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【FOCUS IT.】そのTシャツ、史上最高につき。話題のボディブランドの仕掛け人、渡辺真史が語るゴートがGOATたる所以。

「〈ゴート〉はぼくにとっての最高です」

そう話すのは、長きに渡って東京ストリートシーンを邁進してきた渡辺真史さん。穏やかな口調で話す渡辺さんの言葉には説得力があり、その一言一言からは確かな重みが感じれます。

これまでたくさんのモノやコトに触れてきた彼が、自身のなかでの“最高”と謳う〈ゴート〉。無地のTシャツやスエット、フーディ… シンプルを極めたプロダクトの数々には、タフさやシルエットのこだわりだけでなく、渡辺さんならではのフィロソフィーが注ぎ込まれていました。

PROFILE

渡辺真史
〈BEDWIN & THE HEARTBREAKERS〉〈GOAT〉クリエイティブディレクター

1971年生まれ、東京都出身。美大卒業後に渡英し服づくりをスタート。帰国後、2004年に株式会社DLXを設立し〈BEDWIN〉をローンチ。2007年からは〈BEDWIN & THE HEARTBREAKERS〉(以下、ベドウィン)に改名し本格的にコレクションを発表。2018年より繊維商社「ヤギ」が手掛けるボディブランド〈GOAT〉のクリエイティブディレクターに就任。

ヘリテージに敬意を払い、現代的に着地させる。

ー 〈ゴート〉のクリエイティブディレクターが渡辺さんだと知った時、かなり意外に感じました。

そうですよね。始めた頃は、ぼくがやってることを表に出してなかったので。なんでかっていうと、ボディとしていろんな人たちに使って欲しかったから、自分の色を付けたくなかったんですよ。でも、ぼくがやってるとか関係なく〈ゴート〉を好きって言ってくれる人が増えてきたので、もう隠す必要はないのかなって。

〈ゴート〉のボディは、自身のブランド〈ベドウィン〉にも採用。
どんなロゴやグラフィックも溶け込むベーシックなつくりも魅力のひとつ。

ー そもそも、どういった経緯で〈ゴート〉に携わったのですか?

〈ベドウィン〉をやっていくなかで、納得できるボディがなかなか見つからなくて。イチから生地や形を選んでつくろうとすると、思った以上に高価になってしまう。どうにかなんないかなって考えてた時に、繊維商社の「ヤギ」さんから、一緒にアイテムをつくりませんか? っていうお声かけをいただいたんです。

だったら、シーズンで変わっていくものよりも、定番として着られるTシャツがいいんじゃないか、ということでブランクのボディブランドをつくることになりました。

豊富なカラバリが展開され、その数は50余種におよぶ。

で、名前はどうするってなった時に「ヤギ」だからそれを英語にして「GOAT」。ほんとは動物の方じゃなくて、八本の木の「ヤギ」だったんですけどね(笑)。でも「GOAT」って“Greatest Of All Time”、要するに、“いつの時代もナンバーワン”みたいな意味もありますし、すごくポジティブな言葉なんです。それをひねって、〈ゴート〉には“Greatest Of All Tee(俺たちのTシャツはどんな時も最高)”っていう意味を込めています。

ー スラングからネーミングしたのは渡辺さんらしいですね。その最高のTシャツというのが〈ゴート〉というわけですか?。

そう、“Greatest Of All Tee”を体現したのがコレなんです。シーアイランドコットンを使った10万円もするようなTシャツが最高だって人もいれば、サスティナブルで環境に優しいものしか着ないって人もいるなかで、まずはぼくたちの思い描く最高をつくってみました。

高い水準で抗菌・防臭機能を発揮する特殊加工「STAY FRESH」。
汗や室内干しの不快な匂いも大幅に軽減。

ベースになっているのは、90年代の〈オニータ〉や〈アンビル〉、〈フルーツオブザルーム〉とか、ぼくが好きだったアメリカのオーセンティックなTシャツです。ボクシーで、身幅が広くて、いろんな体型の人が着られるようなものですね。でも、そういうのをそのままリプロダクトしてもつまらないから、いましかない技術を取り入れようってことで、「STAY FRESH」という抗菌の特殊加工をしているんです。

ー ヴィンテージのいい部分をミックスさせた上で、現代的な機能を加えたと。

単なるオマージュにはしたくなかったんですよ。昔からあるものを、いまにしかできないクオリティでつくることに興味があるっていうか。で、プラスアルファとして加えた「STAY FRESH」が、現代とたまたまマッチしたんです。だから、意図していたわけじゃないですよ(笑)

GOAT SHORT SLEEVE TEE ¥3,080

GOAT BASEBALL TEE ¥4,620

ー ここ一年でラインナップもかなり広がりましたよね?

ブランドを続けられるのは、ファンがいてくれるからですよね。その人たちの生活をサポートしていくのがブランドの役目だと思っているので、スエットやパーカ、リンガーシャツといった無地T以外のアイテムもつくりました。そのどれもが、10代でも50代の方でも買えるようなレギュラー品。トレンドに左右されることなく、5年、10年、20年後も着てもらえたら、それは正しいブランドのあり方なんじゃないかな。

ー 暮らしに欠かせない、日用品のような存在ですね。

デイリーウェアとして、いつもの選択肢に〈ゴート〉を加えてくれたら嬉しいです。このTシャツを着て「G-SHOCK」をつける人もいれば、〈エルメス〉のブレスレットをつける人もいるだろうし、〈ディッキーズ〉のパンツを合わせる人もいれば、〈ナイキ〉のスニーカーを履く人もいる。そのどれもに〈ゴート〉が混ざっていてもおかしくないというか。そんなプレーンな立ち位置になればいいなと。

GOAT CREW NECK SWEAT ¥7,590

GOAT PULLOVER HOODIE ¥9,790

それでいて、ファストファッションとは違うぞっていうところの線引きができれば面白いと思うんですよね。ファッションに疲れたけど、何か良いものを着たい。そんな大人にもちょうどいいブランドだし、奥さんに怒られない価格帯だと思うんで(笑)。

ー 〈ベドウィン〉とはまた違う視点でモノづくりされているんですね。

これまでの〈ベドウィン〉では、自分が着たいものをつくっていたんですけど、今季から体制が変わったんですよ。実は30代の若いデザイナーを入れて、ぼくはより社長業に近いことをするようになりました。その方がブランドもフレッシュになるだろうし、若い世代にとってもチャンスになる。もう20年近くやってきたから、やりたいこともやり尽くしたんですよね。

10代、20代の頃は世の中に反抗したい、NOって言い続けたいって思っていたけど、逆にこの歳になると自然体でいたいというか、自分らしく在りたいって気持ちが強くなってきて。だから最近はあまり無理せず、いまの状況のなかでやれることを楽しみたいっていう感情が、うっすらと芽生え始めているような気がしてます。

ー そのひとつが、最近はじめたゴルフということでしょうか?

そうですね。ゴルフもそうですし、ラジオに挑戦してみたり、友達と音楽つくってみたり、ドラム叩いてみたりとか。いろいろなチャレンジはしているけれど、昔みたくそのなかの第一人者になってやろうって気負いはまったくなくて、なんとなくエンジョイできたらなって。そういうアクティビティがインスピレーションの源になったりするんですよね。

ー そういった趣味や息抜きが〈ゴート〉のものづくりに活かされることもありますか?

〈ゴート〉に関して言うと、特に〇〇向けっていうコンセプトはないのでスタンダードを貫いていきたい。それぞれのシチュエーションで自分らしくいられる服であってほしいかな。ぼくの場合だったらこれを着て仕事にも行けるし、サーフィンにも行けちゃう。それにスケートだってできちゃう。そういう意味では、〈ゴート〉は究極になんでもありなんです(笑)。

〈ゴート〉のInstagramアカウントより。

Instagramでも、いろんな職業の方をスナップされてますよね。

〈ゴート〉は誰に着てもらってもウェルカム。ほんとにいろんな人に着てもらいたいんです。そのためにブランドを大きくしていきたいっていう漠然としたビジョンはあるんですけど、その過程のプランニングはあまり立てないようにしてます。自分たちでこうだって決めつけてしまうと、別の次元にはたどり着けないんですよ。ブランドをひとり歩きさせること。それでどう成長していくのかを見守りつつ、ブレかけたらぼくらで止めていく感じですね。そういった意味では、〈ゴート〉や〈ベドウィン〉がどんなブランドになっていくのか、ぼく自身もすごく楽しみなんです。

ー あえて手をつけないことで、成長するための余白を残す、ということでしょうか?

そういうのが大事なんじゃないかなって。隙があったらそれを修正して、成長していく姿をお客さんたちに見守ってもらったり、逆に指摘してもらったことを少しずつアップデートしていったり、そうやって想定外の方向に広がっていくプロセスが好きなんですよね。

時代の価値観も変わってきていて、ひと昔前にタブーとされていたことが、いまは当たり前になってきている。だから頭ごなしにあれこれ決めず、余白を大事にするべきだなと思ってます。

ー 渡辺さんにとって、〈ゴート〉はどんな存在ですか?

ひと括りにTシャツといっても、世の中にはいろんなTシャツがありますよね。さっきも言ったようにシーアイランドコットンのリッチなTシャツもあれば、ウールのTシャツもある。そのなかで、ぼくが理想系として出した答えが〈ゴート〉なんです。時と場合によっては違うってなるかもしれませんが、ぼくにとっての最高です。

ー そんな最高の〈ゴート〉を武器に、今後やってみたいことを教えてください。

なんだろうなぁ。コロナ禍なのでいますぐにはできないんですけど、イベントをして、みんなで〈ゴート〉を着て、もみくちゃになりたいですね。友達のクラブで、人をたくさん呼んで、マスクもしないで、もみくちゃになるっていう(笑)。でも、「汗かいても臭わないぞ、〈ゴート〉バッチリだね」って言わせられるようなイベントができたら、それこそ最高です。

INFORMATION

GOAT

Instagram:@goat.tee.tokyo
GOAT ONLINE STORE

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