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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.8 ド渋いようで、実は“いまっぽい”エディー・バウアー。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第8回目は、再び「伊藤商店」の伊藤忠宏さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


伊藤忠宏 / 伊藤商店 店主
Vol.8_エディー・バウアーのナイロンダウンベスト&フリースジップジャケット

―2巡目ですが、今回紹介していただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

もう2巡目なんですか!? 2ヶ月って早いなぁ…。というのはさておき、今回ぼくが持ってきたのは〈エディー・バウアー(Eddie Bauer)〉です。

Vol.7で「シエスタ」の青木さんに紹介いただいた〈エル・エル・ビーン(L.L.Bean)〉と同じく、古着界隈のみならず、誰もが知るアメリカンカジュアルの定番!

エディー・バウアーのナイロンダウンベスト ¥6,500 ※TAX IN(伊藤商店)

ですね。まずはこのダウンベストから。モデル名は「カナディアンベスト」といって、いまやお馴染みとなったインナーダウンの元祖的なやつとでもいいますか。この辺りって、いままでは本気の古着好き以外からは全く人気がなかったんですよね。まずつくりが小さい! 時代的にもジャストサイズで服を着ていた頃で、かつアウトドアブランドということもあり、38表記(日本のMに相当)とは思えないサイズ感で。

―たしかに。いつくらいのモノなんですか?

年代でいうと、黒タグなので80年代。さらに「EXPEDITION OUTFITTER・SEATLE USA」と表記されているのは前期で、「PREMIUM QUALITY GOOSE DOWN」と付くことから、グースダウンを使った高級ラインということも分かります。だけどコレ薄すぎて、たいして暖かくないんですよ(苦笑)。少なくともぼくの周りは、“暖かくないダウンベスト”として捉えていますし。

―せっかくのグースダウンが意味なし…(涙)。

とはいえ界隈では名作として認知されていますからね。今年のブランド設立100周年記念として復刻されていますし。しかも〈ジョウンド〈JJJJound 〉」とのコラボで、アーカイブデザインを再現しつつ、サイジングは大きく、さらにポケットにメタルプレートを装着した仕様で。

―カニエ・ウェストが指揮をとるクリエイティブ集団、ドンダの一員であるジャスティン・サンダースがデザインを手掛けるブランドとのコラボなら、即完売だったんじゃないですか?

ぼく“は”速攻で買いましたよ! これと同じく傑作と名高い「スカイライナー」も復刻されたので、どちらを買おうかメチャクチャ悩みましたし。ただ、全然話題にもならなかったし、世間一般的には話題にならなかったみたいで…。ただこんな地味なコラボを実現させたことには拍手を送りたいですね。「よくやってくれた!」と(笑)。そもそも、どんどん機能的に進化していくアウトドアウェアの中で、古着のバウアーを選ぶようなヘソ曲がりは、そういったド渋なのが好きですしね、ぼくも含めて(笑)。

―もう1着はフリース素材のジップジャケット。胸に刺繍されている“EBTEK”というのは?

エディー・バウアー“イービー テック”のフリースジップジャケット
¥5,000※TAX IN(伊藤商店)

イービーテックと読むのですが、1996年から数年間だけ展開されていた〈エディー・バウアー〉のハイパフォーマンスラインの名称ですね。当時は〈ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)〉の〈ポロ ハイテック(POLO HI TEC)〉、〈ギャップ(GAP)〉の〈ジーピーテック(GP TECH)〉のような感じで、みんなこぞってこういうラインを出していました。

―ニュー・ヴィンテージ的な見どころとしては?

ポイントは、原色のカラーリングやナイロン生地で切り替えたハイネック、身頃に入ったステッチの切り替え…う〜ん、普通だなぁ(笑)。それよりも、2018年くらいにカニエ・ウエストが、これのちょっと違うバージョンを着ていたし、このラインも100周年ということで復刻されているといった文脈も知っていると点と点が繋がる。そういった視点で見ると面白いアイテムだと感じてもらえるんじゃないですかね。地味ですけど。

Vol.4の際に、地味なアイテムは売れないと仰っていました。

映えないし、そもそも“格好良い”のかも分からない場合があるじゃないですか、いまのファッショントレンドって。Z世代とリアルタイムで着ていた世代でも“格好良い”の基準が全然違うでしょうし。そういう意味では、世代に関係なく自由に古着を楽しむのにも最適なんじゃないかなと。着こなす際には、バギーデニムに合わせるとか90年代のコスプレみたくせずに、コートやスラックスに合わせたりしてキレイめにまとめるのが、いまっぽいですかね。

―バウアーって、実はいまっぽいんですね。

例えばニットなんかも、色にしろ柄にしろ、普通におしゃれなモノがありますよ。ぼくの中ではバウアーって、C.Wニコルのようなアウトドアズマンが愛用しているイメージ。なのに、定番だけではなく変わったモノ、面白いモノがゴロゴロ出てきたりして、ファッションとして取り入れられるっていうのが最大の魅力。さすがにVol.4で紹介した〈ポロ ゴルフ〈POLO GOLF)〉よりは見つかりづらいけど、探せば古着屋にはまだまだあります。ただ、それを推しているところはまだ少ないのが実情。そう聞くと、掘り甲斐があるぞって思いませんか?

伊藤忠宏 / 伊藤商店 店主
2008年に古着屋「T」を高円寺にオープン。ストリートに根ざしたセレクトが話題を呼ぶ。その後、渋谷に移転し、ミュージシャンやファッション業界人などにもファンを拡大。現在は古着や、自身が手がけるヘッドウェアブランド〈ギーク(geek)〉などをセレクトした、遊び半分のウェブショップ「伊藤商店」を運営。さらに不定期でポップアップストアも開催している。
公式HP:itostore.thebase.in
インスタグラム:@mr_t_ito

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