マシュー・M・ウィリアムズが2020年6月、〈ジバンシィ(GIVENCHY)〉のクリエイティブ・ディレクターに就任した。
マシューはカリフォルニアのピズモビーチで育ち、独学でファッションを学んだという新進気鋭だ。2015年に愛娘の名を冠した〈1017 アリクス 9SM〉をローンチ、その翌年に「LVMHプライズ・ヤング・ファッション・デザイナーズ」のファイナリストに選ばれた。それからほどなくキム・ジョーンズがメンズ アーティスティック・ディレクターを務める〈ディオール〉でバックルやクリップなどのハードウェアのデザインを手掛けた。
ヴァージル・アブローとヘロン・プレストンと共に結成した伝説のアート集団「ビーントリル」、あるいはレディー・ガガやカニエ・ウェストの衣裳制作でその名を知るひとも多いだろう。まさに、時代の申し子ともいうべきデザイナーである。
ショー形式で発表するはじめてのコレクションはメゾン伝統のシックな世界観とキムも評価したストリートウェアのエッセンスがものの見事に融合していた。コレクションの要所を飾ったのがメタルチェーンであり、ペイズリー柄のバンダナだった。ここで紹介するウォレットはそのバンダナがモチーフになっている。
カービングで表現されたペイズリーは文字どおり工芸品のオーラを讃える。ラグジュアリー・ストリートの完成形といっていい。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa