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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.13 “古着から離れてしまった人”にこそ知って欲しいティンバーランド。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第13回目は「インスタントブートレグストア(instant bootleg store)」の坂本一さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


坂本一 / instant bootleg store 主宰
Vol.13_ティンバーランドのフィールドコート

―さて、今回紹介していただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

最近気になっているブランド〈ティンバーランド(Timberland)〉が今回のテーマです。ティンバーと聞いて、誰しも連想するのがイエローヌバックの「6インチ プレミアム ウォータープルーフ ブーツ」。ぼく自身もですが、90年代〜00年代前半に青春期を過ごしたHIPHOPドンズバ世代にとってのアイコン。“イエローブーツ”の愛称でも知られていますよね。でも今回は、そのブーツ以外のアイテムを紹介したいなと。

―古着でもアパレルを時折見かけますが、なにぶんブーツの印象が強すぎて…。

ですよね? ぼくもそうでしたが、実際にアメリカにおけるティンバーの在り方を見た経験から「これは面白いんじゃないか?」という想いが膨らんでいって。現地では、少し大きな街のスーパーやアウトドアショップにいる40代オーバーのオジさんが結構、ティンバーのアパレルを着ていたりして…。

―なるほど。その光景に衝撃を受けたと?

ってことは全然無いんですけど(笑)。単純に「あ〜そういうものなんだなぁ」って思ったんです。アフリカンアメリカンたちが同ブランドをメインストリームへと持ち上げたのは疑いようもない事実ですが、いまでは彼らだけでなく白人男性も着るような、いわゆる日常のカジュアルウェアとして認知されているんだなぁって。それは〈エル・エル・ビーン(L.L.Bean)〉や〈エディー・バウアー(Eddie Bauer)〉なんかも一緒。どれも元を辿ればアウトドア文脈。かの国はアウトドア大国なワケで、そういったこともあってか、いつの時代もアメカジというファッションスタイルに大きな影響を与えているのがアウトドアなんだなと再認識しました。

―たしかにそこは大きいですよね。

そこで「NEW VINTAGEとは何ぞや?」と考える中で〈ティンバーランド〉という選択肢が自然に生まれてきたわけです。以前、この連載の〈ギャップ(GAP)〉の回でも触れましたが、やっぱりある程度のタマ数があるものでないと流行らないし、掘り甲斐がない。そもそも古着というワードは、単一の“モノ”を指すのではなく、あくまでもカルチャーを指しているワケで。アイコンのアイテムのみが人気を博しても、定着するまでにはなかなか至らないんですよね。そういう観点で見ると、ティンバーは圧倒的にバリエーションが豊富で物量もあるし、本当に色々なアイテムを作っているので合格! 例えばコレとか…。

ティンバーランドのフィールドコート 各¥16,500-TAX IN(インスタントブートレグストア)

―フィールドコートですね。“らしい”カラバリも魅力的です。

今年はこれが本格的に良さそうだなぁと、春の訪れに合わせて集めていました。数年前に先輩が売っているのを見たのがこのコートとの出会いなんですが、モッズパーカーからのフィッシュテイル人気とも合致し、すごく現代にハマるシルエットだなと思いました。90年代前半はシルエットがデカくて袖にもパイピングが無いけど、それ以降は袖にレザーパイピングがあってサイズ感も少し小さくなるなど、マイナーチェンジされていたり、そのシーズンにしか無い色もありますし、掘れば掘るほど楽しい。では、試しに1着ピックしてみましょうか。

ティンバーランドのフィールドコート ¥16,500-TAX IN(インスタントブートレグストア)

―なんともシブい配色ですね。ディテール的な見どころを教えてください!

モッズパーカーよりも少し高めのスタンドカラーとか良くないですか? いま時期だとTシャツの上にトップボタンだけを留めてバサっと羽織るのがオススメ。秋冬はスウェットフーディと重ねて、首元をわざと重い感じにして着てみたりとか。ズムっとした感じが雰囲気抜群で、東海岸の街で大雪の中で寒そうに歩いているオジさんのイメージを誘うというか、すごくアメリカらしくて格好良い! とにかく夏以外の3シーズンで着用できるという利便性もモッズパーカーと通ずる部分がありますし、ウチ的にも今季プッシュしています。

それとこの襟裏のロゴもグッドディテール! ぼくは“Back Woods”なんて名前を付けて楽しんでいます(笑)。なんかブラックカルチャー好きが付けたって感じでしょ?

―ストリートバイブスですよね、その辺は。

もうひとつのポイントが品質表示タグで、基本的に90年代から現代までのほとんどのアイテムに製造年と発売されたシーズンが記載されている点。これってぼくたちがハマった〈パタゴニア(Patagonia)〉のヴィンテージと同じ楽しみ方が出来るってことなんですよね。男性は特にそうですが、モノに対しての知識を得れば得るほど愛着が湧くし、その興奮が購買意欲に繋がるじゃないですか。

―若い世代的には小難しいと感じると思いますが、やっぱりウンチクを知ることでより楽しくなるんですよね、古着って。

シーンを見てきて“既存の古着の楽しみ方”が少し頭打ちになってきているように、ここ10年感じていました。ゲームなんかでも、RPGのビッグタイトルが発売されて、めちゃくちゃハマって「LV.99まで上げよう!」って意気込んでいたはずが、突然LV.75で飽きちゃったりしません?(笑)。その時に、ニュータイトルとの出会いがないとゲーム自体から離れていってしまう。現状の古着シーンがこれと一緒で。売り手側も買い手側も世代交代しているハズなのに、新たな出会いがないと感じていた人もたくさんいたと思うんですよね。そこで、こういう“既存の楽しみ方が出来る新しいモノ”を見つけ出すのが重要なんじゃないかなと。古着というカルチャーにおいて、その可能性を秘めている〈ティンバーランド〉。ちょっとこれから気にかけてみると面白いのではないでしょうか?

坂本一 / instant bootleg store 主宰
原宿「BerBerJin」にて8年余り古着業界に携わりバイイングも経験。その後、セレクトショップ「FAN」に参加。そして2020年に「instantbootlegstore」を立ち上げ、様々な企画を手掛ける。その坂本 一が思う良い物を、”素敵な小遣いの使い方”をテーマに売るお店が「instantbootlegstore」である。
インスタグラム:@hajime0722

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