレビの放送がスタートした年です。生年月日はそのまま “1460” として名前につけられました。




〈ドクターマーチン〉の工場は創業から変わらず、ロンドンから北西に位置するノーサンプトンシャー州のウォラストンという村にある。“Made in England” のものがいまでもここでつくられている。

最初の価格はたったの2ポンド。英国労働者階級のワーカーたちがこぞって飛びついた結果、その噂は意外なところに広まりました。

Some young punks gather in front of the shop BOY on King’s Road in London, 1979.(Photo by Janette Beckman/Getty Images)

60年代後半ロンドンのストリートを占拠したスキンズ、お次は「The Who」のピート・タウンゼント、「The Clash」のジョー・ストラマー…。噂が噂を呼び、気づくといつの間にかアナーキズムを掲げるパンクスたちのアイコンに。単なるワークシューズが自己表現や自己主張するファッションのひとつになりました。経済が停滞した時代のなかで、「1460 8ホールブーツ」を履くことがメッセージに繋がったのです。

いまでこそ当たり前のイエローステッチ、ブーツの特徴を謳ったヒールタブも当時は斬新なデザインでした。

その後も「1460 8ホールブーツ」は社会システムに疑問を持ち、声を上げ、自分のスタンスを貫く若者たちの支持を獲得。移り変わりの激しいファッション界の中で唯一無二の存在になりました。

誕生から60年経った現在も人々に定着したイメージは不変。冒頭に挙げたようなプライドの高いブランドと組むところからもその価値が分かって頂けると思います。

かつての英国ワーキングクラスの象徴。質実剛健な「1460 8ホールブーツ」は目まぐるしく変化する時代のなかでも姿形を変えず生き残ってきたからこそ、多くのひとたちが憧れ、頼りにするのかもしれません。

INFORMATION

ドクターマーチン・エアウエア ジャパン

電話:03-6746-4860
1460 8ホールブーツ特設ページ

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