連載「憧れの逸品」No.232 無骨さがたまらないオールデンの3足。

〈オールデン（ALDEN）〉がマスキュリンの針をぐぐっと進めている。肝は日本初のお目見えとなるニッケル素材のアイレット、そしてエンボスレザーだ。

ニッケル・アイレットが鈍い光を放っているのは、「N6437 MILITARY PLAIN TOE with NICKEL EYELET」。ベースとなった「53711 MILITARY PLAIN TOE」は言わずと知れたプレーントウの金字塔である。

無塗装のそのアイレットはワークブーツにお馴染みのもの。靴紐をぎゅっと締めても色剥げの心配も変形の心配もない。あえてアイコン的意匠であるハーフムーンステッチを排したさじ加減は絶妙のひと言。ニッケル・アイレットのソリッドな雰囲気を加速させる工夫である。アッパーはドレスカーフ、ラストは379X。

ニッケル・アイレットを打ち込んだモデルはもうひとつある。「N8410 SCOTCH GRAIN RANGER MOCC」がそれだ。甲を覆ったのはスコッチグレインカーフ。〈オールデン〉はいくつものエンボスレザーをラインナップしているが、もっとも荒々しい表情を見せるひとつである。アメリカンワークのルーツともいうべきレンジャー（森林警備隊員）の名に恥じないマリアージュだ。ラストはVAN。

しんがりは「N8509 DARK BROWN LONG WING TIP」。こちらのモデルは繊細なシボを刻むアルパイングレインを採用している。アメリカントラッドを象徴する、パーフォレーションをぐるりと一周させたロングウイングチップと相まって、履き下ろす前からヴィンテージの風格をたたえる。ラストはBARRIE。